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曖昧な僕ら。  作者: 藤丸のりか
17/52

【大晦日】

テレビにあまり興味のないAは番組を変えてしまった事にもその他諸々にも気付かず…

年末、大掃除を終えスッキリ。

年越し蕎麦も食べたし今年残すイベントはカウントダウンだとBは浮足立っていた。

それはAにとって鬱陶しい程だった。


「お。」


Aが酒の肴にぼんやりと見ていたはずの番組は、大晦日恒例の二色に分かれて地味に対決する歌番組。

今まで充分高かった出演者達のテンションが更に上がり、観客達もざわめき出した。

もう直ぐ年が変わるのだと気付いた。

それにしてもいつの間にか番組の出演者のイケメン率が高いのに加え、そういえばカウントダウンを楽しみにしていた筈のBが異常に静かな事にも気付き、隣を見れば寝ていた。


「…ああ。」


自分が強引に飲ませて酔い潰させた事を思い出した。

Bは缶ビール二本が限界のちょろいお子様だ。


「良い子の皆は真似しない様に。」


良い子のBが起きていれば「おまえが言うな」と言っただろう。

もしそうなっていればAは「俺は悪い子だから良いの」と答えただろう。

Aは何となく今年を振り返り、煙草の煙と共に感嘆の溜め息を吐いた。

隣でよく寝ている青年は年末に限らず内でも外でも良く働いていた。


「今年はお世話になりました。」


Aの声はよく寝ているBに聞こえる筈も無い。


「来年もよろしくお願いします。」


AはBの頭に手を伸ばした。


ジリリリリリリリリリ…ンッ、


急に鳴り響いた携帯アラームに、Aの心臓が飛び跳ねる。

ぼんやりと目を覚ましたBはテレビのカウントダウンに気付き、ズレた眼鏡をかけ直し覚醒した。

アラームを切りながらカウントダウンに飛び込み乗車で便乗する。


「3、2、1、おめでとー!」


両手を上げて新年の訪れを歓迎したBは、同居人の存在を思い出し隣を見る。

Aは胸に手を当て、真冬に間違えて水を張った風呂に入った人間の様な顔をして固まっていた。


「何。どしたの。」


「…何でもねえ。」


「そう?」


同居人が変なのは今に始まった事じゃない。

Bは気にしない事にした。


「あけましておめでとう、A。」


「おう。あけおめ。ことよろ。」


「うん。今年もよろ、…。」


「?」


途中で言葉を切ったBを、今度はAが訝しむ。


「何。どした。」


「去年は大変お世話しました。今年こそはよろしくお願いします。」


まだ酔いの残るBは目を座らせ真顔で淀みなく言い切った。


「…おう。」


確かに。

流石に身に覚えのあるAは、素知らぬ顔で新年最初の煙草に火を点けた。



まあ、来年も同じ事言うんだろうな。 by B


ま、来年も同じ事言われるんだろうな。 by A

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