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39 取り戻した結果

見事にゆうこに治癒を果たした主人公達。しかし、目覚めないゆうこ。これからどこへ!?


 ボク達は、肝心な事を忘れていた。ヘリを乗り捨てた事で、パトカーがウロウロとしてる中、身を隠しながら逃げる。という事にばかり気を取られ、夜になってパトカーがいなくなっても、全く頭になかった。


 タクシー!!!!


 という事で、あれから目を覚まさないゆうこさんを連れて、タクシーに乗っている。洋子さんが携帯で調べて呼んでくれたのだ。今更なのだが、ボクは機械に疎い。ホームセンターに勤めていたにも関わらず、機械に疎い。二回言いました。携帯も例外ではない。『かける』『受ける』『時計』これ以上何も携帯に求めていないのだ。


 以前洋子さんが連れ去られた事もあり、宿の街は避けて、南に向けて走ってもらっている。

『普通の運転手』さんが言うには、マツバコーポレーションの待ち合わせの時に使った、ホテルの街から更に南下すると、ギャンブルで賑わう街があるとの事だ。そこに向かう。



 〜ギャンブルの街〜


 賑わう街の中で降りるのは、意識が戻らないゆうこさんが一緒だと目立つので、街中を通り過ぎて、街の喧騒が微かに聞こえる程度離れたホテルに来ている。

ホテルと言っても、前の豪華なホテルとは大違いだ。街外れだし、仕方ないのかもしれない。人が少ないのが気に入った。とにかく目立たない事だ。


 本来二人で横になる事が出来るダブルベッドには、ゆうこさんを一人、横にならせている。『治癒』を使ってから二時間が経つ。小さな胸が上下しているので、息はあるようだ。洋子さんと比べての話だ。誤解のないように。


 今は先に、洋子さんがお風呂に入っている。ボクはゆうこさんの監視役を買って出た。横になったゆうこさんを眺めながら、先程の戦いを思い出していた。

 ゆうこさんの声は、不気味だった。洋子さんの攻撃を受けても立ち上がっていた。思考だけじゃなく、痛覚まで麻痺するのだろうか?それにあの尋常じゃないスピード。ゆうこさんはチカラを持っていないはずだが…。


「稜くん、次いいよ〜。…目覚めた?……ゆうこ。」


 考え込んでいる間に、洋子さんがお風呂から出てきたようだ。ボクは振り向き、首を横に振って答える。それを見て、少し俯いてしまう洋子さん。もしかすると、明日まで目覚めないかもしれない。気長に待つように、洋子さんを慰めて、ボクもお風呂に入る事にした。


 このホテルは、外観や内装はイマイチだが、お風呂は豪華だった。石で出来たカエルの口から、常時お湯が湯船に注がれていた。浴槽の下からは、ポコポコ気泡が沸き立っている。ジャグジーでは無かった。しかし、注がれるお湯が甘い香りを発していて、湯船に浸かりながら息を吸い込むと、リラックス効果を発揮していた。部屋代って、このお風呂だけの料金なのではないか?と思う程、良いお風呂だった。


 『善』さんに送ってもらってから、何も口にしていなかったボク達は、ルームサービスを取る事にしたのだが、洋子さんが『伊勢海老』を発見。早速注文していた。しかーし!来たのは『伊勢海老(いせえび)』ではなく『偽物海老(にせえび)』だった。ボクは気付かなかったが、洋子さんが教えてくれたのだ。これは、『ロブスター』というらしい。伊勢海老の英語バージョンだと思ってた。

 しかし、海老は海老だ。美味しくいただいた。ごちそうさま。



 ソファーで寝ているせいか、夜中に何度か目覚めてしまい、その度ゆうこさんを見てみるが、やはり眠ったままだった。洋子さんも何度か起きてはボクにしがみつき、の繰り返しだった。もしかすると、そのせいかもしれないが、幸せなのでソファーのせいにしておく。


 朝の九時にセットしていた目覚ましで起きる。既に起きていた、洋子さんが止めてくれた。ゆうこさんが起きないので、心配で早く起きたのだろう。ベッドの脇に、丸い円筒状の椅子を持っていき、そこに座ってゆうこさんの様子を伺っている。


「おはよう、洋子さん。まだ…みたいだね。」


 声をかけてあげようと気を使ったつもりだが、見たままを口にしただけで終わった。しかし、ボクが起きた事が分かると、ソファーに横になったままのボクの隣で、一緒に横になってしまった。一人で起きてしまったのが寂しかったのか、いつもより強く抱きしめられてしまった。起きないゆうこさん見てると、切なくなってしまう。ボクも洋子さんを強く抱きしめていた。


「あー!そうだよ!稜くん、あれだよ!」


 心臓が止まる程ビックリした。いや、止まらない身体なのだが。いきなり洋子さんが叫んで、床に置いたままのリュックをゴソゴソと、何かを探しだす。ボクのリュックだが、洋子さんのモノがほとんどだ。


「あった!稜くん、ほらこれ!ね!使えるかもしれないよ!」


 洋子さんが取り出していたのは、『善』さんから貰った『鈴』だった。確か効果が、奪われて隔離されたモノを、本人に返してくれる、だったと思う。しかしそれは…。


「それは、洋子さんに必要な物じゃなかったの?いいの?」


 洋子さんの過去の記憶が無い事を知って、『善』さんがくれた物だと思いそう聞いてみたのだ。


「ううん、私は過去なんてもういいの。今が大切だから、過去はいいの。」


 そう言ってボクを見つめる洋子さん。改めてそうされると照れてしまう。


「分かった。洋子さんがそれでいいなら、ボクは反対しないよ。」


「やっぱり稜くんだね、ありがとう。えへへ。」


 洋子さんの考えに同意したら『えへへ。』が聞けた。ラッキーだ。


 ゆうこさんの横で、『鈴』を構える洋子さんは、迷う事無く、その音色を響かせた。


 シャラララララン シャラララララン シャラララララン


 鳴り響く『鈴』が鈍い光を帯びてきた。そして、それはドンドンドンドン輝きを増す。やがて、眩しい程に輝いた『鈴』から、更に強い光が、四方八方に放出された。輝きがおさまり、視界がハッキリしてきた時に、ボクは不思議な光景を目の当たりにした。

 『鈴』を鳴らした洋子さんが、光輝き、実態が無いように見えた。そこからしばらく洋子さんは発光していた。光が徐々に弱くなり、洋子さんが段々と色を取り戻してきた。透明人間が姿を現わす!といったイメージと言えば分かり易いのだろうか?本当に不思議な光景だ。


 やがてハッキリと色を取り戻した洋子さん。ボクは更に驚いた。洋子さんなのだが、洋子さんじゃない。目の前の洋子さんは、さっきまでの洋子さんでは無かった。信じ難いが、若々しい洋子さんに思える。


「よ、洋子さん?だよね?」


「稜くん、あれ、ゆうこは…あ、失敗だったのかな?」


 いやいや、洋子さん、本人なんだよね?多分。何がどうなってるの!?


「あら、アタシ間に合わなかったのかしら。残念ですよ。」


 突然、本当に突然現れた『善』さん。心臓に悪い。治るけど。


「あの、『善』さん!いったいこれは?洋子さんに何が起きたのですか?」


 ボクの質問に、いち早く反応したのは洋子さんだった。『善』さんより早く口を開いた。


「稜くん、失敗だったのよ?どうしたの?慌てて。て、あれ?声が!?」


 間違いない、洋子さんの声が若い!て事は、若返った!?


「そうですね、洋子の奪われた、記憶と時間が返ってきたのですよ。ふふふ。あら?言ってなかったでしょうか?ふふふ、ごめんなさい。」


 なんで肝心な事を忘れるのですか!奪われたって……えー!?じゃ、洋子さんって!


「そうですね、アタシの感覚で調べると……、二十年程若くなっていますよ。」


 な!二十年!?えっと…、洋子さんは、えっと、いくつだったっけ…


「ちょっと稜くん、何の話なの!意地悪しないで教えてよもぅ〜、ぶー。」


 当事者の洋子さんを放ったらかして『善』さんと話していたら、洋子さんが拗ねだした。


「よ、洋子さん、ちょっと、こっち、こっち。鏡見て。」


「え?……ええええ!?これが私!?」


 そりゃ驚くよね、ボクも凄く驚いてるよ。しかし、更に凄く綺麗になったな〜。


「洋子の人生の、五歳から二十五歳までが、奪われていたのよ。だから二十年が返ってきたのですよ。今は二十歳という事ですね。『還りの鈴』のチカラですよ。」


 『還りの鈴』って、それも聞いてません!!



うっかり善さんの登場で、またまた驚きのドンデン返し!?若返った洋子の気持ちは!?

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