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16.5 男の意地

振り下ろされた一刀!更に迫る斬撃!

「届けぇぇぇぇぇぇええ!!!!」


 シュパッッ…………


「ど、どうだぁぁ!!!」


 刀はボクの脇腹に見事に受け止められ、それを二度と振り回されないよう、そのまま両手で、刀ごと男の腕を押さえ込む様に握り込む。刀は脇腹にめり込んだままだ。気が遠くなりそうな程痛い!が、ここで引いたら、洋子さんが危ない!


「今度はぁ!ボクがっ……ぐっ、まもぉぉぉる!!」


 ドスッ!!!


 ボクの背後から、白く綺麗な腕が伸びていた。その腕の先にナイフが握られた手。更にそのナイフは、男の頭蓋を砕き、深々と刺さっていた。ボクの視界から男が消える。


 ボクの背中にもたれる様にして、トドメを刺した洋子さんの腕を取り、振り返りながら、彼女の身体を受け止める。


「洋子さん!!動かないで、今治癒をかけるからっ!えっと……?」


 先程男に切られた筈の傷が見当たらない。一刀目は間違いなく振り下ろされたはずだが。他は浅い傷だから、直ぐに癒せる。疑問を抱きつつ、小さな傷の治癒を始める。


「ありがとう稜くん。切られてないから大丈夫だよ。助けに来てくれてありがとう!すっごくカッコよかったよ!」


 そう言いながら、胸元のナイフに視線を落とす洋子さん。切られたと思っていた一刀目を、咄嗟にナイフで弾いたらしい。さすがとしか言いようがない。そんなやり取りをしながら治癒しているうちに、全ての傷の治癒が終わった。


「あ!稜くんこそ凄く切られたでしょ!早くしないと!はや……く、え?」


 ボクの脇腹をゴソゴソ探り出す洋子さんの驚いた様子に、安心感が心を満たしてくれる。生きててくれて良かったと、心から思う。


「大丈夫だよ、洋子さん!自分のは勝手に治る様になったから。」


「ええ〜っっ!稜くんそれって、ほぼ無敵って事じゃない!?」


 またまた驚く彼女に、ボクは頷いて答えた。しかし、今回は血を失い過ぎた。さすがに貧血気味だ。

 洋子さんもかなりの死闘だった筈だ。かなり疲れた様子をガクガクしている彼女の膝が証明している。


 お互いにフラフラだったので、肩を組んで支え合いながら、立ち上がる。二人三脚で立ち上がる感じがして、吹き出しそうになる。洋子さんも同じだったみたいだ。軽く握った拳を口元にあて、笑いを堪える仕草を見せていた。年上だが、やはり可愛らしい人だ。


 そんな二人の、せっかくの良い雰囲気を壊す様に、ボク達の後ろから声が響く。


「待て!伊町〜!松田も〜!やってくれるじゃないか!まさかお前に小田がやられるとはな〜。ちょっと驚いちゃったよ〜。」


 そう言って銃をこちらに構えていたのは、さっきの男『小田先輩』の上司、『店長』だ。怪しいとは思っていたが、小田を見た時、やはり。と、思っていた。小田がいたからコイツの事も懸念していたが、まさか銃を持っているとは……。洋子さんもボクも、今はフラフラでマズイ状態だ。


「おら!どうした?なんか言えよ!い〜ま〜ち〜?組織の命令では拉致という事だったが、小田を殺した奴を生かしておく程優しくねぇ〜んでな!伊町、お前死ね!ヒャハハ!その後松田〜痛めつけて遊ばせてもらうからよ〜心配いらね〜から死ね!」


 ズガァァァンン!!


 空気を割く様な銃声と同時に、胸に激痛が走る。傷は塞がり始めるが、口からもコップ一杯程の血を吐いた。貧血気味の身体には少々辛い。一瞬意識が飛びかける。


 クソッ!ボクはいいが、洋子さんが……、こんな下衆な男に、洋子さんを渡してたまるかっ!


「お〜、中々しぶといじゃねぇ〜か〜。ヒャハハッ!まだ弾はあるぜ〜!いつまで保つか試そうぜぇ〜っヒャハハッ!」


 ガァァン!ズガァァァン!!!


「ぐばぉっ!……ゴブッ……」


 二発喰らい、かなりの血を吐き、さすがに膝から崩れかかる。


「り、稜くん!!稜くん!」


 マズイ、洋子さんだけでも逃さないと……。……!意識が……くっ。


「な〜んだよ!もぅ終わりか〜?なら松田で遊ぶよ〜?足撃ってから遊ぶか〜?」


 下衆店長が洋子さんに狙いをつけているが、足に力が……マズイ。


「ぐっ……洋子っ、さん……にげ……て……ゲボッ!」


 シュョパッッッッッ…………ドサッ!


 う……ヤバ……。




 「キャァァッ!!痛い!!痛い!!ちょっ!」


 !うっ!!誰かの叫び声?……!洋子さん!


 まだ少し残る頭の痛みを堪え、声のする方へと向かう。


「ちょっと痛いってば!洋子!!」


「もう!少し我慢してよ!手当てできないじゃん!」


 ボクの目に、ピンピンした様子の元気な洋子さんの姿が映る。


「あれ?洋子さん?無事だっ」


「稜くん!!よかったー!!もぅ〜」


 前に助けた時の様に、泣きながら抱きついてくる洋子さんに、デジャヴ感を覚えた。


「また洋子ってば、稜くんラブなんだから。手当てはどうしたのよ、私の。」


 ふてくされた口調の声に聞き覚えがある。そこにいたのはゆうこさんだった。身体中に包帯を巻いてる姿が痛々しい。黒いモヤが身体の至るところから出ている。正直なところ、洋子さんの事を心配していたから、ゆうこさんに気が付かなかった。

 まだ離れてくれない洋子さんをそのままにし、ゆうこさんに尋ねてみる。


「あの下衆店長はどうなったんですか?」


「あぁ、アイツね。私が殺した。」


 こ、殺したって……。相変わらずサラッと言うな。


「な〜んてねっ!腕を狙撃したから生きてるよ。縛ってあるけどね。」


 その言葉に安堵するボクは、持っている能力も『治癒』だけあって、人の命を奪うのは、やはり同意出来ないが、洋子さんが危険な時は別だ。その考えを曲げないとならない場面が必ず出て来る。今回の小田の様に。

ボクは小田との戦いを思い出しながら、まだ抱きしめたまま離れない洋子さんの頭を、無意識に撫でてしまっていた。気付いて止めた時、既にゆうこさんがジト目でこちらを見ていた。他意はない!

 洋子さんは拗ねてブツブツ言っていたが、ゆうこさんにチクチク言われ、手当てに戻った。それを見てボクが提案してみる。


「素肌に直に触れないとダメなんですが、ゆうこさんが気にしないのであれば、治癒の能力で、治して差し上げますが?」


 手当てしていた洋子さんが、いきなり立ち上がり喋りだした。


「だ、だ、大丈夫!そんな、稜くんが触る事ないよ!こんなの放っておけば治るっ!ね!まだ体力も戻っていないんでしょ?あっちでゆっくり休んでて。終わったら私も行くから!ね!ね!」


 この人の頭の中に、『相手の意思』という語録は存在しないのかもしれない。ゆうこさんが気の毒だ。そして、終わっても来なくていいのだよ。余計に休めない気がしてならない。それどころか、身の危険を感じる。

 そんな事を考えているボクを、洋子さんが強引に部屋から追い出す。終わる前に深い眠りに入る。それがいまの最優先任務だ!やり遂げなくては!!


洋子への感情の変化に、いまいちピンときてないニブイ主人公。さてさて、洋子の想いは成就するのか!?道のりは遠く険しいのである。

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