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キミの視界に少しでも映るなら

作者: 百山ヒデリ

◯この春無事に高校生になった私、羽音有沙(15)は電車通学となった。その電車で時々見かけるこれで何回目だろうか。2両車目の○×方面行きの普通電車。ただ、気になっていた…いつもつまらなさそうに窓を眺めてるそんな姿に。目で追いかけるそんな毎日。そんな日常が変わっていくことなんて誰も予想できなかった__。

*このお話はフィクションです。実在する人物などとは一切関係ありません。初めて書かせていただきます。ドキドキきゅんきゅんしていただければ嬉しいです。*

同じ学年、同じ学校、そこまでは同じ。

ただ、コースが違って彼は芸能クラスでした


そりゃあ芸能クラスだから関われるなんて

微塵にも思っていない

だけどふとした瞬間に顔に出る

彼の羨ましそうな表情を見ると

私の目は自然と彼の方へと視線を向けていた


この学校に芸能人がいることは初めから知っていた

だから入った、そういうわけではなくて


学年5位以内に入ってる人は学費免除

さらに学年1位の人だけは1年分の学食無料券が貰える

シングルファザーで育った私からしたら

ここの学校は行くべきだとそう思った。


お父さんは普通の正社員

私を産む代償にお母さんは亡くなった

だからお母さんの顔は写真でしか見たことがない


お父さんは再婚をするつもりはないらしい

一度でもいいからお母さんの顔を見たかった

叶わない願いだけど…


5時にアラームをかけて

顔を洗ってすぐさま台所へ


朝ごはんの準備とお父さんのお弁当の準備

『有沙毎朝ごめんな』

「ううん、お父さんの方が毎日大変でしょ?」

「これくらい余裕だよ」

『娘に何させてるんじゃーってあいつに叱られそうだな』

「お母さん?お母さんの手料理食べてみたか…」

「ううん、お父さんの手料理いつか食べさせてね?(笑)」

『おいおい、俺だってやるときはやるんだからな?』

「毎回のように買ってきた総菜とかだったじゃん!(笑)」

『まぁまぁ…あっ、時間!』

「いってらっしゃい」


朝のドタバタが終わることには私の出る時間にもなる


窓がちゃんと閉まってあるか

電気の消し忘れがないか

ちゃんとチェックしてから学校へ

あ、今日もいるのかな、あの男の子は


何て思いながらゴミ出しをした、7:35


ユリ

『有沙~!おはよ~!!』

マオ

『おはよ、今日も引き連れてるの…?男子たちを…』

アイカ

『有沙の才色兼備ほしい…勉強できて美人かつ可愛いって何?』

ユリ

『プラス家庭的でいい子…嫌いな奴なんていないよね』

マオ

『有沙のこと嫌いとかいうやつ一人ずつぶった押すから安心してね』

「そんなことしたらマオが悪口言われるから、ね?」

マオ

『そうだけどさ…それより男子ら散りなよ』

アイカ

『そうだそうだ!あっ、有沙また放課後!』

「うん!後でね!」


クラスが離れているからみんなとバラバラ

教室に入るまでの数十秒

今日は電車に乗ってなかったななんて、そんなことを考えていた

だから今日は仕事があるのかな

アイドルって大変なのかな

常に笑顔で対応できるってすごいな


キミと話してみたいな


放課後になって職員室に用事が出来て向かう途中にある声が聞こえてきた

『まじかよ…ちょっ、そこのキミ!!』

周りを見渡しても見える範囲にいるのは私だけ

「…わ、私ですか?」パッとその声の持ち主を見ると

いつも電車で目を追いかけていたキミだった


『あの名前聞いてもいいですか?』

「羽音有沙です、そちらは」

『俺は、五十嵐楓斗です』

五十嵐

『早速であれなんですけど…少しだけ付き合ってくれませんか。羽音さん』

「…はい??」

「つ、付き合うってどういう…」

五十嵐

『あの着いてきてほしい』


言われるがままたどり着いた場所はマンションらしき所だった


「あの、」

五十嵐

『ああ、ごめんね』

『実は…今日予定していたキャストさんが急遽休むことになって

代わりの人を探してたらしいんだけど見つからなかったんだって』

『だから、お願いします!』

少しだけ肩が震えてる彼を見て

「あ…えっと、何をすればいいのかな」そう口に出していた。


ざっと説明されたことは、雑誌の撮影でテーマが

❝付き合っている彼女と1日デート❞だった

「あ、あの、デートってものをしたことがなくて…」

五十嵐

『まじ!?いや大丈夫だよ。俺がちゃんとリードするから』

やばい…今のきゅんとしちゃった

「う、うん!お願いします」


撮影が始まるその前から緊張で足の震えが止まらなくなっていた

私が失敗してしまったら嫌われちゃうかもしれない

震え、止まれ、止まれ…

五十嵐

『ごめんな、設定でも付き合ってるとか彼氏さんに怒られるよな』

「…?私彼氏いないです、むしろ失敗してしまったらって思って」

『気抜いてくれていいよ、顔は映らないって話してたから』

「そうなんですね」

『いや、でも彼氏いないなら俺と付き合う?』

「えっ…、あの、え?」

『いやごめん、演技のセリフやから!その、ごめん!』

口がふさがらない、演技であんなに照れた顔するんだ…

嫌だなあ…嫌?いや、でも気になってるだけじゃ…

違う、今日彼と話してて好きになっちゃっていたんだ


あれからというもの

本番になってどちらともギクシャクしてしまって一時的に休憩をはさんでもらった


五十嵐

『羽音さんごめん…俺のせいで』

「五十嵐くんのせいじゃないよ、ただ…本気に捉えてしまった私が恥ずかしくって…」

五十嵐

『え…』

「き、気持ち悪いよね、ごめんね?」

『ち、違う…本当はセリフじゃなくて…本心です…って恥ず』

「え、あの、え?ちょっと理解ができな」

『好きです。結構前から…』

「えっと、いつあってたっけ」

そんな記憶何て一つもない。だって私はずっと五十嵐君のこと…

『電車の中で密かに羽音さんのことを見ていました』

『…気色悪いですよねすみません』

「いや、あの…私も電車の中で気になってみてました…五十嵐くんのことを」

赤面しあって10分が経ってそろそろ撮影場所に戻らないといけない時間になった

「も、戻りますか」

『あの、羽音さん、いや、有沙さん…俺と付き合ってくれませんか』

「他に何を付き合えばいいですか?」

『いや、あの、恋人になってください』

「あっ…ごめんなさい、てっきりまた」

『返事ください』

「ええっと、お、お願いします…」

『はぁぁ…よかったぁ…よし急いで向かうよ!』

「えっ、ちょっ!」


あれから順調に撮影が進んでいき

最後の撮影になっていた


カメラマン

『夕日の中でキスをして微笑んでる感じに…ちょっと固いかな』

本当に唇に当たりそうで思わず目をつぶった瞬間

かすかに触れた彼の唇、びっくりして目を開くと照れ笑いしている彼がとってもかっこよくて

自然と私まで笑顔になっていた


耳元で『可愛すぎたからキスしちゃった…』そう呟かれるから

恥ずかしくなって抱き着いてしまった


やらかしたって思った時には遅くてパシャッとシャッター音が響いた

カメラマン

『有沙ちゃんいいねー!アドリブ入れちゃうなんて…』


・・・盛大にやらかしてしまった

カメラマンさん的に良かったらしくってその抱き着いてしまった写真も載るらしい

ファンに怒られちゃうなぁ…なんて一人で考えていた

五十嵐

『さっきなんで抱き着いてきたん』

「ご、ごめん!」やっぱり怒るよね・・・

『違う、急すぎて顔が緩んじゃって写真見せてもらったらやっぱりきもくて無しにしてもらった』

「え、見たかったのに…」

『いいじゃん、ほら付き合ってんだからいくらでも見れるよ』

『まぁさっきの表情は見せないけどね?さすがに恥ずかしいし』

「本当に付き合ってるって実感湧かないなぁ」

初めて付き合うし初めて好きになったし・・・

『俺も実感湧かないや』


帰りは別々、それも当たり前のこと。

だって彼は今人気のアイドルなんだから…

だけど、好きになってよかった

これから辛い時だって悲しくて寂しい時だってあるかもしれない

それでもこんなにときめくのはこの先キミしかいないとなぜかそう言い切れるんだ。


その後、公式に付き合っていると発表してくれて

ネットニュースを騒がせていた


「マオ~おはよう」

マオ

『おはよ、キミの彼氏さん有名人だね~凄い荒れよう』

「それだけ人気だったってわけだよね」

『そうだけど、絶対彼女美人説出てるよ』

「その説外れだね、なんか謝りたくなってきた」

『なにそれ、堂々と私が彼女です!って胸張りなよ』

「そんな張れるようなことないしなぁ…」

『いやいや、あんた美人で可愛くて性格よくて家事出来るしほんと何?って感じなんだけど』

「何って言われましても…」

『あんたの欠点貧乏ってくらいじゃない?でも貧乏に見えないほど他が凄いし…』

「今の生活で十分幸せだよ」

『ねぇ、有沙の父さんに彼氏ができたって話したの?』

「実はまだ話が振れなくって…どう切り出したらいいのかわからない」

『なら今日楓斗くんに会うんでしょ?ついでに家に寄ってもらって言ったらどう?』

『ずっと秘密にされてる有沙の父さんが可哀想だよ』

「そうなのかな…なら連絡してみるね」

メールアプリで今日お父さんに紹介したいと送ったらすぐに電話がかかってきた

『ほら、出なよ』

「も、もしもし」《あの、え?!紹介って…俺どうしたらいい!?》

『男ならシャキッとしろよ』《ん?誰?》

『有沙の友達のマオですが、あ、手土産は〇〇駅中に売ってるプリンがいいと思うよ』

「あ、あの、お父さんにまだ言えてなくって…

言わないといけないのわかってるんだけどなかなか話を振れなくて…

楓斗くんに頼みたいなって…ごめんね?」

《うん、わかった、仕事が終わったらすぐに有沙ん家向かうから…》


お父さんが帰ってきて私たち二人は緊張が止まらなかった

『ん?有沙の友達でも来てるのかー?』

「ち、違うの、」

ドアノブがガチャリと開いて目の前にいる男の子は誰だと

そう考えるのに必死そうな表情を見せた

『キミは…誰だ??』

「あの、えっと…」

五十嵐

『はじめまして、僕は五十嵐楓斗と申します。』

『2年ほど前からお付き合いさせていただいています。』

『時期に僕の妻になってもらう方です。』

「…え?」

『お父様が僕のことを知らないかと思われますが僕は一応アイドルです。』

『なので、側にいてあげれないことだってかなりあるかと思います。』

『ですが、僕は本気で有沙さんのことを大事にしたいと思っています。』

『ちょっと待て、本当に有沙が好きなのか?遊びで付き合ってるんじゃないだろうな?』

五十嵐

『遊びで付き合えるほど僕は人に時間を作れません。』

『もし遊びだとしたら挨拶もしていないです。』

『長居するわけにもいきませんのでこの辺で御暇させていただきます。』

『このプリン…知ってるのマオちゃんだけなはず…あのマオちゃんが信じてるのか…』

『まぁいい、交際は認めよう。』

『だが、不純な行為をした場合俺はお前を!!!』

「お父さんやめて、普通に怖がらせるのやめて」

『あぁ、すまん。楓斗くんだっけ、娘をよろしく頼むよ』


あれから楓斗くんは急に仕事が入り急いで出て行った

『はぁ、俺の有沙がぁ・・・でもまぁ有沙が好きになった相手なら信じれる』

『しかもマオちゃんまで…また近々楓斗くんを家に連れておいで』

「うん!!!」


あれから数年__。

私は五十嵐有沙となりました。

今では、1歳の女の子を授かり、とても幸せです。

お父さんとは頻繁に会い、彼の親御さんとも仲良くさせてもらっています。

キミに出会ってたくさんの人にも出会えて

たくさんの幸せをもらいました。

お母さんお元気ですか…?私の子を見せてあげたかったです。

遠くから見守っていてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

少しでもキュンとしていただけれたらうれしいです。

初めてのなので機能の使い方・書く場所などオカシイ点があると思いますが

大目に見ていただけると有難いです。

本当に私の短編小説を覗いてくださってありがとうございました。

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