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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
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Go over 100%! ―100%を超えろ!―

「では、予選から決勝までの、ひと通りの流れを確認します」

 来週の日曜日に、特設サイトにログインして、100%ベリーハードのAIと一発勝負のレースをして、これに勝たねばならない。

 負ければ予選敗退で、決勝には進めない。本加入はなくなり、チャレンジは終わりとなる。

 もし幸いに勝てば、決勝だ。

 決勝は予選の日曜から2週間後の日曜日。

「まずは予選突破を第一の目標として活動します」

「はい」

 龍一は返事をして頷いた。

「では、予選レースと同じ状況。100%ベリーハードの雨の設定でレースをしてみてください」

 言われて龍一は、向こうに自分が見えるようにノートパソコンの位置を替え。シムリグに身を預ける。フィチもシムリグに身を預け、それを男性スタッフがカメラを動かして、龍一からも見えるようにしてくれる。

 ともあれ、ふたりは同時にForza Eを立ち上げ、カスタムレースモードに入り、難易度を100%ベリーハードに、天候を大雨に、ライバル車は1台に、クラッシュリタイアも有効に設定して、レースを開始した。

 空は曇り、雨が降りしきるディオゲネスの市街地コース。右側に自分、左側にAIカー。レッドシグナルが灯り、消えて、スタート!

 周回数は45周。決勝も同じ45周の周回数だ。

 1対1だから簡単だろうと思ってはいけない。

「くっそ、相変わらずだな!」

 問答無用のロケットスタートを決められ。龍一は思わずこぼす。フィチは口元を引き締めて無言。

 鋭いモーター音が響き、くうを突く。それに呼応するように雷光が閃き、雷鳴が轟きわたる。

 モーター音はエンジン音に比べて静かなので、雷鳴の轟きがくうを揺さぶる。

 ともにスタートダッシュで先行され、跳ね上がる水しぶきが迫り視界がさらに悪くなる。

(まったく、これもCGなんだよなあ)

 ほの暗く染まる曇り空に、降りしきる雨に、水しぶき。見よ、空の彼方では雷光も閃いて。雨雲に稲妻が走るのも見受けられる。

 わずらわしい曇り空や雨も、稲妻閃く様も、見事な再現っぷりで。神の怒りをテーマにした宗教画さながら。レース中でも思わず目を奪われて見入ってしまいそうになる。

 というか、初めて目にしたときはCGの見事さ、美しささえ感じて、レースに集中するのが難しかったくらいだ。

 ともあれ、レースだ。さすがに今は美麗CGで気が逸れるということはなく、集中する。

 100%ベリーハードのAIカー。その走りは、一切のミスをしない、まったく見事なものだった。龍一もフィチもスタートで先に出られ、水しぶきをかけられながら追走する。

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