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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
17/99

Battle against myself ―自分との戦い―

「スライドさせすぎたわ」

 勢いをつけたが、意図せぬドリフト状態になってしまいタイムをロスしてしまった。

 メインストレートでゴールラインを越えたときに表示されるタイムは、やはり赤い表示だった。

「この煙もCGなんだよなあ」

 龍一はレインボーアイリーンのリカバリーテクニックと同時に見事に表現された煙のCGにも感心する。

 知らない人が見れば、実写と騙せそうである。

 対するヴァイオレットガールはスライドせずにコースを駆け抜ける。

 といっても高速走行ともなればタイヤはスライドし、それのコントロールを余儀なくされる。

 それがぱっと見わかるかわからないか。

 扱いやすいForza Eマシンといえども、調子に乗ればロデオの馬よろしく機嫌を損ねてドライバーを振り落とす勢いで体勢を崩してスピン、クラッシュする。

 ヴァイオレットガールの部屋の壁、動画でも見えるが。F1ドライバーのルイス・ハミルトンのポスターが貼られている。

「私はシムレーシングのルイス・ハミルトンになるんだ!」

 と、常日頃語っていて。

「ルイス、ルイス。私に力を与えて」

 と、今もコースを走りながらつぶやく。

 部屋の隅に置いた時計の針はちくたく進んでゆく。龍一もフィチも動画を見据えて。時折缶コーヒーを、ビスケットを口にしながら、緑の表示が出るのを待っていたが。ずっと赤のまま。

 くうを突く鋭いモーター音がディオゲネスの市街地コースに響き渡り。CGの観客たちはもろ手を挙げて疾走するマシンに拍手喝采を送っていた。

 CGでヴァーチャルなはずの、このディオゲネスの市街地コースだが。まるで実際にあるかのように錯覚してしまうこともある。

 動画を観る人たちも、もうすでにこのディオゲネスの市街地コースが実在かヴァーチャルかは意識の外にあった。

 緑の表示はいつ出るか。そればかり考えて、ヴァイオレットカラーとレインボーカラーのマシンの疾走を見つめ、突くようなモーター音を耳に受け入れていた。

 ヴァイオレットカラーのマシンがメインストレートを抜ける。赤いタイム表示。鋭い眼差しのまま第1コーナーに突入する。高速コーナーながら、なるだけスピードを殺さず微妙なアクセルとブレーキ加減でコーナーを駆け抜けてゆく。ゴーストは見えない。

 それから、迫り来るコーナーをクリアしてゆく。レインボー・アイリーンも同じく。こちらは最終コーナーを抜け、メインストレートに入ったところだ。

 ゴールラインを越える。しかし赤いタイム表示。

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