表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/102

100 自己満足は自身の為に

いよいよ最後の決戦!無駄死にがはいように…



※ 4/21 誤字、脱字、訂正、加筆をさせて頂きました。



「凄く盛り上がってるみたいだけど、申し訳ない。今回戦う相手は凄く危険なヤツなんだ。だから『治癒』『再生』が使えない人間を連れては行けない。」


 善さんの葬儀の後に、具体的な作戦を練ると言って、ボクの自宅に仲間達が集まっていた。大勢が参戦してくれる気持ちは有難いのだが、先程言った様に、死ぬ可能性が非常に高いので、自己再生が出来ない者を連れて行きたくないのだ。


「でも、伊町さん!戦いで死ぬも災いで死ぬも変わらないですよ!おいら達も一緒に行かせて下さい!」


「あぁ!オレ達も同感だ!姐さんと共に戦うぞ!」(『ゆ組』組員)


 ボクのその意見に、寺ッチが食い下がってきた。それに合わせる様にして、ゆうこさん率いる『ゆ組』の皆さんが、声を揃えて賛同し出した。ゆうこさんは、組織ではなく『組』を作ったようだ。


「じゃあ正直に言うよ…、『ゆ組』全員がヤツらの一撃で即死する。ボクも一人では絶対に勝てない。洋子さん、ゆうこさん、シャクシさん、ユキさん、和枝さん、ボク、この六人でも正直なところ厳しい戦いになると思う。無駄に死んでほしくない。これが本音だよ。」


 ボクが心配している事を、中々理解してくれない様子だったので、本音を真っ直ぐにぶつけてみた。すると、先程まで声を揃えて賛同していた連中は、下を向き言葉を失ってしまった。ゆうこさんもかける言葉がなさそうだ。


ボクが名前を挙げたメンバー達は、ゆうこさん以外の全員が、ボクの意見に同意してくれている。ゆうこさんは仲間と一緒に行く考えを曲げようとしないのだ。


「ゆうこさんにとって、彼らは家族みたいなモノなんでしょ?だったらボク達でヤツらと戦い、家族を守ればいいじゃない。勝利したけど仲間がたくさん死んだ、なんてボクは嫌だよ。」


「それは分かってる。稜くん、私がアンタ達と同じ場所にいたいと言った時、仲間だと言ってくれたよね?それ、コイツらだって同じなんだよ。私には痛い程分かるんだよ…、コイツらの気持ちが。そういう気持ちのヤツってさ、置いて行かれると死ぬより辛いんだよ。」


 あぁ、そうだった…、ゆうこさんもあの時居場所を求めてた。そして…今のこの連中は、自分達の居場所を見つけたのか。どこまでも同じ場所で…、か。


「分かったよ…、ゆうこさん。でも、ボク達が前に出て戦う間、彼らは後ろから援護してくれるだけにしてほしい。絶対に前に出ない事。言い聞かせてね。」


「お前達、それでいいわね?援護も大事な役割りなんだ。しっかり頼むよ!」


「分かりやした!姐さん!!」(『ゆ組』全員)


 不本意だが仕方がない。気持ちが分からない訳ではない。



 〜 翌日 〜


 庭に集合した全員の顔から覚悟が感じられる。どのみち今日でこの世界の行く末が決まってしまう。ここにいる全員がその事を承知している。勝算などカケラもないが、戦わずして死ぬのもごめんだ。


「皆んな!これから最強の敵と戦いに行く!仲間が命を落とすかもしれない!だが、戦いの最中は自分の身を守る事と、敵を倒す事に集中してくれ!勝利した後に必ず骨は拾うから、安心して戦ってくれ!行くぞー!!」


「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」(全員) 『空間転移!!』 フォォォォォッ…。



 〜 すり鉢谷施設 〜


 約束の場所に全員で転移した後、ボク達は即座に前衛、後衛に別れて決戦に備える。


「約束通りにきたぞーっ!姿を見せろ!!」


 既に覚悟は出来ている。そう自分に言い聞かせ、出来るだけ不安を吹き飛ばす様に、大声で叫んでみた。施設入り口まで二十メートルというところだろうか。そこにボク達前衛が構えている。後衛はその更に後ろの、コンクリートで出来た防壁に身を隠している。そこからライフルで牽制してもらう予定だ。


「これはこれは、また大勢で来たものだ。…、楽しませてくれるなら構わない。『悪』よ、先に私にやらせてくれないか?……、了解した。…、という訳で下等生物達よ、この『最善』が相手する。かかってこい。」


 施設の入り口から姿を現し、顔半分ずつで話し合っていたが、『最善』が先発に決まった様子だ。同じ身体でどちらが先とか、何か意味があるのだろうか。とにかくボク達は全力で戦うのみだ。


 こちらは、ボクと洋子さんで先陣を切る予定だ。お互い斜めに構えて、右足を引き踏ん張る。そして『瞬足』、『縦横無尽』、『炎掌一閃』、『雷光一閃』を発動。洋子さんは更に『鉄壁』を発動していた。


そして引いた右足に力を溜めて、その場の空気を爆発音に変え『最善』に突っ込んでいった。辿り着く一瞬の間に、ヤツが不敵に笑ったのを確認して、ボクは、弧を描いてヤツの後ろに回り込む様に軌道変更をした。その間、ヤツの身体は不動のままで、眼球だけでボクを追っていた。


 直ぐ後ろからついて来ていた洋子さんは、軌道を変えず真正面から膝蹴りを放っていたが、それを目視せずに、右二本の腕でヤツが弾き返した。同時にボクは、後頭部目掛けて『炎掌一閃』を叩き込んだが、これも左二本の腕で止められてしまう。


そして、その『炎掌一閃』を纏った腕を掴まれ、地面に叩きつける動作に入ったところで、ボクのもう片方の腕に纏った『雷光一閃』を掴んだその手に突き刺した。凄まじい雷撃が同時に流れ、ヤツがボクの腕を掴んだまま片膝をついた。電流の影響で腕を離せない様だ。掴む手に更に力が入っていた。


弾き飛ばされた洋子さんが、今度は全身に『雷光一閃』を纏い舞い戻ってきていた。今度は躱されない様に、ゆうこさんの指揮で援護射撃が入る。ライフルの達人でもあるゆうこさんも狙撃している。その一撃が『最善』の眼球を直撃した。当然目を閉じ視界が塞がれたヤツは、洋子さん自身が刀身となった『雷光一閃』をまともに食らっていた。


同時にボクは、自分の手首を切り落とし、自動再生する間に直接『治癒』をかけた。案の定、洋子さんの全身から放たれた雷撃が、ヤツの身体全てに纏わり付いた。その威力は、腕に纏う雷撃より遥かに上を行くのだ。その為ボクは、なりふり構わず手首を落とした、という訳だ。


 だがこのチカラの使い方には欠点があり、着ている服が焼け落ちてしまうという、全国のお父さんには嬉しい欠点だ。それを知っていたボクは、ヤツから離れた直後の洋子さんを抱き上げて、一時的に転移で島に連れて行く。ほとんど丸裸の洋子さんに服を着てもらい、直ぐさま転移で戻った。


三分掛からず戻ってみると、ヤツがまだ転げ回っていた。雷系の攻撃が苦手だと判断して、ボクが両腕に『雷光一閃』を発動すると、全員その事に気付いたのか、両腕に『雷光一閃』を纏いだした。


そしてボクがヤツにソレを、高速で左右交互に繰り出した。すると全員がこちらに一瞬で移動して、ボクと同様に高速で左右交互に打ち込みだした。


「うわぁぁぁぁぁ!!うゲェ!やめてくれ〜!…、な〜んちゃって。…、『烈風』…。」


 …、ゴォォォォォォォォォォッ!  「ワァァァッ!!」(ボク達)


 わめき声に騙され、優勢かと思われたが、ボク達の攻撃が全く効いていない様子で、『烈風』という力を使い、そこにいた全員が吹き飛ばされてしまった。


「ふん、『最善』の治療が間に合わないとは。私が出なければ負けていた。お前達、中々楽しいぞ。この『最悪』がまとめて息の根を止めてやろう。」


 どうやら『最善』は、『治癒』でも使っていたらしく、ボク達の攻撃が激し過ぎて、治療が間に合っていなかった様だ。そこに『最悪』が出てきて、『烈風』でボク達を吹き飛ばしたみたいだ。


「すまない『最悪』よ。そのままでいけるか?…、問題ない『最善』よ。治療はいらない。私に戦わせるんだ。…、承知した。…、うむ、任せよ。」


 ずっと聞いているが、やはり独り言にしか聞こえない。しかし、ちょっと引っかかる言葉があった。ボクは仲間達に向けて指示を出した。


「一箇所に集まって待機!集まり次第、シャクシさん、ゆうこさん、和枝さん、ユキさん!『音壁』を同時にかけて!洋子さんはボクと………を同時にお願いね。」


 ボクの指示通りに後衛が一箇所に集まっていく。そして先程指示した『音壁』が発動した。ボクと洋子さんは、ヤツに向き直り、お互いの手を取り合って突き出した。


「何か楽しませてくれるのか?ならば待つとしようか。下等な生き物に遅れはとらんよ。」


 完全にボク達をナメている様子で、ヤツはそう言い放った。ボクと洋子さんは、更に強く互いの手を握り合う。そしてあの時の失敗で生まれたチカラを、同時に発動させる。


              『大爆裂』!! 

 シュォォォォォ…カッ…ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォドゴォォォォォォォン!!


 ボク達を中心に、第一波の凄まじい轟音と炎が、渦巻きながら一気に広がる。更にボク達を中心に第二波の大爆発が発動。その衝撃波が第一波に追い着き、炎を更に広範囲へと押し出した。洋子さんとの同時発動で、あの時とは比べものにならない威力だ。


 そしてボクが引っかかっていた事が、確信に変わった。ヤツが身体の原型を失いかけている姿が見えた。そう、二人で話す事は出来ても、戦闘時は一人のチカラしか使えない様だ。


先程突然入れ替わった『最悪』の『烈風』で吹き飛ばされたが、その後に『最善』と二人で話していたのに、身体のキズは治せていなかった。治療はいらないと言っていた事で、『最悪』は治療のチカラが使えないと踏んだのだ。そしてこの行動に出たのだ。このチャンスを逃す手は無い!


「皆んな!!今のうちに総攻撃だ!!行けーっ!!」


 ボクの叫び声を合図に、仲間達全員がヤツに激しい攻撃を浴びせていく。ヤツは『大爆裂』で既に身体の半分以上を失っていた。しかし、油断は禁物だ。青木で経験したので、これを教訓とさせてもらう。


 ボクと洋子さんもそこに参戦した。しかし、『最悪』が『最善』と入れ替わったらしく、再生が腕から進行していた。先程と違い進行が早い。ヤツが腕から再生した理由が分かった。


 物凄い速さで再生した腕は、ボクの隣にいた洋子さんを掴み上げていた。


「言っただろう?お前のメスを引き裂くって。『最善』よ、この享楽の機会をありがとう。」


「キャァァァァァァァァ!!ぐっ…、この……り、稜くん…たす…けて…。」


「洋子さん!待ってて!!」 ガスッ!ドゴッ、ドカッ!ゴッ!


 洋子さんが目の前でピンチなのだが、ボクの攻撃は、残ったヤツの腕にことごとく弾かれている。このままでは洋子さんが危ない。必死に堪えている様子だが、気を抜くと今にも引きちぎれてしまいそうだ。


 ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ……

「ガルルルルルルルル…、ワォォォォォ…ン、ガウガウガウ!グワァウ!!」


 物凄い勢いでボク達の真横から突然接近してきて、飛び上がった勢いのまま『最善』と『最悪』の首ごと噛みちぎった、バカでかい真っ白な獣。ボク達が苦戦していたヤツらを、一瞬で嚙み殺してしまった。そのお陰で洋子さんが解放され、ボクがシッカリ抱きとめる。


「洋子さん!大丈夫?ごめんね、ボクが油断してたよ…。でも、今度はあの獣が脅威になったよ。…倒さないと。立てる?」


 『象』と同じ程の大きさだが、俊敏でどう猛だと思われるその獣が、ヤツらの首を食い終えたのか、今度はボク達に向き直った。その顔は、どこか愛嬌がありそうで無い様な、不思議な顔つきだ。まるでデカイ犬の顔にも思える。洋子さんもようやく立ってくれた。


 一難去ってまた一難か。こんなバカでかい獣をどうやって倒すかだ。



「ガルルルルルルルル…、クゥンクゥンクゥン…、ガウ!ガウ!」


 辺りを見回し唸っていた獣だが、こちらに顔を戻すと犬の様に甘えた鳴き声を出していた。その様子に何かを気付いた様な顔つきで、洋子さんが獣に近付きながら尋ねてきた。


「稜くん、この子…、ノイジーだと思わない?…ねぇキミはノイジーなの?」


「クゥンクゥンクゥン…クゥン…。」


 洋子さんが獣にそう尋ねると、鼻先を洋子さんに擦り付け、また甘えた犬の鳴き声を出した。


「ノイジー?…お手!」パシッ。 「お座り!」ドスン。


 驚いた事に、洋子さんの指示に従い芸を見せる獣。こんなデカイのがノイジーだと言うのか?もっともっと小さかったと思うが。更に洋子さんが指示を出した。


「ノイジー、ハウス!!」 「ガゥッ!」 ガシャッ、ガシャッ、ガシャッ…


 洋子さんがそう指示すると、施設の入り口に駆けて行く獣。どうやらノイジーかもしれない。


「稜くん、あの子やっぱりノイジーだよ!私を助けに来てくれたんだよきっと。ね、ね、川上さんなら何か知らないかな?ここも松林の施設だと思うし。」


 洋子さんがノイジーだと信じているようなので、確認と今後の安全の為にも、ボクは川上さんを転移で連れてくる事にした。移動するとちょうど会議が行われていたが、ボクは彼女を強引に連れ出し転移で戻った。


「稜くん、ありがと。…、あの、川上さん、あの大きいのがノイジーみたいなんです。何か心当たりがないですか?」


「あ、間違いないですね。松林さんに言われて、私が組織に連れて行ったんです。研究に必要だと言って、どこかの施設に連れて行ってしまった様ですが、ここにいたとは。ノイジーは研究段階であの姿になったのです。誰かの言うことを聞くだなんて…。」


 いきなり転移したので驚いていた川上さんだが、本人が智に命令されて連れ出したと言う。という事は、洋子さんのピンチの声を聞いて、この施設内に移されていたノイジーが助けに来た、という訳なのだろうか。こんな事をボクが考えている間も、洋子さんが巨大ノイジーとじゃれ合っている。その様子を見て、安心した様子で仲間達が集まってきた。ボクはその彼らに向けて切り出した。


「皆んな…、最後はノイジーにいいとこ持っていかれたけど…、終わりだね。もう災いは無くなったんだ。本当に皆んな良くやったよね!ボク達勝ったぞー!!」


 ワァァァァァァァァ!!(全員の歓声)『姐さん愛してます!!』(ドサクサ紛れの声)



 これでようやく世界の終焉を免れた事になった。都市をいくつも廃墟にしてしまう程のチカラを持っていた、それほど強大な『最善』と『最悪』だったが、今回の戦いにおいてヤツらは、青木戦の時のボクと同じで、自分に驕りがあったのだろう。いつ何が起こるか分からないのだから、油断は禁物だ。


 しかし、ボク達が死闘を繰り広げ、この世界を救ったのだが、この世界の人々がソレを知る事はないだろう。感謝される事も無く、知ってもらえる事もないボク達の死闘。


ボク達は誰の為に戦ったのだろうか?今までも、これからもそうだろうが、ここにいる皆んなもボクと同じ気持ちを持っているなずだ。人々を助け、大切な人を守る。その為に、誰かが気付いてくれなくてもボク達は命をかけて戦う。これは最早、単に人の為成らずの『自己満足』なのである。


 本当だ。これがボク達の今後の口癖となる、『自己満足(タイ)他が為成(トル)らず』が生まれたキッカケだ。


文字数を気にしすぎて、上手く最後を締めくくれなかった事が残念です。しかし、こんな私の思いつきの物語をこれまで読んで下さりありがとうございます。次、何かを作る時は、しっかりと最後まで考えてから投稿させていただきます。本当にありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ