表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
11/99

Battle against myself ―自分との戦い―

 そのまま高速右の第1コーナーに突っ込む。ゴーストは見えない。気を持ち直し集中する。

 第1コーナーは抜けた、次いで直角右の第二コーナー。気持ちを抑えて、ブレーキング。ちらつくゴースト。

「……!」

 漏れそうな声を喉でとどめ。連続S字も抜ける。第七コーナーまでの短い直線でやや出し抜いたか、ゴーストは見えない。フィチは意を決して、第七コーナーを抜けてからのミドルストレート、そして第八、最終コーナーで、敢えて遅めにブレーキングをしながら、ハンドルを右に思いっきり切った。

 足も集中してペダル操作をする。アンダーステアもオーバーステアもない、上手くメインストレートに入り、アクセルを全開にした。

(どうだ!)

 と思った途端にゴーストがちらつく。ゴールラインを越え、タイムが表示される。赤色で、1:30.761

 口をつぐみ、第1コーナーに突っ込んだ。

 第2直角の右に差し掛かって、ちらつくゴースト。

「……!」

 行かれる。しかし行かせた。無理に張り合うのは、やはりだめだ。だめなときはだめだという、潔さも求められる。

 どうにか食らいついて。と、思ったが。ゴーストの姿がはっきりしてくる。引き離されているのだ。

(この周回は諦めよう)

 自分のゴーストを眺めながらコースを駆け抜け。無難にコーナーもこなし。メインストレート、フルスロットル。ゴーストはリセットされる。タイムは赤で表示される。しかし見ない。自身のゆく道のみを見据える。

 知らないうちに深呼吸する。

 第1コーナー、第2コーナーを抜ける。ゴーストは見えない。と思えばちらつく。見えないまま走ることはなかなか許されない。

 結局この周回も更新ならず。

(落ち着けよ)

 と自分に言い聞かせながらシムリグに身を預けディスプレイを見据え。周回をこなした。

 ……が、しかし。何度も何度も、赤いタイム表示を見た、見せられた。

「あー……」

 声を漏らしつつポーズボタンを押し、そのままゲームそのものをリセットして。待機画面にする。

 結局タイム更新はならなかった。

 どっと疲れが出る。補充したビスケットを食べようとすら思えない。

 待機画面では、サーキットを疾走するフィチの使用する青いForza Eのマシン、EFR(エレクトリック・フォーミュラー・レーシングの略)が壁紙と表示され。キャリア、フリープレイ、ダウンロードコンテンツ、オプションなどの選択肢を選んでくださいと、フィチの操作を待っている。

 タイムトライアルモードはフリープレイモードの中にある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ