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31 二度目のラブホは……

突然敵に襲われて、逃走中にまさかの再会!?


「おう!兄ちゃん!乗ってきな!」


 『スーパータクシー』の運転手さんが、おちゃらけてボクに言う。どうして、こんなとこにいるのだろうか?宿があった街から、かなり離れているはずだが、ここまで営業範囲が広いとは思えない。しかも、電話で呼ばれて、この短時間では無理がある。


「彼も組織の仲間です。実は、伊町さんを監視してました。その事情を今夜お話しするつもりでしたが、こんな事になってしまい。」


 『スーパータクシー』を呼んだ、川上さんがそう答えてくれた。監視されていたのか。だとしたら、洋子さんを助けに戻ったあの時も、偶然じゃ無かったという訳だ。その監視の理由があるようだが、川上さんは知らないのだろうか?知っていたら教えてほしいものだ。


「とにかく、車に乗んな!風邪引いちまうよ。」


 運転手さんの言葉に促され、ボク達はタクシーに乗り込んだ。確かに凄い雨なので、あのままいたら、風邪を引いてしまうかもしれないが、ボクがいれば大丈夫だ。とりあえず、びしょ濡れだから、どこか身を隠せる場所に行かないと。それより着替えを調達するのが先か。

 濡れて、洋子さんのシャツが透けている。ボクは自分の黒いシャツを脱いで、洋子さんにその上から着せてあげる。濡れたのを着せるのは、どうかとも思うが、あのままじゃ洋子さんが可哀想だからそうした。自分の為にでもあったが。

 上半身裸になってしまったボクを、洋子さんが抱きしめてくれたが、余計に冷たい。だが、心は温かい。これが言いたかっただけだ。ごめんなさい。


 土砂降りの中を、凄いスピードで走る運転手さん。名前を初めて聞いたのだが、『工藤 洋二』というらしく、子供が三人もいるらしい。そこまで聞いてないのだが。とにかくよく喋る人だ。職業柄、仕方ないのだろうが。

 この工藤さん、マスターと同じく、『情報屋』だった。マスターは知っていたのだろうか?情報屋なら、この人を知っててもおかしくないが、組織から離れていたみたいだし、知らなかったのかもしれない。どうでもいいが。


 マシンガントークを聞き流しながら、洋子さんと肩を抱き合い、寒さをしのいでいると、二十分程走ったところでタクシーが停まる。


「ここで、とりあえず身を隠しましょう。」


 そう言って、雨の中を先に降りて走っていく川上さん。ボク達もその後を追って走った。


 民家が全く見受けられなかったこの辺りで、ここはひっそりと営業している『ラブホテル』だった。


 川上さんと工藤さんは、一緒の部屋に入っていったが、大丈夫なのだろうか?

以前洋子さんと入った時、ボクはこんなとこ嫌だったのだが、今はそんな事ない。他意はないが、洋子さんとなら平気だ。


 先に洋子さんにお風呂に入ってもらい、ボクはその間に、シャツとズボンの乾燥係を引き受けた。一応水洗いしてだ。乾かしながら、組織の事を考えていた。


 『橋本』の目的は何だろうか?そういえば、未だに目的を知らない。謎が多すぎる。洋子さんも、ボクの監視役になってからは、本部の事はほとんど知らないと言っていた。

 川上さんは何か知っているかもしれない。母の事を言っていたから、ボク達よりは知っているだろう。


 しばらくして、洋子さんがお風呂から上がり、乾燥係を交代してくれた。早くボクにお風呂で温まってほしいからと、急いで上がったらしい。いつもボクを優先に考えてくれる。感謝だ。

そう言う洋子さんがボクを急かしているが、手がまだ冷たかったので、肩に手を当てさせてもらうと、肩も冷たいままだった。よほどボクは心配されていると、改めて感じた。

 バスタオルを巻いたままの約束が出来るなら、ちゃんと入り直そうと提案したところ、顔を真っ赤にしていたが、コクコクと頷き、ボクの後に続いてきてくれた。たまにはいいだろう。


 湯船に二人で浸かっている時、先程考えていた組織の話しになった。洋子さんも同じように、目的が分からないので、どう動いていいのか分からない。と言っていた。更に、ゆうこさんの事も聞かれたが、湯のぼせしそうで、とりあえず上がってから話す事にした。


 お風呂から上がり、着替えをしているところに、携帯が鳴り出す。ガウンをかけて、帯を手に持ったまま、携帯を受ける。マスターの声だ。


「伊町さん、無事でしたか。あれから連絡がないので心配しました。隠れているところに、携帯が鳴っても迷惑かと思い、なかなかかけられず、心配しました。私達はお陰様で、無事に身を隠せています。組織が来たのかは分からないですが。ありがとうございました。」


 マスターもよほど心配してくれていたのだろう。一気に話してきた感じが、そう思わせてしまう。ボクも今の状況を説明して、何か分かり次第、連絡すると約束して、会話を切った。

 マスター達は関係ないと思いたいが、前回、脅された件もあるので、備えておいて損はないはずだ。で、話している間中ずっと、目の前をウロウロウロウロしている洋子さんだが、本当にお風呂だけの約束で終わったみたいだ。バスタオルもガウンも着けず、ウロウロウロウロしている……。


「洋子さん……ガウンくらい着ようよ…。」


 思わず声に出ていた。下着を着けているとはいえ、羞恥心を持ちなさい!


 洋子さんお約束のハプニングを乗り越え、やっとボクはベッドに横になる事が出来た。雨に打たれたからか、病気にはならないのだが、凄く疲れた。毎度の事だが、洋子さんの抱き枕になりながら、ボクは深い眠りにおちた。



 朝までぐっすり眠れたのは、いつ以来だろうか?洋子さんと引っ越してからも、夜中に目覚めたりしていたから、本当に久し振りによく眠れた。大きく伸びをして、洋子さんも起こす事にしたが、何故スッポンポンなんだ!!全く困った人だ。


 頭を抱えながら、そのまま起きてトイレへ向かう。途中、入り口のドアの下に、紙切れが滑り込んだ状態で、落ちていたのが見えた。拾い上げて見てみる。


 伊町様  私達は先に出て、指導者である『松林様』の無事を確認してきます。後で迎えをやりますので、それまでお待ち下さい。  川上


 川上さんからだ。ボクが尾けられていたかもしれない為に、川上さん達の指導者を、危険に(さら)してしまったかもしれない。


「稜くん、離れちゃダメじゃない。も〜。」


 そう言いながら、手紙を読んでいたボクの背中に、いきなり抱きついてきた洋子さんの破壊力がある胸が、ボクの頭の中で警鐘をならした。


 だーー!!何か着て下さいっっ!!


 朝からドッと疲れた気分だ。せっかくぐっすり眠れたのに……。幸せだったが。


 それはさておき、迎えが来ると書いてあったが、工藤さんかな?また林の中とか勘弁してほしい。


 あれから随分経ち、チェックアウトして下さいと、連絡が入る。荷物をまとめて、洋子さんと外に出ると、雨はすっかりあがっていた。なんというか、このラブホテル以外、なんてのどかな景色なんだ。本当に周りには家一軒見当たらない。

 こうしてても仕方がないので、少し先に見える、農道らしき小道に出てみた。が、迎えも何も来ない。


 パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ……


 ヘリの音がしたので、思わず空を見上げる。そういえば、子供の頃から、この音が聞こえたら空を見上げていた。大人になった今も、不意をついたように、つい見上げさせられてしまう。習慣みたいなものだろう。隣で洋子さんも見上げている。洋子さん、口を閉じなさい。


 バタバタバタバタバタバタバタバタバタバタ……


 音が近くなってきた!パタパタから、バタバタに変わった!


 どんどん近付いて、とうとう目の前に着地した。唖然としてそれをみていた洋子さんの腕を取り、ソッとボクの後ろに洋子さんを隠す。組織か?どちらの組織だろう。


 後部ドアが開き、川上さんがこちらに駆けてきた。これが迎えなのだろう。


「伊町さーん!お待たせしましたー!」


 大声でそう叫ぶ川上さんが、カモン!と聞こえてきそうな合図を送っていた。腰を落としながら近付き、初めてのヘリに乗り込んだ。それにしても、凄い風圧だ。


「兄ちゃん!乗っていくかい!」


 なんと!?工藤さん!?


 同じくだりだが、素直に驚いた。ヘリの操縦もやるのかアンタ!?とつい言いそうになった。どうかこれが『スーパーヘリ』になりません様にと、心からお祈りした。



凄いお迎えに驚く二人!更にその操縦士がまたまた驚き!無事に着くのだろうか!?

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