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Sim Racing Novel Faster Fastest  作者: 赤城康彦
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Battle against myself ―自分との戦い―

 澄み渡る空に、太陽が浮かび。下界に陽光を降り注ぐ。

 降り注がれる下界、地上の世界のどこかでは、市街地をフォーミュラーマシンが疾走する。

 実況と解説がレースの模様を語る。国際レースなので英語だ。

 空を轟かせる爆音はなかった。その代わり、鋭くも突き抜けるようなモーター音がマシンとともに風を切る。

 そう、これは電動フォーミュラーカーによる、Forza E というカテゴリーのレースだった。

 色とりどりの、鮮やかなカラーリングのマシンたちが二十台。それらが市街地コースを疾走する様は、さながら疾走する虹のようでもあった。

 コース脇の観客席では、観客たちがもろ手を挙げてレースを夢中になって観戦している。

 マシンとともに風を切る、鋭く突き抜けるモーター音が耳を心地よく突き抜ける。これも熱狂する一因となって、観客たちはやんやの喝采だ。

 それを晴天に浮かぶ太陽が、気まぐれに泳ぐ雲たちとともに見下ろしている。

 それらの景色は、レースが盛んなヨーロッパのどこかの地域の、日常のひとコマであったが。

 それらをディスプレイ越しに観るギャラリーには、レースと一緒に、さまざまな言語(といっても英語が一番多いが)によるチャットが、レースカーさながら流れてゆく。

「Wow」

 誰かが画面越しに、クラッシュシーンに思わず声を漏らした。

 実況と解説も、

「Oh!」

 と、驚きの声を発する。

 コーナー入り口で、ブレーキングのため減速した前のマシンに対し、これを抜こうとした後続車が追突してしまったのだ。

 瞬時にオフィシャルが追い越し禁止を示す黄色い旗を振り。ディスプレーにも「Yerrow Flag」と黄色い旗のアイコンが表示された。


OMG!

Crush Crush!

WTF!?


 などなどの興奮気味の言葉がチャットに一斉に流れた。中には、


Hahaha!

LOL


 などと、クラッシュの有様を見て笑う表現が出たりもした。

 クラッシュした二台のマシン、追突されたマシンとされたマシンの二台が、同時に宙を舞って。まるでサッカーボールのように弾けながらコースアウトした。

 部品が飛び散ることもなく、マシンは元の姿をとどめたままで、宙を舞いアスファルトに叩きつけられて弾け飛びながらコースアウトするのである。

 それは、レーサーにはかわいそうだが、見る者にとっては滑稽で人によっては笑いを堪えられないシーンでもあった。

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