【肝試し】
本当に肝が試されたのはこの男だった…
客も疎らな深夜、Bは一緒に入っている渡辺25歳と一枚のチラシを見て小声で盛り上がっていた。
「僕もう、小林君のリアクションが楽しみ過ぎて寝れないッス。」
「超わかる。当日ヅラとか持ってって全員で小林苛めてやんのも良いッスね。」
「いや、それは流石に可哀想過ぎますよ。多分普通にしてても充分面白い物が見れますって。」
「はは!じゃあ田中さんに仕掛けようかな。」
「絶対止めて下さい。ガチ泣きした後、暴れ回りますよ。」
「うへ、それはご勘弁。田中さん、その容姿でその強さは反則ッスよ。昔、相当やんちゃだったでしょ。」
「さあねえ?」
眼鏡の上から見上げるBに、渡辺は鼻を鳴らす。
「佐藤じゃあるまいし、上目使いしたって見逃してやりませんよ。」
「あはは!何それ?じゃあ佐藤君、背え高いから大変だね。」
「いやいや、あんた限定スから。」
「何が?ああ、佐藤君の顔見ようとすると目だけ動かすだけじゃ駄目な感じが?」
「…ガチで?」
「?」
Bは顔を動かし、眼鏡越しにきちんと矯正された視力で渡辺の顔をハッキリと見た。
渡辺の顔には「ドン引き」と書かれていた。
Bが「喧嘩売ってんのか」と渡辺の脇腹を小突こうとした時だった。
「こら、仕事しろ!」
「「!?」」
「なーんてな。」
急に掛けられた男の声に驚いた二人は、レジ横の保温庫から顔を出した男を見て更に驚いた。
今日は黒髪だが、Bがこの顔を見間違える訳が無い。
「Cさん?」「うわ、イケメン。」
Bと渡辺の声が重なり、Cは苦笑う。
「こんな時間に二人入ってるとか、珍しいやん。」
「いえ、実は俺もうタイムカード打刻してるんで。」
渡辺は先程までBと見ていた広告を ペロッ とCに見せた。
「すみません。明日皆と遊びに行く約束をしていて、その話をしていました。もう帰ります。」
「こっちこそ話の腰折ってしまって悪いなあ。ちょっと驚かせるだけのつもりやったんや。」
「いえ、悪いのは残ってた俺ですから。」
言葉とは裏腹に「バイバイ」と振られるCの手を睨む渡辺に、Cは更に笑みを濃くする。
渡辺は薄ら寒くなり、Bよりも後ろへ引いた。
「じゃあ、田中さん。数時間後、いつもの場所で。」
「はい、お疲れッス。」
「おつー。」
ぽんぽん とBの頭を叩いた渡辺は更に寒気を感じ、いそいそと更衣室へ引っ込んだ。
「(…イケメンの間じゃ瓶底眼鏡が流行ってんのか?)」
とすると瓶底眼鏡に何もときめかない自分はイケメンではないのかと、鏡を改めて覗き込んだ。
「(瓶底といやあ小林もか。…結局は顔か。)」
Bの素顔を思い出し、それだとわからなくもないかと納得し、納得してしまった事に落ち込んだ。
「B君、ホラーとか好きなん?」
「はい。まあ、人並みに。」
BはCが持って来た商品のバーコードをスキャンしながら答える。
「こういうのって彼女と行くもんとちゃうん?」
「僕、今彼女居ないですし、居たとしてもこのメンバーでも行くと思います。」
「へえ?」
「絶対楽しいですから。」
そこで顔を上げて微笑むBに、Cは左胸を押さえた。
Bは小計をモニターで示し、商品を袋に詰めながら話を続ける。
「学生の時は家が厳しくてあんまり羽目を外して遊べなかったから、今毎日凄く楽しいです。」
「そうか。それは良かった。」
Bから袋を受け取り、Cは手を振る。
「楽しんで来てや。」
「はい。」
Bは手を振り返し、カウンターを出て商品陳列に向かった。
―*―*―
翌日。
いつもの待ち合わせ場所でわくわく待つBの元に、まずイケメンが到着した。
「たーなっかさん。」
「やあ、佐藤君。今日も格好良いねえ。」
「田中さんは今日も素敵ですね。」
「え?嫌味?」
「え?どの辺が?」
「まあ良いけど。」
「良くないです!誤解を解かせて下さい!」
「いや、佐藤君はイケメンなのに天然だなあと。」
「それは田中さんでは?」
Bと佐藤が噛み合わない会話を続ける間、中村と途中で合流したという小林と、最後に渡辺は若干遅刻して到着した。
瓶底眼鏡Bはダンスの授業のある小学生の様な服装。
イケメン佐藤は伊達眼鏡を掛け、ジーンズにTシャツというシンプルではありながら小物でこじゃれている。
中村はTシャツにベストに短パンレギンスにハットを被ってお洒落感を出しているが顔が付いて来ていない。
第二瓶底眼鏡小林はザ・冴えない高校生代表、チェックのシャツにジーパンに運動靴だ。
渡辺はシャツを着崩してはいるが高級腕時計とチノパンで少し大人らしい。
Bは目的地に向かいながら、改めてメンバーを見て目を眇めた。
「何で僕らって仲が良いんだろうね?」
「おいおい、田中さん。何かと関係に理由を求めるのは思春期のする事ッスよ?」
「おやおや、ナベさん。何かと思春期を使いたがるのはおっさんのする事ッスよ?」
「まあまあ。」
睨み合う二人に小林は怯え、中村は小林を盾にし、佐藤は華麗に割って入った。
「え?二人一組?」
目的地に到着し、再後列に並ぼうとしたコンビニバイト一行は脇に逸れた。
どれだけ数えても五人しかいない。
「鈴木君は授業だし、バシさんは仕事だし、まあ無くても来ないだろうけど、誰か暇人の知り合い居ないの?」
「俺の知り合いはみんな社畜ッスからねえ。」
「僕は皆さんの他に友達がいません。」
「俺の学科の連中は今必修のコマッスからねえ。」
「中村、進級大丈夫?俺の知り合いはビジュアル的にどう見てもスタッフ側ッスからねえ。バンドのメンバーはバイト中だし。」
「…僕も、友達いないからなあ。」
渡辺、小林、中村、佐藤の順で首を振った。
唸るBに小林は未だ見た事のない俊敏さと力強さで手を上げた。
「僕、帰ります!」
「却下!おまえは俺とペアだ!」
「だから帰るって言ってるんです!ひっ!?」
渡辺は小林を羽交い絞めにし、佐藤は田中を捕まえに行くが、ひらりひらりとかわされた。
中村はその佐藤にしがみつく。
「おい佐藤!佐藤が田中さん大好きなのは知ってっけど今それ苛め!俺に対する凄い苛め!苛め反対!俺絶対帰らねえからなーッ!!」
「誰か二回入るって手も考えたけど、この列二回も並ぶのも待つのも辛いし時間無いし。」
Bは中村に捕まって佐藤が動けなくなって平和になり、よく考えてあまり現実的でない候補に思い至った。
「うーん。やっぱり出ないか。まあ、あの人と入ったらトラウマになりそうだしこれで良かったのかもしれない。」
Bはスマホを下げ、もう一人思い出した。
「もしもし。あの、今、お電話していても良いですか?」
『うん。ええよ?どうしたん?』
「え、ええっとですね。」
とても優しく微笑む浮世離れした美男を思い浮かべ、目の前の施設を改めて見上げ、Bの口は上手く言葉を紡げない。
「…少し前話したあれ、良かったらCさんもどうですか?」
『少し前?あれって?』
「…。」
Bは溜め息を吐いて意を決した。
「お化け屋敷です。」
『ああ、あれな。ええけど、俺みたいなおっさんが混じってもええん?』
「貴方がおっさんなら中村君は何に分類したら良いんですか。」
「ちょっと田中さん!?苛めッスか!?苛めッスね!?」
「中村うるさい。」
今度はBにすがろうとする中村を、佐藤は首根っこを掴んで止めた。
―*―*―
暫くして訪れた光輝くイケメンに、中村と小林は硬直した。
イケメンは珍しくニット帽に眼鏡を装備し、パーカを羽織っているが、それだけでも格好良さを損なわない。
佐藤はイケメンを睨み、イケメンも佐藤を笑顔で睨み、イケメン同士の無言の衝突は何となく目で見る事が出来た。
「ええと、この人は僕の知り合いの知り合いで、」
「椎や。よろしゅう。」
Bの肩を抱くCを見上げ、中村は「確かにこの人がおっさんなら一体俺は!?」とガチ凹みをしていた。
「俺は田中さんと入りたかったのにー!」
「いや、今の中村君とCさんを並べないであげて。佐藤君がペアでも精神的に際どいだろうけどまだ同い年だし、フォローよろしくね。」
捨てられた子犬の様な佐藤と魂の抜けた中村を押し込み、BはCと順番を待った。
先のペアが最初のポイントを通過すれば、次の番だ。
その少し前に、膝かっくんで既にこれからの惨劇を予想し取り乱す小林を小脇に渡辺はスキップしながら入って行った。
Cは楽しそうに笑う。
「B君がわくわくしとったんがようわかるわ。」
「すみません、騒がしくて。」
「何を謝る事があるん?楽しそうで見とってこっちまで気分ええわ。」
ぽんぽんとBはCに頭を撫でられ照れるが、見上げたCの表情で ぞっ とした。
「あと、渡辺君の気持ちがようわかる。」
「流石はAのお知り合いですね。」
「嫌やわあ。あの阿呆と一緒にせんとって。」
「…。」
そうか、僕が中村君と行けば良かったのか。
でもそうするとCさんと佐藤君がペアとなり、お化け屋敷の悲鳴が違う響きになる。
Bはお化けの格好をしたスタッフに促され、Cに背中を押され、お化け屋敷に足を踏み入れた。
郊外にあるそこは、数年前に老朽化を理由に移転した名門私立校の元校舎で、夏場はお化け屋敷として人を集めている。
本当の移転理由は苛めや成績に悩んだ自殺者が多数出た為、という噂はお化け屋敷の設定だ。
中に入れば流石は名門、外のざわつきは直ぐに遠くなった。
暫くは赤いペンキが塗りたくられた窓の隙間から外の景色が見えたが、次第にそれも暗幕で遮られ、どんどん暗くなっていった。
渡された懐中電灯が無ければ歩く事さえままならない。
それらしい物はちらほら出て来たが、めぼしいものはまだ何も出て来ていない。
しかし、Bは生唾を飲み込んだ。
今は何より隣の絶世の美男が突然何をしでかすか、それだけが不安だった。
電灯で照らして地図を見て最初のポイントを改めて確かめる。
冬の暖房がストーブの時代、不慮の事故で焼死体を出したという無茶設定が与えられた1-Dの教室まであともう少しだ。
「Cさん、先に行ってくれませんか。」
「何や、B君もう怖いん?」
Aなら100%からかう為の言葉だっただろう。
しかし、Cの声は柔らかく、態度は優しかった。
少し前を歩くCに、Bは反省した。
「…やっぱり僕がライト持ってるし、先に行きます。」
「怖いんやろ?」
「べ、別に。どれもこれもA程じゃないですから。」
「確かに。」
また並んで歩き出した二人は最初のポイントに付き、Bが扉に手を掛けた。
何が出て来るのかわからないのでゆっくり開けた時、Bの頭の上を何かが通過し、Bの背後で蚊の鳴く様な悲鳴が聞こえた。
「Cさん!?」
Bは慌てて振り返ろうとしたが、Cの懐にぶつかり、懐中電灯を持つ手をCに後ろから握られ、出来なかった。
「大丈夫ですか!?」
「ただの玩具の火の玉や。それより、前向いとかな危ないで?」
「うわーッ!?ほんとだーッ!?」
Bの懐中電灯は焼け爛れた学生の霊を照らし出していた。
その瞬間、教室奥のストーブが点火し、Bの腕を掴むCの手の力が強くなった。
Bが今度こそCを振り返れば、Cは少し青い顔に冷や汗を垂らしていた。
先のペアが先のポイントを通過しなければ後のペアも先に進めない仕様の様で、二人は暫くスタッフさんの迫真の演技を見せつけられた。
第二ポイントの保健室では引き寄せられたという複数の怨霊に囲まれ、第三ポイントの二階職員室では生活指導の悪霊に追い回された。
その度にCは身体を強張らせ、目付きを尖らせた。
Bは自分も恐怖をそこそこ感じながら、Cの様子が気掛かりで、ついに足を止めて口に出した。
「第四ポイントは人体実験された学生達の霊が出る生物準備室ですけど、大丈夫ですか?」
「何が?」
「その、怖いですよね?リタイアしますか?」
Cは改めてBの顔を見て、驚いた。
「え?俺は何も怖ないで?」
「あれ?そうですか?あ、すみません。」
おろおろするBに、Cは我が身を振り返る。
そこで合点が行き、柏手を打った。
「堪忍してや。俺は別に怖ないけど身体がな。いや、怖いんかな。せやできっと身体が勝手に反応してしまうんや。」
「反応、ですか。」
「急に大きい音がしたり、物が出て来たりするとな。つい昔のくせで警戒態勢に入ってしまうんよ。ごめんな?」
「いえ、こちらこそ変な所に付き合って貰ってすみませんでした。」
「ええて。俺もまさかここまで反応するとは思とらんかったで、のこのこ来てもうて後悔しとるわ。お化け役が機械やのうて生身の人間やいうのは問題やな。機械は弁償したらええけど、人は壊したら拙い。」
「じゃあ、Cさん利き手はどちらですか?」
「…一応右やけど?」
Bは懐中電灯を右手に持ち直し、Cと手を繋いだ。
「これでちょっとはマシでしょう?」
笑うBに、Cは身体が傾いで行く。
そして ハッ とし、首を振って戻って来た。
Bの右手を左手で握り、笑い返す。
「片手と言わず、もう両手捕まえとってや!」
「あはは!これじゃ前に進めないじゃないですか。」
その楽しそうな二人の背に、スタッフの一人は忍び寄り、仕事をした。
驚き過ぎたBはそのままCの胸に飛び込み、Cは敵を睨み、改め、お化け役のスタッフを見た。
スタッフは腰を抜かしていて、Cは頬を掻いた。
「ほら、俺も男の子やん?守るもんがあると強なるねん。わかってや?」
お化け役の手を取って起こすCに、Bは尊敬の眼差しを向けた。
そしてとてつもない悲鳴を聞き、Bも目の色を変える。
「小林君!?」
急に走り出したBをCは追う。
お化けスタッフの制止を振り切って現場に辿り着けば、狼狽えながら携帯で本部と連絡を取るお化けスタッフの傍ら、苦笑いを浮かべる渡辺が気を失った小林に膝枕を提供していた。
「何やったんですか、渡辺さん!?」
「いやあ、大学では演劇サークルの幽霊部員だった実力を以って取り憑かれた振りして壁まで追い込んだらさ?」
「あんたは永遠の男子中学生か!」
またもお化けの制止虚しくBは渡辺を説教し、流石に悪いと思っている渡辺はそれを正座で聞いた。
凄い勢いで自分達を追い抜いて行ったBを遅れて追い駆けて来た佐藤と中村は、呆れて物も言えなかった。
その後ろでCは堪え切れずついに吹き出し、大爆笑。
暫く楽しそうに笑い続け、Bの毒気を少し抜いた。
―*―*―
B達はお化けスタッフに誘導され途中退出した。
中とは打って変わって朗らかに天気の良い中庭で、スタッフにも叱られる良い歳をした大人を見守りながら、CはBに微笑む。
「楽しかったなあ。」
「そうですか?最後まで見たかったのに。」
ベンチに寝かされた小林が起きる気配はまだない。
佐藤は手際良く小林を介抱し、「男は顔じゃない」を実証する為に中村は積極的にそれを手伝っている。
Bは悲鳴の漏れ聞こえる校舎を見上げ、溜め息を吐いた。
Cはその背を軽く叩いた。
「それにしてもB君、怖がりのくせにそれでもやっぱり他人の心配が出来るんやね。」
「え?」
今度はCを見上げるBに、Cは頭を撫でる。
「小林君の悲鳴を聞いて直ぐにたくさんのお化け振り切って駆け付けたん、めっちゃ格好良かったで?」
「確かに。その時は無我夢中で、何も怖くなかったかも。」
「君は勇敢で、それだけ危険や。」
「僕はお化けを殴ったりしません!」
「いや、そういう事やなくて。」
「?」
「あの阿呆の近くに置いとくのは確かに危ないかもな。」
Cはまだ怒られている渡辺を見た。
小林が起きるまで続くのかとうんざりしたBは、頬に違和感を覚えてそちら側を向いた。
そこにはCの顔があって、その目はいつもの柔らかい色をしていなかった。
「…紫?」
「俺もまだまだ“若い”って事がわかったで、何からでも君を守ってあげられる。…だから、いつか俺を選んでな。」
「はい。またお化け屋敷の季節には是非。」
「“それも”な。あの子らにもよろしく言っといて。」
微笑んだCは他の誰にも挨拶をせず、帰って行った。
渡辺を叱るお化けスタッフに小林の覚醒を知らせに行っていた佐藤と中村は、いつの間にか一人になっていたBを信じられない物でも見るかの様に見つめる小林を見て首を傾げた。
中村は小林の頭を小突き、佐藤は瓶底眼鏡を渡してやる。
「見、見間違いですよね?い、今そこで、」
「おい、小林。田中さんは眼鏡お化けじゃねえし、もしそうだとしてもおまえの仲間だろ。」
「まだ取り乱してるんだろ?可哀想に。全く、渡辺さんは限度を知らないんだから。」
やっと説教から解放され少しやつれた渡辺は、小林に深く謝罪し、遠くまだ怒っているBにも手を合わせ頭を下げた。
後日。
渡辺とシフトが重なったBは、開口一番に謝罪されたので溜め息一つで機嫌を直した。
お客が居る間は黙々と仕事をこなし、途切れれば談笑して、お互いに心地良い時間が過ぎて行く。
「そういや小林が変な事言ってたんスけど、武闘派眼鏡が怖くて誰も聞けないんで俺がその役目を買って出ようと思うんですけど、どう思いますか?」
「…怖いもの知らずだと思います。」
「お化けは怖くないんスけど、これでも瓶底眼鏡はちょっと怖いんスよ。」
Bが同居人譲りの眼光で「あ?」とばかりに渡辺を睨むが、渡辺の肝には剛毛が生えているらしく、びく ともしなかった。
「あの日、椎さんが田中さんの頬にキスしてたかもしれないって、バイト中にうわ言を漏らすらしいんス。怒られてた俺は当然見てないんで、本人に確認しようと思って。つか、佐藤も最近そのうわ言の所為で色々ヤバいんで、二人の為にバッサリ頼みますわ。ぶっちゃけお二人ってそういう仲なんスか?」
Bは渡辺ごとバッサリ行こうと振り被り、止まった。
“さっきのあれは本気だ。”
顔の前で両手を交差させていた渡辺は、いつの間にかストローを補充していたBの横顔を見て、手を下ろした。
「安心して下さい。大事な事なんで二度言いますけど、俺はこれでも瓶底眼鏡はちょっと怖いんス。」
「良かった。」
渡辺は割り箸を取りに少し長めにバックヤードへと消えた。
ちょっと渡辺さん、解せないんですけど? by 第二瓶底眼鏡 小林




