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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
33/99

Go over 100%! ―100%を超えろ!―

 ソキョンは右手の腕時計を見る。気が付けば正午を回っている。

「お昼の休憩にしましょう、適度な休息も大事です」

 緊張が解けてか、腹が鳴った。幸い向こうにまで聞こえてないようだ。

 これから1時間の休憩となり。その間、ビデオチャットも切られる。

「それではまた」

 と、オフラインにして。龍一は立ち上がって背伸びをし、軽くストレッチもして。

 部屋の隅に立てかけていたちゃぶ台をシムリグのそば置いて。ラジオをつけ。パーソナリティーとゲストの軽妙なトーク聞きながら、朝に届いていた宅配の弁当を食して。窓を開けて、外の様子を見る。

 いつもと変わらない景色が広がっている。人や車が行き来し、日常が繰り広げられているように見えるが、現実にしんどい思いをしている人がたくさんいるのだ。

「オレは恵まれている方なんだなあ」

 ぽそっとつぶやき。背伸びをしながら深呼吸をして。窓を閉めた。

「オレはオレが出来ることをするまでか」

 パニックにならず日常が送れる者は、日常を送る。インターネットの普及で、でたらめなことが広がることが問題になって、そこにコロナ禍の追い打ち。人心の荒廃を思わせることがたくさん起こった。

 そんな中で、惑わされることなく普段通りの日常を送ることがいかに大事が思い知った。おかしなことを自分のところで堰き止めて、広げないようにする。

 フィチはよく言えば博識、悪く言えば小難しく。

「こんな時代はホン・ギルドンのような、日本でいえば石川五右衛門かな? 救世の英雄を求めたくなるけど、それに付け込まれないようにするのも大事だよ」

 とか言っていた。

 わかるようなわからないような。ともかくそう言ってくれる人がいるおかげか、龍一はおかしなことに惑わされることなく、日常を送れていた。

 ふわあと、あくびが出る。

 昼食後の昼寝は禁断の快楽と言えるほど気持ちがいいが。その誘惑を振り払い。スマホの音楽アプリを立ち上げて、B/DSのBADをはじめとしたアップテンポの音楽をヘッドギアで大きな音量で聞いて、気持ちを奮い立たせた。

 曲目は主にゲームで使用されたものがメインだった。人気ゲームは人気アーティストとよくコラボをするので、流行に疎い者でも置き去りにされることが防げた。

 eスポーツのオープニングセレモニーで歌っていた音楽ユニットが、国連のイベントでも歌っていたりするようなこともある。

 多くの人たちにとってゲームは日常に溶け込み。また慈善にもつながるような時代になっていた。それを知った龍一自身もたいそう驚かされたものだった。

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