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曖昧な僕ら。  作者: 藤丸のりか
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【SになりたいM】友人執筆

・Aと同居を始めて早半年、Bは改めて変態に… ※こちらは藤丸のりかの友人の作品です。

どうも、Bと言う者です。

ただ今夕飯を作るためキッチンで玉ねぎを刻んでます。今日は炒飯です。

若干目が痛い。涙出そう。ぐすっ。


さっきから背後に温もりを感じているのだけれど、それはラブラブ夫婦のようにほんわかしたものではなくむしろ程遠い。

本気で鬱陶しくて仕方ない。でもそんなことは口が裂けても言えません。


もうかれこれ10分ほどこの状態が続いてるわけだけど、流石に無視を続けるのも限界がきた。


「あのー、一つ聞いていいかな」

「何?」

「何してんの?」

「何って?Bのケツ撫でてんの」

「いや、それくらいわかるけど。で、何がしたいの?」

「愛でてんだよ。良いケツしてんなってさ」

「…」


このふざけた変態野郎は、何故か成り行きというかちょっとした誤ちで同居することになったA。

基本変態で構成されていて、主に変態である。大事なことなので2回言った。


最近は本気で人間かどうかすら怪しいと思い始めた。正体不明の未確認生物。…いや、やっぱり変態だ。


僕がこの変態、もといAと同居を始めてから早半年が経った。

毎日この変態に振り回されて僕はヘトヘト。

お陰で人は僕をパシリと呼ぶ。うう、屈辱だ。

Mじゃないのにこき使われて可哀想な僕。

僕はどちらかと言えばSなのに。


いい加減尻を撫で回され続けることにも我慢出来なくなり、右手に包丁を握ったまま上半身を捻ってAに向き怒りをぶつけた。



「あのさぁ、料理しづらいんだけど。いい加減離れてくれない?」

「おいB」

「はい、ごめんなさい」

「お前誘ってんの?」

「は?」

「目に涙なんか溜めて、潤んだ目で男見上げて何お前襲われたいのか?」

「何言ってんの?潤んでんのはどう考えても玉ねぎ切ってたせいだし、誘うとかそんなアホな思惑があるわけがないじゃん。そもそも男が男にきゅんとするなんて…、」

「え?」

「…え?その顔はどういう意味?」


人をバカにしたような呆れたような、何とも言えないAの表情を見て途端に不安を覚える。


「B、お前は世の男を甘く見てるぞ」

「えっ、何?世の男はそうじゃないって言いたいの?やだよ、そうだと信じたいよ!そういうこと言うのやめてよ!」

「チッチッ、甘いなあBは。数か月過ごしてきて気付かなかったのか?俺はノンケだって食えるんだぜ」

「えっ、えええええええええええええええ!!?」


僕の顔から血の気が引くのがわかった。

やばい。僕が危ない。


僕は思わず握ってた包丁を振り回してAを引き剥がそうとする。

が、Aはこの至近距離にもかかわらず全てを軽くかわして僕から包丁を取り上げた。


ああ、僕の操さようなら。

そして新たなジャンルを開拓した僕こんにちは!…なんてすんなり受け入れられるかあー!

そうこうしているうちにAは僕をしっかりと抱き留めていて、その顔には不気味な笑顔が浮かべられている。

もうダメだ。ある意味死を覚悟した時、Aが突然吹き出した。

腹を抱えて笑い転げるAを、唖然と見つめる僕。


「ぶぁっはっはっ!マジでびびってやがるっ、ヒッヒッ腹痛ぇあーはっはっは!」

「…嘘かよ」


マジで殺してやろうかと思った。

笑い転げた際に投げ出された床に転がる包丁で。


怒りに震える拳を抑えて起き上がったAを睨んでやるが、Aは全く悪びれる様子もなく。


「ま、そう怒るな。生憎俺は美人専門だから安心しろ」

「生憎っていうか悲しくも何ともないから。全然残念じゃないから」

「あっ、そう。くっくっ」


まだ笑いが治まらないのか、時々吹き出しながらリビングへ帰っていった。

僕は深く溜め息を吐いて、調理を再開する。


Aという変態生物は本当に掴み所がなくて困る。

奴と知り合ってからはもう随分経つが未だ謎が多い。というか正しくは理解に苦しむというか。


それなのに何だかんだで半年も同居してきたのだ。きっと僕は変態菌に感染してしまったのだろう。

僕に対するAの扱いは酷い物で毎日家に帰ってくるのが億劫で仕方がないけれど、だからって僕は束縛されてるわけじゃない。


家を出たければいつだって出られるのに、出ようとしない僕もどうかしてる。


「はあ……」


それもこれも、全部あの変態野郎の所為だ。




SになりたいM

(なぁ、飯まだー?)(もうちょい)

(俺腹減って死にそう、早くしないとB食うよ?)(早急に作らせて頂きます)

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