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36 失われた記憶

少しありがちな能力解釈だが、ここは愚痴を言わず我慢の見せ所!



「おい!ちゃんとナレーターしてくれ!ぶー。あ、今回は隠れされた洋子さんの過去のお話しです。お時間ありましたら、ご覧ください。」by赤茶猿マン


 ボクの一世一代の告白から、しばらく二人で泣きながら愛を語っていた。大半は何を言ったか、言っているのか、多分お互いに分かってない。これで、気持ちも固まったし、後は組織片付けて、洋子さんと楽しく暮らすのだ。


 ボク達が落ち着いて、滝を見ているところに『善』さんが現れた。洋子さんに見られたくないから、いなくなったと思っていたが、現れたという事は、何か用事でも?気を利かせたとか?かもしれない。

 『善』さんを見て、洋子さんは驚いていたが、突然現れたら誰でも驚く。そして、洋子さんに語りかけている。聞き耳を立てていた訳ではない。聞こえるのだ。


『洋子は、アタシを覚えていますか?」


 なるほど、助けた事を話そうとしているのか。洋子さんは考え中の様子。続けて『善』さんが語り出す。


「アタシが見た時は、まだ小さな女の子でしたね。」


 え?そうなの?という事は、ボクより前に会ってるのか〜。


「あ、あの、子供の頃の記憶は、ほとんどないんです。でも、貴女を知っている様な気がして…。」


 洋子さんが言っている、知ってるとは、過去か今か、どっちだろうか?『善』さんも、少し考えている顔をしている。こんな顔は、初めて見るかもしれない。まだ二回しか会ってないのだが。

 しばらく考え込んでいた『善』さんだが、懐から、小さな鈴を取り出して、視線をボクに向けた。


「お気に入りさん、洋子に何が起きても、先程誓った約束を違えたりしませんね?」


「はい、それは絶対変わりません。」


 尋ねられた意味が、何を意味するのか理解出来ていないが、洋子さんに関しては、即答できるのでそうした。ボクの言葉を聞いて、洋子さんが照れていた。


 「洋子、貴女の記憶がほとんどない、という事についてですが、父親が関与してますね。知っている訳ではないのですが、アタシは感覚で、未来も過去も、思考さえも、感じとり、解釈する事が出来ます。全てを見通す、とでもしておきましょう。これは善として生まれた時に、備わっていたチカラです。そして、今、貴女を通して感覚で見てきた事を話します。」


 洋子さんは黙ったまま頷いた。ボクも側に寄り添い、洋子さんの手を軽く握る。


「父親が、一人の女の影に寄り添っていました。そして、何か言われたみたいでした。そして、呼ばれて来た小さな貴女は、父親の言う通りに行動してます。嫌だと感じているのが分かりました。しかし、父親は気にせず何かを貴女に飲ませています。あぁ…。少し待って下さいね、ふぅ。アタシも歳ね。」


 そう言いながら、深呼吸している『善』さん。その話しを聞いていて思ったのだが、見てきた事を話すと言っていたのに、今見ている気がした。そのせいで疲れたのではないだろうか?


「ええ、そうよ。感覚だから、読み落としがあるかもしれません。だから敢えて見るのです。」


 なるほど、間違いが無いように敢えて見ながら話しているという事らしい。便利なチカラみたいだが、体力の消耗が激しそうだ。ボクはチカラを使っても、疲れる事はない。『善』さんの持つチカラは、相当疲れるものなのだろう。

 それはさておき、ボクは少し気になっていた事を尋ねてみる。


「さっき、洋子さんに会った事があるって言ってましたよね?小さな時にって事だと思いましたが、いつ頃なのですか?」


「そうね、まだ洋子の母親が生きていた時ですね。母親にはアタシが能力を与えたのよ。その時に洋子に会った記憶がありますよ。」


 『善』さんはそう言って、洋子さんを懐かしそうな目で見ていた。


「私の母…ですか?それも記憶にはないです。」


 洋子さんに何があったのだろうか?母親の記憶さえないなんて…。


「ええ……、無理も無いでしょうね。アタシが会ってから、間も無く洋子の父親が、実験に利用してしまったのですよ。その後は…。」


 最後の方は口ごもっていたが、『善』さんの言葉の後の意味は、何となく分かる。洋子さんも、記憶にないのかもしれないが、母親を思ってか、少し涙が(にじ)んでいた。ボクは洋子さんの肩を抱き寄せた。


「ではそろそろ続きを話しましょうね。……、洋子が飲まされたのは…睡眠薬みたいです。そして、アタシが洋子を助けた時に感じたチカラの痕跡と同じ、そのチカラを使う男が、洋子にチカラを使い…、あぁ、組織の…戦う訓練をさせています。んん……、あぁ。」


 そこまで話して、腰を下ろしてしまった『善』さん。その話しの内容だと、洋子さんが能力者に操られて訓練させられていた。という風に取れる。


「ええ、ふぅ、その通りですね。その後は、洋子がお気に入りさんの監視を命令されて、親の元を離れたから、自我が自分のものに戻ったみたいですね。」


 洋子さんが考え込んでしまった。過去の記憶を探っているのかもしれない。


「確かに、そうかもしれません。記憶が曖昧でハッキリしないですが。」


 やはり過去の記憶を探っていたみたいだ。洋子さんが、頭を両手で押さえて唸っている。それ以上、何も思い出せないのだろう。その様子を黙って見守る『善』さん。お婆ちゃんと孫の図だ。


「洋子に使われたのは『隔離混濁』ですよ。『絶対服従』より強いチカラです。相手の意識を奪い取り、その名の通り、意識を隔離してしまう恐ろしいチカラですね。」


 隔離された意識か。戻ってるなら、記憶が曖昧な訳ないか……。消えたのだろうか?


 まだ疲労の色が伺えるが、『善』さんは、ゆっくり立ち上がって話を続けた。


「ただ、一度使うと、かなりの期間使えなくなります。そこまで分かって洋子にチカラを使ったのは、母親と同じチカラを持っていると、考えたからのようですね。しかし、チカラが無いと分かり、訓練に専念させたようですね。」


 そこまで話すと『善』さんは、しばらく休むと言って、藁葺き屋根の家へと入って行った。


 その姿を見送る洋子さんは、複雑な心境に違いない。母親、そして自分まで、父親の身勝手に振り回されたのだから。何年の月日を、無意識で過ごしたのか?と考えると、やりきれない気持ちになった。当の本人である、洋子さんは尚更だろう。

 ボクは洋子さんをそっと抱きしめて、背中を撫でてあげる。今はそれがボクの精一杯だ。無言のまま涙を流す洋子さんの胸の内は、ボクには計り知れない。



               〜翌日〜


 畑には、赤く熟れたトマト、青々したキュウリ、そしてカボチャ、白菜にスイカと、季節を全く無視した野菜が実っている。

ボク達は、あれから『善』さんにお願いして、しばらくここに置いてもらっている。さすがに今は、島に戻れないだろうと、考えたからだ。洋子さんもだいぶ元気になってきた。『稜くんと一緒だから平気』と言われて、畑仕事に精を出してるとこだ。幸せだ。


 しかし、いずれは戻って、組織の計画を阻止する、もしくは潰す事を、しないといけない。そうそう、マスター達が気になり、電話を掛けてみたが、繋がらなかった。いや、ここが圏外だから当然だ。聞くと、ここは『善』さんが作った空間だと教えてもらった。さすがはこの世に必ず二人しか存在出来ない片割れだ。


 それから今朝、洋子さんが、『善』さんから『鈴』を受け取っていた。なんでも、隔離された過去のものを、その持ち主に返す事が出来る、効果があるらしい。本当はあの時使うつもりで出したらしい。『善』さんに、気持ちが変わらないか聞かれたのは、これを使った時の事だったかもしれない。

 洋子さんは、それを直ぐに使うのかな?と思っていたが、『今は気持ちの整理がつかないから、全て終わったら。』と言っていた。


「稜くん!稜くん!きてきて!」


 家の裏の方から洋子さんの呼ぶ声がしたので行ってみる。ニワトリ?


「稜くん!ほら、卵!お野菜ばかりだったしね〜。」


 言われて見てみると、卵が三個……都合が良すぎる気がする。おおかた『善』さんが何かしたに違いない。ボクのそんな考えを、洋子さんが分かる訳もなく、鼻歌を歌いながら回収していた。


 でも、ホント野菜ばっかだし、今夜は久しぶりの卵料理だ。任せた!洋子さん!



複雑な気持ちにさせた洋子の過去。主人公はこれからも、洋子を支えて生きていく。組織との対決はやはり避けられないようだ!


ナレーター「これでいいのか?」

猿マン  「うんうん。」

ナレーター「全く、ちゃんとしたモノ書けよ!」

猿マン  「ごめんなさい…。」

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