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33 組織の目的

島の内側の居住区で生活する人々の苦悩!?いったい……。


 その後、ボク達は、マツバコーポレーションに協力を申し出て、あの居住区の中の一件を提供してもらった。居住区の中の一件と言ったが、他の建物とは離れていて、仮設住宅とは言い難い建物だ。これは、良い意味でだ。

ボク達が普段暮らす街で、普通に見かける家と同じ作りだったからだが、先にこの地で暮らす人達に、申し訳ない気分にさせる。


 待遇が(もう)(ぶん)ないのは有り難いのだが……。


 色々思うところはあったが、周りの住人は、意外と気にしていないみたいで、不便なところで申し訳ない。と言っていた。皆んなが言うには、能力者が来てくれた事が、凄く有り難いとの事だった。

 川上さんは、()()()()()()()と言っていたが、実際ここにいるのは、ほとんどが普通(チカラが使えない)の人達だけだ。

 ほとんど、と言ったのは、この居住区のお医者さんが『治療』のチカラを、その助手の看護師さんが『解毒』、秩序を見張る管理官が『読心』のチカラを、持っている事を、松林さんから聞いていたからだ。


 『治療』がボクの『治癒』と似ていた為、どういう効果があるのか聞いてみたところ、切れたりした傷などを、(ふさ)ぐだけらしい。ボクの『治癒』の簡易版みたいなモノだ。

何故そんな事が気になったのか?を、住人に尋ねられたので、素直に答えたところ、失敗だったと後悔した。ここのお医者さんでは治せない病気を、治してくれ!と、人が押し寄せてきたからだ。

 ここで頑張っているお医者さんを思うと、気が引けてならない。どうしよう…。と、オロオロしていたところに、ここのお医者さんが来て、『私も胃が痛むので……」と、申し出てきた。


 うぅ……、悩んで損した…。


 その申し出があってからは、気にする事も無くなったので、次々と治していった。さすが元看護師!と絶賛したくなるような洋子さんの対応で、列を乱す人も無く、スムーズに事が運ぶ。女性に関しては、洋子さんがボクに患部を尋ね、そこだけを露出させる処置を行ってくれていた。

若い女性なら、こう、スポポーン!とやってくれても大歓迎なのだが?


 ちょっとした妄想をしながらも、洋子さんの協力のおかげで、集まった全員の処置が終わった。モクモクと火事の様にくすぶっているように見えたモヤも、スッカリ視界から消えた。

 フーッ、と、一息吐いたところに、洋子さんが冷たいお茶を持ってきてくれた。マイホームの玄関先に二人で腰を下ろし、お茶を一気に飲み干す。仕事の後の一杯はうまい!お茶だが。


「人助けしてる稜くん、カッコよかったよ。ふふふ。」


 空になったグラスを受け取りながら、褒めてくれる洋子さん。頭を傾け微笑んでいる仕草が可愛らしい。


「ボクも、皆んなをお世話する洋子さんを見て、良いお嫁さんになるなぁって、思った。」


 褒めるんじゃなかった……。照れて背中をバシバシ叩くのはやめてほしい!

パワーが違うんだから、痛いって……。もぅ。


 それ以降、何事も起こらず、マイホームで初の夕食を迎えた。勿論、洋子さんの手料理だ。ここは海に囲まれた島。というだけあって、海の幸が容易に手に入るらしく、並んだ料理は、どれもが海鮮類だった。材料費はタダだ。

 しかし、伊勢海老がタダとは!と、贅沢なご馳走を前に驚く。


「もう!稜くん?驚くなら食べてからにしてよ〜。ぶー。」


 出た!洋子さんの、ぶー。拗ねる前触れだ!ヤバいヤバい……。


「いやいや、洋子さんは、料理の彩りや盛り方が最高だな〜って、驚いてたんだ。よ?」


 頬を膨らませ、疑惑(ぎわく)の眼差しでボクを見ていた洋子さんだが、何とか機嫌を直してくれた。

随分と怒りンボさんになったモノだ……。そう感じた。これが、後に大きな問題となる。それは今のボクに知る(よし)も無かった。まだ先の話だ。


 食事とお風呂を済ませた後、マイホームにお客さんがやってきた。中に上げるのは、初となる。

松林さんは、奥さんを連れてきていた。紹介がまだだったと、律儀にも来ていただいた訳だ。『松林 ミヨ』と紹介された奥さんは、夫である松林さんと同年代に見えた。

おっと、忘れるとこだった。改めて松林さんが自己紹介してくれたのだが、彼の名前は『(さとし)』と分かった。以後『智』さんと呼ぼう。


 さて、その奥さんなのだが、上がるなり、洋子さんが出した、お茶菓子を、一人でアッと言う間に平らげてしまい、更には、持参のバッグから取り出した『飴』を、バリボリと噛み砕きながら食べていた。そして、そして!洋子さんが気を利かせ持ってきた、次なる『羊羹』も、一口でペロリという風に平らげてしまった。さすがに洋子さんもボクも口を開けて驚いた。


「ははは、妻は良く食べるんダー。」


 そう言った智さんは、何故か遠くを見ている感じがした。


 まだバッグから何やら取り出しながら、口をモゴモゴさせる奥さんを他所に、橋本率いる組織の目的について聞いてみた。


「ザックリ言うと、『チカラ』の収集だな。ですが、()()()()()()()という、その理由が問題なのだ。」


 渋い顔をしながら、意味深な事を語る智さん。たが、隣の奥さんが、その雰囲気をダメにしてる。


 パクパク…ムシャムシャ…パクパク……ゴクゴク…。 あ!智さんのお茶……。


 智さんは、真っ直ぐ顔をこちらに向けたまま、ゴホン!と咳払いをして、ボク達の注意を自分に戻してみせた。そして、声が上ずりながらでも、気にせず語りだした。


「以前か…ゴホン!ンン…。えー、以前から組織は、能力者を集めていたのだが、それはもう知っていると思うが、橋本の代になってからも、そこは変わらない。理由は、『真咲 文枝』だろう。おそらく今でも彼女が指示を出していると、思われる。」


 そう話す智さんの声がかすれていたので、洋子さんが気を使い、空いた湯のみにお茶を注ぐ。智さんは、軽く咳払いをして、湯のみに口をつけ、一気に飲み干す。良い判断だ。


「申し訳ない。続きだが、あの女が能力者を集めている理由。全てのチカラを自分のモノにする為。だと、キミのお母さんから聞いている。何でも、研究を重ねた結果、チカラを吸収出来る装置を開発出来たそうだ。しかしそれだけでは、チカラを自分のモノにする事が出来ない。だから、次にあの女が着手したのが、それを自分に与えられる装置。という事らしい。」


 なるほど、母が情報源らしいが、能力者を集める理由としては、納得のいく答えだ。しかし、洋子さんを救出に行った、あの屋敷が本部だとマスターが教えてくれたが、それらしい機械は無かったようだが…。他に研究施設があるのかもしれない。

その事を智さんに聞いてみたが、『視野に入れて動いてはいるが、未だにそういう報告がない。』との事だった。


「だが、あの女がその機械を、本当に作らせているのなら、完成させてはいけない。何としても阻止したいと考えている。どうか、キミ達の力を貸してくれ。よろしく頼む!」


 「智さん、昼間も言いましたが、ボク達は全面的に協力させていただきますよ。それは今も変わりません。その女が黒幕なら、そいつも含めて全て潰してやりましょう。その計画ごと。洋子さんを守る為にも、そうさせて下さい。」


 再度頼んできた智さんに、ボクはそう宣言した。このまま放っておくと、いつまた襲われるか分からない。何より、洋子さんも今や能力者だ。何があっても渡さない。そういう思いがあってこその宣言だった。


 智さんは、ボクの言葉に安堵した様子で、空の湯のみを傾けていた。


 いや、智さん?奥さんを見てるけど、それ自分で飲んだから…。


 奥さんをジトッと見ていた智さんに、密かにツッコミを入れた。



何だかベタな目的の組織。どこの世界もチカラが絡むとロクな事にならない。これから松林組織と手掛かりを探る主人公達。ラストは近いのか!?


そんな簡単な訳ないたろう…。何だよベタって。いつも通りナレーターやっててくれよ…。by作者

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