表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/102

90 港街防衛戦

さぁ、気合いを入れて敵を蹴散らせっ!



 港には敵の見張りが五人残って、強奪したとみられる船の積荷を守っていた。ボク達が急に現れて面食らっている様子だ。それをボク達が見逃すはずもなく、先陣を切った洋子さんが、『瞬足』の速さで敵の目前ギリギリまで距離を詰める。


 更に驚きよろめく敵一同。しかし、ニット帽を被ったガッチリ男が、素早く体制を立て直して反撃に出る。右拳から炎が吹き出て、洋子さんの頬をかすめた。その瞬間ニヤリと笑う洋子さん。おそらく最初からそうする予定だったと気付く。


 案の定、躱した直後に、炎を纏った敵の右腕を取り、内側に捻りながら敵の身体ごと地面に叩きつけた。鈍い音がここまで聞こえてきた。相手が悪過ぎだ。


 次はボクの番だと言わんばかりに、洋子さんがその場から宙を舞って跳ね退いた。残り四人はそれに目を奪われて隙を作ってくれる。洋子さんにズボンを履かせておいて正解だ。危うくボクが嫉妬で殺してしまうところだ。


 待ってました!と心で呟き、『瞬足』で距離を詰めたつもりが、これまた『虚無』の作用か、止まり損ねて、全員がきりもみする程の勢いで飛ばしてしまった。診療所の方へ飛んで行ったので、誰かが手当てしてくれる事を祈ってくれ。『サヨウナラ〜』と洋子さんが呟いていた。


 港はこれで片付いたが、これから街を駆け巡り、敵と思われる輩を排除しなくてはならない。ここは洋子さんと二手に分かれて診療所までを掃討する事にした。洋子さんが親指を立てて、『瞬足』の速さでその場から消えた。


 ボクも負けじと街へと向かう。診療所までの道のりは、緩やかな上り坂になっていた。港から見て分かったのだが、診療所は結構小高い丘の上にあるようだ。


 出会う能力者を容赦なく次々と気絶させて進んで行く。とにかく数を集めました!というくらい雑魚ばかりだ。診療所まであと少しのところで、他と雰囲気が違う敵を見つけた。


 ボクに気付いてこちらを向いたその敵は、奈々子達と同じ赤い瞳を持っていた。もしかすると『虚無』から蘇った『傀儡芽』変異体かもしれないと思い、距離を置いて様子を見る。


「ぎゃははははは!まだこんなトコにブタが残ってたぁ!丸焼きにしないとなぁ。」


 どうやら下品だが喋れる様だ。丸々肥えたコイツにブタ呼ばわりされるのは心外だ。


「おい、ブタがブタをどうするって?お前…、何食ったらそうなれるんだ?」


 中々攻撃して来ないので、少し挑発してみた。すると単純デブが本領を発揮した。しまったと思ったが遅かった様だ。周りの建物が一瞬で吹き飛んだ。奈々子程の威力は全く、全くないが、二回言うほどないが、周囲十メートルは吹き飛んでしまった。『爆裂』だ。


 ゲヒゲヒと表現しづらい笑い方をする単純デブ。ボクが無傷だと知って、その下品な口が、更に大きく開けられた。ここぞとばかりにボクが拳をねじ込もうとしたのだが、それよりも数段速く洋子さんの蹴りが、単純デブの横っ面に炸裂した。『爆裂』を使ってないのに、建物を壊しながら飛んでいく単純デブ。


「稜くん!大丈夫?爆発したから慌てちゃった。心配要らなかったみたいねっ。」


「ううん、また会えて嬉しいよ。元気してた?」


 ボクの冗談めいた返事に、洋子さんが微笑み返して、何かに気付いて再び消える様にいなくなった。遠くで轟音がしたので、敵を倒しに行ったのだと分かる。今日も元気な洋子さんだ。


 一時間も掛からずに、街の敵は全て排除したと思われる。終わってみて気付いたのだが、ボク達が戦った事で、街が余計に壊れた気がしないでもない。早々に立ち去ろう。


 わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!


 そう思っていたら、街の人達が叫びながらこちらに向かって来ていた。洋子さんと逃げようと思ったが、街に多大な被害を及ぼしたのは、間違いなくボク達も含まれている為、ボクは素直に謝罪する覚悟を決めた。


 わぁぁぁぁぁぁ!! ありがとう!!助かりました!凄いぜアンタ達!!(街の人々)


 謝罪の覚悟をしていた為に、街の人々のその歓声に驚いて声が出ない。洋子さんをチラと見ると、女性陣に囲まれて称賛を受けていたので安心した。ボクは野郎どもに揉みくちゃにされたが、称賛されながらの喜びの表現だったので、されるがままになってしまった。


 しかし、一応謝罪はしておいた。『気にしないでくれ!』と街の人は言ってくれたが、少し罪悪感で胸が痛かった。洋子さんは男性陣からお酒の席に誘われていたが、『稜くん以外とは飲まない』と頑なに断ってくれていた。


 戦いの時間より長く、街の人々につかまってしまったが、こんなに嬉しかった事は久し振りだと感じていた。それにしても、これらの敵は、いったいどこから来たのだろうか?と、洋子さんと色々話してみたが、分からない者同士で話し合っても仕方の無い事だった。


 ボク達は街の人々に別れの挨拶を済ませ、我が家?と呼べる島へと戻った。少し疲れた気分だったので、ボク達はそのまま、砂浜に横になって語らう事にした。


「ねぇ稜くん〜、動き回ってスッキリしたよねぇ〜。」


 かなり長くなった黒いサラサラの髪を、砂に乱れる様に散らせている洋子さんが、甘えた声と目で、ボクを見つめながらそう同意を求めてくる。


「うん、ボクも何だかスッキリしたよ。何もかもが嫌でここに来たのに、また戦っていたよね。」


 今まで口にしなかった事が、ついポロリと口から溢れた。


「そうよね〜、私ね、稜くんと二人っきりになりたいって思ってたの。監視されてるって分かって、もっとそう思ったの。だから後悔してない。稜くんと一緒ならどこでもいいの。」


 ボクの思うところとは、少し違うが、一緒にいたいと思うのはボクも同じだ。


 横になったまま、洋子さんの髪を撫でるのは好きだ。指で耳の上辺りの髪を掻き慣らす時、気持ちよさそうな猫みたいに、洋子さんが目を細めてボクを見る。それがボクの好きな彼女の仕草だ。


 ここに二人っきりでいるからだろうか、ボクも少し大胆になっていた。ボクはその仕草を何度か確かめて、横になったまま、洋子さんと唇を重ねた。


「こおーら!!二人だからいいけどさ、なんで私が来る時にいっつもキスしてんの!?当てつけ!?私に彼氏がいないから!?」


 もう振り向かずとも、このタイミングと声で誰だか分かる。


 ゆうこさん、それはこっちのセリフだ…。


「ゆうこが勝手に来てるだけでしょ〜!いっつも稜くんの本気のちゅ〜を邪魔してから〜!」


 いやいや、本気のちゅ〜とか…、恥ずかしいからやめてよ…。


「洋子さ〜、いっつもいっつも、ちゅ〜だけでいいの!?アンタそれでいいの!?」


 もしもしゆうこさん…?いらん事を言うでない!


「そっ、そんな事分かってるわよ!私はね!わ、私はいつでもオッケーなのよ!」


 何だかボクの意気地が無いせいで…、ごめんなさい…。


「どうなの!?稜くん!!」(女性チーム)


「か、勘弁して下さい……。ぐすん…。」


 二人でタッグを組まれると、どうにもこうにも行かなくてなってしまう。


「と、ところでどうしたのさ?ゆうこさんが来るって事は、あっちで何かあったの?」


「むむむ…、話しを逸らすか…、まぁいいや。まぁ、あっちでっていうか、世界規模でね、事件が起こっているのよ。」


 ゆうこさんのその言葉で、先程の港街襲撃が思い浮かんだ。


「ねぇゆうこ、それって能力者が関係してるとか?」


 ボクも聞こうと思っていたのだが、洋子さが先に聞いてくれた。


「え、えぇそうよ…。何で分かったの?」


 少し面食らって驚くゆうこさんが可愛らしく見えた。勿論、目の錯覚だろう。


「そっかぁ、さっきね、近くの港街が襲われたのよ。私達がいたから被害は…、あったけど、人がね、ほら、無事だったって事よ。」


 洋子さんがたどたどしくなったのは、多分街の建物が甚大な被害を受けた事を思い出し、焦ってしまったのだろう。何せ大半はボク達が壊したのだから。

 その話しを聞いて、ゆうこさんの顔に、ハテナマークが落書きされている様に見えた。これは間違いなく錯覚だ。


「そ、そう。まぁ、それがね、どうも組織絡みらしいのよ。善さんがそう言ってた。あと、そろそろ稜くんに会いたいとも言ってた。」


「ゆうこ、稜くんは会いたくないのよ。さっきも私とキスした時に、善さんなんか忘れたよ。って言ってたもん。」


 おいっ!ウソはいかんよウソは!言ってないし…。


「ねっ、稜く〜ん!ふふふふっ。帰らないも〜んっ。」


 だ、誰かボクに『治癒』をかけて……、パタッ…。



余裕で港街の防衛を果たした主人公達。島の砂浜でロマンチックに語り合いそして…、邪魔をされる主人公。これしきで倒れてはいけない!カムバァーック!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ