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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
18/99

Battle against myself ―自分との戦い―

 そのまま第1コーナーに突入する。コーナー中鋭いモーター音が甲高く響き、短いストレートでさらに甲高くなり、第2コーナーで低くなり……。と、モーター音もまるで心臓の鼓動のように上下する。

 と思えば、連続S字の出口のところで、ヴァイオレットガールはオーバーステアを出してしまい。そのままスピン。タイヤから煙が上がり。ゴーストが現れ、そのまま走り去ってゆく。

「てへ、やっちゃった」

 舌を出し、笑って誤魔化すが。目は笑っていない。

(弘法も筆の誤りってか)

 龍一も笑うことはなく、真剣な眼差しでディスプレイを見据え。ヴァイオレットカラーのマシンが360度ターンをして、さらに煙が上がり、囲まれて、その煙から脱出するかのようにコース復帰する様を見守る。

 そうする間にレインボー・アイリーンはゴールラインを越えたが。これも赤いタイム表示だった。  

 フルスロットルで左足で微妙なブレーキワークをこなし、勢いをほとんど殺さず、第1コーナーに突入する。

 タイヤのきしむ音、スキール音がモーター音と混濁して聞こえてくる。

 走り出してから時間も経ってきた。

 最初あった集中力も次第に削がれてきたか、ゴーストがちらついてくる。

(うまく減速できなかった)

 スピードが出すぎて、アンダーステアが出てラインが膨らみ、修正しようとし、それがロスとなって。ゴーストを出現させた。

(仕方ないね)

 ミスを取り戻そうとゴーストに食らいつき、隙あらば抜き去ろうと機会をうかがうが。結局そのままゴールラインを越えて。

 第1コーナーに突っ込んだ。ゴーストは見えない。理想的なラインに乗れて、第2コーナー入り口で減速し。スライド気味に曲がり、さらに勢いのまま連続S字区間といきたかったが、1個目のS字出口でオーバーステアを出してしまった。

 慌ててカウンターを当てアクセルを調整し、スピンこそ免れたが。ゴーストがぬっと姿を現し。

「仕方ないね」

 ぽそっとつぶやきつつ、ドリフト状態で連続S字を抜けた。モーター音もスキール音もけたたましく響き、煙もちらつき。煙越しに我がゴーストが見える。

 カウンターを当ててコーナーを抜ける様はかっこいいし、フォーミュラードリフトの試合なら高得点だろうが。これはタイムトライアルだ。

 チャットはそれなりに盛り上がっているが。レインボー・アイリーンとすれば面白くない。

 結局ゴーストのあとを着いて行かざるを得なかった。

「後半になって、さすがのふたりもミスが目立ってきたね」

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