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40 若返りと事情

全て終わって、と言っていた洋子。鈴を使い、記憶と若さを手に入れた!しかし、未だに目覚めないゆうこ。他に方法があるのか!?


時間に追われて、少しグダグタなってしまいました。


 「稜くん!稜くん!若いね〜。えへへ。若〜い。」


 鏡に映る自分を見てからは、ずっとこの繰り返しをする洋子さん。過去の記憶も戻ってはいるが、今は語りたくないそうだ。それは、嫌な事が多かった事を思わせる。


「あら?こちらの方はどなた?おやおや、この方も隔離状態ですよ。」


「ですが『善』さん、『還りの鈴』も効果はありませんでしたよ?」


 洋子さんは、確かにゆうこさんに使った筈なのに、洋子さんだけが…まさか!?


「ふふふ、そうですよ。使用した者に返す、ですよ。」


 そう答えてくれながら、『善』さんは、ゆうこさんの横に立った。そして『還りの鈴』を、ゆうこさんの胸の上に置き、そこにゆうこさんの手を重ねさせた。そのまましばらく待つと、先程と同様に、『還りの鈴』の音が鳴り響き、ゆうこさんの身体が実態を無くすほど色を失った。そして、洋子さんと同じく、色を取り戻していく。


「ゆうこ?…ゆうこ…?」


 はしゃいでいた洋子さんがいつの間にか、ゆうこさんの元に来て、名前を呼びかけていた。しかし、ゆうこさんの目は一向に覚めない。その様子を『善』さんが見て、またあの瞑想のような状態に入った。

 そのまましばらく経ち、『善』さんが、少し疲れた様子で語り出した。


「…ふぅ…。かなり入り込んだから疲れましたよ。この方は『昏睡』というチカラが発動してしまった様ですね。これをかけた能力者は、お気に入りさんがこの方に、『治癒』をかけたら『昏睡』が発動する様にしたのですよ。」


 読んで字の如しか。どうりで起きない訳だ。しかし、『善』さんなら戻せるのではないだろうか?


「それは出来ませんよ。アタシがチカラを使うと、この方は更に深く落ちていきますよ。」


「そんな……ゆうこ…。」


 『善』さんの話しを聞いて、洋子さんが悲痛の声を漏らした。何とかならないものだろうか。


「このチカラを使った能力者に、解かせる。もしくは倒してしまう、しかないのですよ。」


「倒すとは?つまり命を奪うという事ですか?」


 いくら悪党でも、命を奪うのはやり過ぎの様なきがする。洋子さんを脅かす者は別だが。しかし、解かせるにしても、言うことを聞いてくれるだろうか?相手は組織の悪党だし、ゆうこさんにこんな仕打ちを平気でやるような輩だ。まず無理だろう。


「いえいえ、解かせる事は出来ますよ。『絶対服従』を使うのですよ。」


 なるほど、その手があっ……、て、持ってないチカラだよ?あの男の子捕まえる?いやいや、それこそ無理だろう?側には奈緒子もいるだろうし。そもそも居場所が分からない。


「稜くん、そいつ捕まえて、私が!『絶対服従』なんて使えないでしょ。ならもぅ……、稜くんにはそんな事させない!私がやる。」


「ちょ、ちょっと待ってよ!そう結論を急がないでよ洋子さん。洋子さんにだってそんな事させたくないし、させないよ?」


 思いつめて早まった答えを出す洋子さんを説得にかかる。そこに『善』さんが割り込んできた。


「あらあら、いつも仲がいいのですね。ならばアタシが引き受けましょう。ワクワクしてますよ。こんな事百何十年振りでしょうか?」


 いつも淡々と語る『善』さんが、心なしか顔が生き生きしていた。思い返すケタが違う…。


「ですが『善』さんには尚更、命を奪わせる真似なんてさせられないです!」


 言おうとしてた事を、洋子さんに先を越された。


「あら?アタシは『絶対服従』を使うのですよ。ふふふ」


「え?使えるのですか!?」


 『善』さんの発言に、洋子さんが驚いて聞き返しているが、ボクも驚いた。しかし!


 ああ!そうか!忘れてた!『善』さんも『悪』も、全てのチカラを使えるんだった!焦りが思考を鈍らせていたんだなぁ…。


 自分の物忘れという失態を棚に上げ、焦りのせいにしておいた。


「洋子さん、『善』さんは、全てのチカラが使えるんだよ。」


「そうなの!?凄いです『善』さん!……稜くん?知ってたの、忘れてたんじゃないよね?…ねぇってば稜くんーー!」


 気付いたらボクは逃げ出していた。洋子さんごめんなさい。


 結局洋子さんにお仕置きされたのだが、頭を掴んで、顔を胸でグリグリするのは、お仕置きになってないですよ?洋子さん…。しかし、この鼻ティッシュがお仕置きだったのかもしれない。う〜。



 問題は、どうやってその能力者を探すかだよな〜。と、洋子さんと相談してたら、『あらあら、そこにいたのね。』と独り言を言って、また島での様に消えてしまった。忙しい人だ。


 心当たりがないか、洋子さんに聞いてみたら、過去の記憶を探ってくれた。しかし、あの屋敷の事しか分からなかったみたいだ。

 とりあえず、あの屋敷に行き、手がかりを見つける事に決定した。問題は、ゆうこさんをどこに隠しておくか?だが、マスターを頼ってみたところ、喫茶店なら自由に使っていいとの事だった。


 屋敷には組織がまだいる筈だ。島で智さんに、洋子さんが思い出したトラックの話をしたら、まだ出入りしているから、全てに監視をつける!と言っていたから、まず間違いない。


 そんな事を洋子さんと話し合っていたら、また突然『善』さんが現れたのだが…。


「橋本!!!ぜ『善』さんコイツは!」


「あらあら、お知り合いですか?あぁ遅くなりましたね。『絶対服従』が効きませんでしたから、『混濁』だけをかけて、連れてきましたよ。ふふふ。」


 連れてきましたよって……、しかも『混濁』だけとはいったい?


 連れてこられた橋本を見れば一目瞭然なのだが、確か『隔離混濁』じゃなかったかな?と、少し気になったが、それよりも、ゆうこさんにこんな事したのが橋本という事で間違いないのだろう。しかし、どこから連れてきたのだろう。『善』さん恐るべし!



 早速橋本を使い、ゆうこさんにかけられた、チカラを解かせにかかる『善』さん。そのままでは、意識朦朧(いしきもうろう)の状態なので、『服従』だけを使うと言って、橋本を操り出した。


 橋本に命令を出した後、『混濁』を解除したと説明してくれた。意識をシッカリもっていない時は、チカラにかかり易いとも教えてくれた。先程の橋本がその状態に当たる。


 少し抵抗している様にも見えるが、ゆうこさんの額に手を当てる橋本。解く為の集中をしているのだろうか?そのままの状態でしばらく動かなくなった。


 やはり橋本は抵抗していた様だ。『善』さんが、何度か命令を繰り返していた。そして、やっとゆうこさんが目を覚ました。まだ少し、意識が朦朧としている様子だった。


 ゆうこさんが目を覚ますと、橋本を元いた場所に戻そうとする『善』さん。コイツを逃す訳にはいかないと、説明したのだが、却下されてしまった。そして、橋本を連れて消えた。



 『善』さんはあれっきり戻って来ない。ゆうこさんも、まだ話せる状態ではなさそうなので、しばらく休んでもらっている。その後で、橋本の事を洋子さんと話し合ってみた。


 遅くまで話し込んでしまったが、結局『善』さんが却下した理由が分からなかった。しかし、ゆうこさんが目覚めた事で、洋子さんの様子がかなり落ち着いて見えたので、何はともあれ、良かったと安心した。



 その日の夜中、ボクは『善』さんに呼び出された。勿論、昼間の橋本の件でだ。ボクが何かを聞かずとも、その答えを用意してくれてたみたいだ。


 元々『悪』と『善』は、この世に一人ずつしか存在しない。そして、そのどちらも、世の中の(ことわり)に直接干渉してこなかった。

『善』さんがボクに良くしてくれるのは個人的なもので、能力は与えたが、一緒になって世の中を騒動させる様な事はしない。

つまり、橋本の事は、ボク達の世界での問題であり、『善』さんが世界を変えてしまう様な協力はしない。という事だ。更に、人助けだから、ゆうこさんは助けたらしい。


 『善』さんにとって、橋本をボク達に委ねるのは、橋本を助けず見捨てる事になると語ってくれた。


 人助けが生きる意味の『善』さんにとって、人助けでは無くなる行為は、絶対に避けたい事だ。



善が却下の意味を語る。それは、主人公達に自分の道は自分で切り開け!という過酷を極めた戦いがまっているという事!?

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