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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
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Battle against myself ―自分との戦い―

 ハンドルから手を離して、シートに身を預けて。眼鏡のポジションを直してから、ぶらんと手を垂らして、目を閉じる。

(あ、龍一はどうしたかな?)

 と思ったが。まあ後で連絡したらいいかと、そのまま寝息を立てていた。

 ドアが少し開く。父親だ。息子の様子を覗きに来たらしいが、待機画面のままシムリグで眠りこけていた。

(若いなあ)

 もちろんシムリグそのものも、そこで寝ることは想定外使用なので、注意書きにはシートで寝るなと書いているのだが。ついつい……、というもので。

 年を取ると椅子で寝ようなんて思えなくなるので、シートで寝ている我が子の若さがうらやましくなった。

 起こしては悪いと、父親は静かにドアを閉め、1階に下りた。

 時計の針はちくたく進んだ。

「……。う、ん……」

 龍一は目が覚めて、時計を見るまでもなく。夕刻に差し掛かっていることを窓の外の空の様子を見るまでもなく、部屋が薄暗くなっていることで察して。LEDシーリングライトをつけ、時計を見れば、針は5時を指している。二桁にしたら17時。

「あ、て、て」

 シムリグのシートで寝て、身体が落ち着くわけは、やっぱりなかった。思った以上に寝てしまった。いつものことながら。

 一旦電源を切る。立ち上がって背伸びをし、ストレッチをする。 

 冷蔵庫を開け、缶コーヒーを喉に流し込む。ふうとひと息ついて飲み干して。冷蔵庫の中の弁当を温めもせずに食して。シャワーを浴びて、さっぱりした。

「今日はもうやめるか」

 ぽそっとつぶやき。PCとディスプレイの電源を入れて。Forza Eは起動させた。ゲームをプレイするのではない。保存したリプレイを見るのだ。

 ゲームタイトルによるが、レースゲームは基本的にゲームプレイを再現したリプレイを見ることも出来る。さらにForza Eはそのリプレイを保存も出来る。タイムトライアルでの走りのリプレイを見て、自分の走りを見直すのだ。

 ディオゲネスの市街地コースを、黒い電動フォーミュラーマシンが疾走する。タイムトライアルなので単独の貸し切り状態だ。ゴーストはさすがに表示されない。

 ヘッドセットから音楽が流れる。オプションでオフにも出来るのだが、龍一はオンにしていた。ゲームタイトルによってはオリジナルもあるのだが、Forza Eはプロアーティストの楽曲のライセンスを取得して、それをBGMに使用していた。

 ちなみに今かかっているのはB/DSというユニットのBadという、アップテンポのポップミュージックだった。

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