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47 人質

真剣に戻った主人公、その調子でどこまでいけるのか!?


 ようやく自我崩壊から立ち直ったボクは、立ち上る煙を目指して進みだした。

かなり近づいてはいるようだ。先程から、途切れる事なく銃声が聞こえてきている。

 本当はずっと前から響いていたのかもしれないが。爆発の音の影響で、耳鳴りがまだ残っている。近くの音や声しか聞き取れない。


 先を歩く二人が、腰を低く構えたので、ボクもそれに習い、腰を低く保ちながら、二人の後に続く。久しぶりに見る、洋子さんの待ての合図がボクに向けられていた。その場でしゃがみ待機する。


 後方から見てると、二人の合図が良く分かる。洋子さんが、自分の目を指差し、その指で進行方向先を指す。『見て』と言っているのだろう。

その指示に従い、先を見ていたゆうこさんが、一人で右の林に入ってしまった。

 洋子さんが、ボクに来いと手招きしている。側までゆっくり進む。


「稜くん、この先に五人いるから、ゆうこが敵か味方か確認してるの。敵なら、ゆうこと二人で倒すから、稜くんはここで待機しててね。」


 その言葉に、アイアイサーのポーズで答えて、先の様子を伺ってみると、確かに五人見える。しかし、智さん達と同じ、迷彩柄の戦闘服を着ている様だ。


「洋子さん、服装が味方と同じじゃない?味方だと思うけど。」


 洋子さんが、少し考え込む様な仕草を見せて、答えてくれる。


「ゆうこと話してた事なんだけどね、私の父親が指導者だった頃の組織は、拳銃やライフルなどは使ってたけど、ロケランの様なミサイルは無かったの。組織じゃない敵の可能性もあるし、今は組織指導者も橋本に変わっているから、そこら辺が分からないのよね。」


 なるほど、今の組織の状況が分からない以上、断言は出来ないって事か。


 洋子さんと話している間に、先にいる五人に動きがあったようだ。人数が増えている。ここから見えるだけでも、十数人増えているが、様子がおかしい。人が重なっているから分からなかったが、立ち止まって、立ったままの人間と、足が短くなった様に見える人間がいる。先程まで普通だったはずだが。

 しかも、まだ集まって来ている。


「稜くん、あれは尋問するか、処刑するかのどちらかだよ。今はどちらが敵か味方か分からないから、手の出しようがないよ。」


 そう教えてくれた洋子さんも、ボクと同じ様に気付いていたようだ。しかし、それがどちらにせよ、命を奪うのは賛成出来ない。そう考えて、閃いた事を洋子さんに言ってみた。


「ゆうこさんのライフルなら、スコープで見えるよね?処刑前に狙撃したらどうかな?」


「ううん、数が多すぎる。ゆうこのライフルは、元々連射出来ないモノらしく、改造してるみたいよ。しかも、装填する弾の数が少ないと言ってた。ここから見て、立っている人間だけでも、三十を超えるみたいだから、無理でしょうね。」


 閃いたと思ったが、数が問題みたいだ。いっその事、三人で総攻撃かけて、気絶サークル復活でもいいのではないか?全員で、五十チョイってトコだし。いくら何でも無謀か。


 色々策を思案していると、偵察に行っていた、ゆうこさんがもどって来た。


「洋子、稜くん、仲間が捕虜になってる。どうにかしないと、全員死んでしまうわ。この際、全員は到底無理だけど、数人なら助けられるかも。」


 戻るなり、確証ある言葉を放つゆうこさん。洋子さんは、その意見を実行するか迷っている様に見える。少しの沈黙があり、気になる事をゆうこさんに聞いてみた。


「その仲間なんだけど、見知った人がいるの?」


「スコープで見る限りでは、川上さんだけよ。彼女だけでも助けるつよりよ。男は殺されるだけ、でも女は……。それより急がないと!」


 島であんなに暴れた洋子さんを許してくれて、更には、街に来たボク達の、歓迎会までしてくれた川上さんを、見捨てる事なんて出来る訳ない!


「洋子さん、ボクは絶対見捨てないよ。川上さんは、ボク達の大切な仲間だ!!」


「うん!稜くんに着いて行く!」


「さすが稜くんだねー、そうこなくちゃ!いくか!」


「おう!!」(三人)


 作戦も何も、真っ向から勢い任せに飛びかかるボク達に、敵は慌てて味方も撃つ始末。ボクは治癒するから、撃たれても、突っ込んで行き、ナイフで無力化を図り、洋子さんは『鉄壁』と『強襲』で二十人程蹴りで沈めていた。


 ゆうこさんが凄い!ライフルを撃つには距離が近いと言って、拳銃で突っ込んだのだが、こちらでも、正確無比な射撃の腕は活躍していた。連射で二十人以上撃ち抜いていた。勿論、死なない程度に。


 終わってみれば何て事ない。結局、全員の無力化に成功したが、味方が処刑の弾丸を受けていた。勿論、治癒を使ったので、全員無事奪還!ノイジーワンの勝利だワン!(滑った!)肝心の川上さんも、無傷で救出出来た。


「いまぢざ〜ん!ぐわぁぁぁぁぁぁん!」


 泣きながら抱きついてくる川上さんの泣声が、彼女を熊に思わせてしまう。洋子さんがご立腹だ。


「ちょっと〜、もぅいいでしょ?稜くんを返してぇ!」


 少し泣きそうな洋子さん。拗ねるよりマズイかもしれない。困っていたら、ゆうこさんが、川上さんを引き剥がして、慰めてくれていた。川上さんが離れるまで待っていた洋子さんが、笑顔を取り戻し、抱きしめてくれた。


「やったね!稜くん!助けられたね!」


 そう言ってくれる洋子さんは、悪党ではない。ヤキモチが過ぎるだけだ。



 智さんの側で、一緒に指揮を執っていた川上さんに、戦況を聞いてみたところ、五分五分の戦いだったのだが、智さんが負傷して、退却しているところを人質に取られ、味方が総崩れになったと教えてくれた。

それと、気になる事が一つ。戦っていた相手に、能力者がいなかったというのだ。智さんを連れ去った、ただ一人の能力者を除いて。


 どんな能力者だったか聞いてみたところ、長い黒髪の、綺麗な顔立ちの女で、智さんを連れて、一瞬にしてその場から姿を消してしまったらしい。

 黒髪、一瞬で消えた、この言葉を聞いて、思い出せる人物が一人。

『真咲 奈緒子』だ。洋子さん救出の時、ボクが手傷を負わせたが、一瞬で消えた。しかも黒髪だ。


 しかし、智さんを連れ去って、何をしたいんだろうか?こちらの戦力が、ほとんど失われた今、橋本の脅威になるとは思えない。交渉しなくても既に勝っているのだから。


 まだ疑問が残っていたので、疲れて横になる川上さんに、最後に一つだけ!とお願いして聞いてみた。


「能力者が集まっていると言っていたけど、一人も姿が見えないのは、おかしくないでしょうか?」


 ちょっと可哀想に思えるが、聞いておかないとモヤモヤするのだ。


「はい、それは社長も言っていました。帰って調べないと、何とも言えないのですが、偽の情報を握らされた可能性があると思います。情報屋を調べるつもりです。」


 そう言って、川上さんは眠ってしまった。心の中で、申し訳無かったと反省した。



 それから二時間程待ち、ボク達は、迎えの輸送ヘリに乗り、『松林半島』へと戻った。


 智さんを助けようにも、情報が足りない。帰ったら、川上さんの連絡待ちになる。



組織の指導者をさらわれた為、大敗してしまうマツバコーポレーション。一旦本拠地に戻り、情報収集する事にするが、真実を見つけられるのか?

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