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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
38/99

Go over 100%! ―100%を超えろ!―

 それに対し、YesとNoのいずれかを選ぶことが出来る。

 ちなみにクラッシュをしたときのみポーズボタンが有効になるが、その時に選択できるのはレース続行かリタイアのみだ。

 レースのために心身は整えてある。

 龍一はノートパソコンを覗き込んで、

「行きます」

 と言いながら、親指を立てて。

 Yesを選んだ。

 画面が変わり。リアルワールドとは対照的な大雨。ディオゲネスの市街地コースは雷雨に見舞われていた。空は分厚い雨雲によって陽光は遮られ、土砂降りの大雨が降り注ぎ。雨雲でほとばしる稲妻。雷光が閃き、雷鳴が轟き渡る。

 そんな中、真っ白なAIカーと並んでいる。

 赤いランプが灯る。深呼吸し、シートに身を預け、ハンドルを握る。

 赤いランプが消え。Go! の表示。

 龍一もフィチもスタートダッシュした。しかしAIカーはより巧みにダッシュし、先行する。水しぶきが視界をより悪くする。

「……」

 無理に追走せず、龍一もフィチも少し車間距離を空ける。ひとまずは、離されないように着いてゆく。

 ソキョンたちウィングタイガーの面々に優佳は無言で見守る。

 どのようにレース運びをするか、は打ち合わせで、同じことを何度も繰り返し話して、心に叩き込んである。

 練習においては勝つことよりも完走することを優先させた。45週走り切ることを心身に叩き込むのだ。前日の土曜日では、なおさらに完走を優先させ、何かで引き離されても無理はせず完走した。

(かっこいいことを言った以上、勝たなきゃ意味ないぞ)

 龍一はじっくりと追走し、淡々と周回をこなした。フィチも同じだった。

「……」

 ソキョンと優佳はふたりの走りを眺め、やはりその走り方に違いがあるということを認めた。

―フィチはミスがほとんどないけど、龍一さんはじわじわ離されてるわね―

―やっぱり本チャンになると上がっちゃうんですね―

 ということをスマホでやり取りしていた。

 何かで指示を出す以外は集中を阻害しないために無言でスマホでやり取りだ。

 フィチはプロとして活動して長く。経験も豊富。じっくり、まさにじっくりとAIカーに張り付き。決して離されない。視界を遮る水しぶきなどものともしない。

 一方の龍一は、緊張のせいか走りが固く。ハンドルを動かす手の動きもどこか固い。じわじわと引き離され、コーナーではカウンターを当てることも多くなってきた。

「焦らないで、少しくらい離されてもいいからノーミスを心掛けてください」

 ソキョンはそう言い。龍一は頷いたが、自分を映すノートパソコンは斜め後ろなので頷いた様は見えづらい。

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