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46 作戦開始!!

さて、いよいよ戦いの幕開けだー!!みんな勝利して帰ってくるのか!?



「エサが………ない」byノイジー


 「では、これより、作戦地域へと出発する!諸君!健闘を祈る!!」


 マツバコーポレーション組織の指導者である、智さんの号令で、そこに集まる約二千の兵士が、一斉に敵地へ出発した。

ボク達は別働隊として、洋子さん操縦の戦闘ヘリで現地へ向かう。別働隊は、ボク達のヘリを含め、全部で八機だ。現地手前で散開する手はずだ。


 ヘッドセットで遮られ、曇った感じのローター音を聞きながら、智さんが出発前に話していた事を思い出していた。


「伊町君、君のお母さんには感謝しているよ。私達を苦しめた組織を、叩き潰すチャンスをくれた。しかも、その息子である君まで協力してくれて、本当にありがとう。」


 いつもの紺色のスーツを脱ぎ捨て、戦闘服に身を包んだ智さんは、ボクの手を握り、お礼の言葉をかけてきた。その彼は、黙って頷くボクに、続けて話しをする。


「これが最後の戦いになる。我々が負けると、更に多くの能力者が犠牲になるだろう。そして、それはあの女が全てのチカラを手に入れ、世界を脅かす存在となる事を意味する。何としても勝利して、阻止せねばならない。だから今回、我々は総力を挙げて戦いを終わらせるつもりだ。」


 胸の前で握りしめた拳が、彼の気概を感じさせる。更に彼は口を開いて言った。


「しかし、万が一我々が……。いや、縁起でもないな。伊町君、終わったら皆んなでバカ騒ぎでもしようじゃないか!そして、君のお母さんを一緒に探そう!私の誘いに乗った本当の理由は、母親の事が知りたい、なんだろう?約束するよ。必ず見つける!一緒にだ!…その前に、力をカ、シ、テ、ク、レ、よ〜。」


 そう言って笑う彼は、会社社長でもあり、組織指導者でもある、その椅子の高さを感じさせない立ち振る舞いで、ボクと肩を組み、十年来の親友の様に接してくれた。

 この時ボクは、この人の様な、懐の深い男になりたい。そう思った。



 作戦地域から、約十キロ手前の上空で、ボク達を乗せたヘリがホバリング状態になる。智さん自ら先頭に立ち、指揮を執っている地上部隊が、配置につき終わるまで、ここで待機だ。


 敵の拠点と思われる施設は、周りを山に囲まれて、すり鉢状になった中央付近にある。そこを囲い込む様に距離を詰め、敵に気付かれる前に、奇襲攻撃を仕掛ける。という作戦らしい。

 危険な能力者達が相手なので、油断の無いようにしてもらいたい。最前線にいる、智さんが特に心配だ。


 別働隊は、能力者が施設から出てきたところを、ミサイルで一掃する任務を担っている。

ゆうこさんは、狙撃の名手という事もあり、ミサイルから逃れた敵を、揺れるヘリから狙撃するという、無謀とも言える任務を、自ら申し出ていた。この人ならやりかねない。


《ガッ…アルファワン移動完了!ガッ…ブラボースリー配置につきました!ガッ…デルタ…》


 次々と準備完了の無線が入ってくる。いよいよ作戦開始だ!


 先発の地上部隊が移動を開始した。すり鉢の淵まで移動して、身を隠す浅い溝を掘る予定だ。五分遅れで、奇襲攻撃をかける後続部隊が、移動を開始するはずだ。その間にヘリも散開して、後続部隊の攻撃が開始されるのを、上空でそのまま待つ。

 智さんの攻撃開始の無線が、移動の合図だ。そこから一気にすり鉢まで移動する事になる。緊張が高まり、自分の心臓の音が大きくなる。時間にして、およそ五、六分が、凄く長いように感じる。


 《こちらプレジデント…これより攻撃を開始する。繰り返す…攻撃を開始する…オーバー、ガッ》


 無線を通じて、静かな口調の智さんの合図がきた!洋子さんの口から、別働隊に号令がかかる。


「こちら別働隊ノイジーワン!全機移動開始せよ!!移動開始せよ!」


 よ、洋子さん?ノイジーワンって…いつつけたの?それ…。ワンって…。犬だな。


 洋子さんと号令で、他のヘリも移動し始めただろうが、ボク達ほど機体は傾いていないはずだ!本当に洋子さんは急発進が好きな人だ。揚力を生かした移動方法なのは分かるが、これはやり過ぎだ。


 たすけてー!?酔う!吐く!速度上がり過ぎ!逆に失速して落ちるって…ごわい〜!


 しかし、洋子さんがヘリを落とすようなヘマは無かった。実に見事な操縦だ…。手足バラバラの動きが凄すぎる。青ざめたボクとは違い、ゆうこさんは平然として、銃の手入れを終わらせていた。


 機内を何度か転がりながら、ヘリからも、攻撃が見える位置までやってきた。

すり鉢の周りには、智さんの部隊が輪を描く様に展開していた。射撃する兵士と、身を隠す兵士が、出たり引っ込んだりしている様が、すり鉢の周りに沿って、半円を描いているように見えた。


 何千発と撃ち込まれたであろう施設から、蜘蛛の子を散らす様に、敵がわらわらと出て来た。洋子さんがすかさず無線で号令をかける。


「こちらノイジーワン!これよりミサイルにて、地上掃討作戦に移行する!繰り返す、ミサイルをはっ」


 ドオオォォォン!!!


 もの凄い爆音と共に、耳鳴りが襲う。機内の壁に穴が空いている。攻撃を受けたのか?そう思った時、ヘリがバランスを崩して回り出す。

ボクは振り落とされないように、しがみ付くので精一杯だというのに、ゆうこさんが、穴の空いた壁から、ライフルで狙いをつけているのが見える。


 ダァァァンン!!ダダァァァァンン!!!


 三発の銃声が聞こえた気がする。金属がぶつかり合う様な音で、うまく周りの音が拾えない。そう感じた時に、初めてヘッドセットが無くなっていた事に気付いた。

 必死にしがみ付くボクを、ゆうこさんが支えに来てくれて、洋子さんに叫ぶ。


「洋子ぉ!!ロケット野郎は始末したよ!!後は洋子が何とかしてよぉ!!」


 いくらボクが平和主義者でも、今の会話の意味は分かる。このグルグル回る機体の中から、ロケットランチャーで攻撃してきた敵を、見事に狙撃した!という事だろう。本当に人間なのか!?味方に戻ってくれて良かった。


 洋子さんが、機体を数秒間安定させ、その隙に、ゆうこさんとボクを抱えて機体の穴から飛び降りた。それも怖かったが、無事に皆んな生きている。いや、ボクは死なないが。痛いだけ。

 すり鉢の場所から、かなり離れてしまった様だ。生い茂る木々の向こうに煙が上がっているのが見えた。多分、すり鉢の辺りの煙だろうと、目星をつけて歩き出す。歩きながら話す、二人の会話が聞こえる。


「洋子、相変わらず無茶苦茶よね?」


「でも、効果はあったでしょ?助けたんだから、文句言わないでよ。」


「まさか、右のミサイルぶっ放して回転止めるとか、あり得ないでしょ!」


「ゆうこに言われたくないわよ〜。あの状態で三人狙撃だなんて、それこそあり得ないし!」


 やっぱり三発撃ってたのか〜…。ボクから言わせると、二人とも超人なんだけど…。それに比べてボクは…。


 落ち込むボクの頭の中で、ショートストーリーが始まる。


 〜 稜の脳内シアター 〜


 敵「やい!いまちん!今日こそお前を倒しゅ!」

 ボ「ちがう!イマチだーっ!お前にやられてたまるかっ!」

 敵「ほじゃくな!ワチの鎌の餌食にしてくえりゅ!」

 ボ「どうかな?くらえ!イマチピアさー!!!」

 敵「グワァァァ!…?りゃ??痛くない!?」

 ボ「な、にゃにぃ〜!!」

 敵「ふふふいまちん!ワチを治癒してどうしゅる!ワハハハハ!ワハハハハ」


 はぁ〜〜……。敵を治してどうする……はあぁぁぁ。


 情けない脳内シアターで、更にヘコんだボクに、洋子さんが声をかけた。


「稜くん、どこも痛くない?大丈夫?見せてみて。」


 こんなボクにいつも優しい洋子さんが、天使に見える。(不甲斐ないボクをお許し下さい)


「ようござ〜ん!」


 自我が崩壊して、洋子さんにすがりつくボク。その姿を見てか、ゆうこさんが一言。


「アンタ達、戦場でイチャつくのやめてよね!」


 彼氏の一人もいない、ゆうこさんのネタミの声が、林に虚しく響き渡った……。



全く緊張感の無い三人。ナレーターの私でさえ、マイクを投げる始末。次回は真剣にお願いしますよ?

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