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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
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Battle against myself ―自分との戦い―

 ひとりっきりで頑張るより、サポートしてくれるコミュニティやチームにいる方が、より成果は出せるんだろうが。

 フィチもチームと契約、所属して、活動している。AVP Gaming という台湾のPC及びゲーム機器メーカーがチームのメインスポンサーで、チームシャツにはそのロゴがプリントされて。それを着たフィチを見たこともあるし、大会に出場した時もライブ配信を観戦し応援もしていたが。

 という時、緑の字でタイムが表示された。会話を中断し、ディスプレイを見据える。緑の字のタイムを出したのはレインボー・アイリーン。1:30.128。コンマ001秒の更新だが、もちろんワールドレコードではない。 

「Dam」

 思わず声を漏らす。わずか001秒の更新では、嬉しさより悔しさが勝る。

 ワールドレコード目前なのだ。ただでさえ、ギリギリの極限状態だ。

 それと対照的にヴァイオレットガールの場合はコンマ001秒でもレコード更新だ。が、届きそうで、届かない。

 近くにあって遠いワールドレコード。

「そうだな、チャットじゃかえってあれだから、細かくはメールしとくよ。もちろん無理強いはしないけど」

「あ、ああ」

 そこでこの話は一旦終わったが。ディスプレイとの睨めっこまで終わってない。

 龍一とフィチと同じように画面を分割して両方のを見ている視聴者もいるのだろう。チャットでレインボー・アイリーンがコンマ001秒の更新をしたことが話題となった。

「Wow」

 ヴァイオレットガールもそれを見て、一言、軽く驚きの反応を見せた。

 フィチもコンマ002秒更新しており。うしろから足音が聞こえてきそうな感覚だった。

「誰が30秒の壁を越えられる? それは私!」

 自分に言い聞かせるようにつぶやく。ワールドレコード更新とは、30秒の壁を越えることでもある。コンマ何秒の更新では、意味がないのだ。

 ディオゲネスの市街地コースの景色は吹き飛ぶように流れてゆく。ヴァイオレットカラーとレインボーカラーのマシンは右に左に、コーナーを駆け抜けてゆく。 

 レインボー・アイリーンは勢いをなるべく殺さず、スライドさせながらコーナーを駆け抜け。後輪からはもくもくと煙が上がってゆく。ドリフトだ。といってもこれは意図的なものでないので、あからさまなカウンターは当てないどころか、前輪もまっすぐなままだ。

 きれいなラインをなぞって、煙を上げ。コーナー立ち上がりで加速し、次のコーナーに入る。煙は風に流されて消え去ってゆく。

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