表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
13/99

Battle against myself ―自分との戦い―

 ともあれ、楽曲を耳にしながら、自分の走りを見直す。

「ミスが多いなあ」

 満足に走れた周回はなかった。どの周回もどこかでミスをしてタイムをロスしてしまっている。

 ディスプレイの中では、観客たちが寄り集まって疾走する電動フォーミュラーマシンに熱中していて。コロナ禍の現実世界と一線を画しているように感じられたが、もちろんパンデミック前では、当たり前の光景だった。

 左上の端にはタイムが表示される。

 時計を見た。

「今5時、17時か……。ロンドンは朝の8時で、ニューヨークは早朝の4時か」

 とか考えながら、手はスマホを取って、タップの動作をしていた。動画投稿サイトにアクセスし。フォロー登録一覧を覗く。

「おっ」

 ヴァイオレットガールのアカウント名の横に赤いライブマークが点いている。と思えば、レインボー・アイリーンにも。

「もう起きてるのか」

 広い世界の、広いインターネットの世界だ。早朝アクセスも珍しくなければ、徹夜アクセスも珍しくない。

 そばに置いているサイドテーブルのキーボード脇のマウスを操作し、ディスプレイの画面を動画投稿サイトにして。ブラウザをふたつディスプレイの半分ずつ立ち上げ、ヴァイオレットガールとレインボー・アイリーンのライブ配信を観る。

 動画の画面は、マシンのコクピット視点で、右に左にハンドルを操作している。その動画の画面の右下に操作するプレイヤーを捉えたサブ画面が表示されている。

「Couldn't sleep, took the plunge and wake up」(寝付けなかったから、思い切って起きたわ)

 と、レインボー・アイリーンは言うが。龍一にはわからなかった。早い時間にもかかわらず、彼女は白いTシャツにジーパン姿で。青いレーシンググローブを嵌めた手でハンドルを操作していた。足は映ってないが、同じ色のレーシングシューズを履いてペダル操作していることは想像に難くなかった。

 彼女はプロのシムレーサーである。チームと契約・所属し、契約金も提供されている。気まぐれのライブ配信でも、装いはしっかりしていて、きりりとした雰囲気は確かにプロ意識を感じさせて。同時に、モデル業の副業もしているのかと思わされるほどの凛とした雰囲気も感じられた。

 ヴァイオレットガールと言えば、所属するチームのヴァイオレットカラーのシャツを身にまとい。ヴァイオレットカラーのグローブを嵌めて、真剣な中にも闊達さを感じさせる面持ちでディスプレイを見据えていた。

「Hey. Are you me?」(ねえ。あなたは私なの?)

 と歌うようにつぶやく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ