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曖昧な僕ら。  作者: 藤丸のりか
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【野良猫】

雪が降る程寒い日、Bの携帯は寒さでなく非通知からの着信に震え…


「そういえばA、携帯に僕の名前なんて登録してるの?」


曇る眼鏡を頭に乗せた間抜けなBがAを見上げる。

AはBの味噌ラーメンに載ってたチャーシューを奪い、答える。


「おかん。」


Aのチャーシュー麺からチャーシューが2枚奪われた。




Aに貰い、バイト先でできた元彼女に「B」とデコってもらった僕の携帯。

バイト中も帰宅中もずっと震えていた。

寒いからではなく、怪しい非通知の相手からストーカー並みに呼び出され続けていた。

でも出ない。

一度出てしまい、怪しいことになって、ちょっと怖くなってAに助けてもらった後にこっぴどく叱られたからだ。

ダイニングのソファに寝っ転がり、何を食べようかと思案していたらまた震えた。

ガラステーブルの上を跳ねてやたら五月蝿い。

それに何か、…虫の知らせというかなんというか、出なきゃいけない気がした。


「もしもし。」


「…一応、確認するけど×××のお母さんかしら?」


「詐欺に引っ掛かってあげようにも居候にはお金がありません。」


「お宅の、」


切ろうとしたら女の人がすかさず付け加えた。


「坊やが可愛がってる金髪のオッドアイの大きな雄の野良猫が怪我をしてうちに来たわ。」


「…それは、ご丁寧にご報告ありがとうございます。」


「いい年こいて駄々こねて鬱陶しいから追い出したわ。後よろしくね。」


そう言って女の人から電話を切った。

こんなこと初めてだ。

あんな言い方してたけど、あのAの携帯を盗み見たであろう番号に電話をかけてくるなんよっぽどだ。

それだけ心配になるほど酷い怪我なんだ。


「…まったく、いい年こいて何やってんだか。」


正確な年齢は知らないけれど、確実に結構年上のくせに落ち着きの無い男に大きな溜め息が出る。

せっかく軽くなった身体にまた防寒着を何枚も装備し、Aを探しに行くことにした。



もうそろそろ誰か飼ってあげてくれないかな。 by B

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