【出逢いというより遭遇】
曖昧な僕らの出会いは鮮烈だった…
どーでもいいような一日が積み重なるどーでもいいような人生。
なんか楽しいことないかなあと思って厄介な世界に足を突っ込んでみて、最初だけは楽しかったがしばらくして慣れたらやっぱりそれもどーでもよくなって、なんか楽しい事ないかなあと思うだけでもうめんどーくさいから何もしない人生。
昨日も仕事、今日も今から仕事、明日も仕事。
明後日は待ちに待った休日。
でも何も無い一日には変わりない。
うだうだ文句言ってもなくなるわけじゃないしだからといって死にたいわけでもないし、これからさらに積み重なるであろう退屈に早く押しつぶされたいなあと思いながら家を出た。
何もしないと言ってもそれなりに何かないかなぁと期待しているからいつも寄り道する<ちょっとしたジョギングにも最適な広い公園>に今日も寄り道する。
仕事が仕事なだけに時間帯的にあたりは真っ暗。
公園にいてしかるべき人種、すなわち子どもだとか若いママさんだとかは当然いない。
いるのはホームレスと普通に飽きた恋人くらいで今日も変わりない。
「つまんねー。」
そう思って足早に通り過ぎようとしたが、ふと自販機が目に入り起きてから何も飲んでいないことを思い出し尻ポケットに手を伸ばした。
「あり?」
財布がない。
落としたのかと、振り返ればそこには確かに財布があったがそれは宙に浮いていて、肝が冷えたが更に視野を広くするともっと驚くものがあった。
「こんばんは。これおじさんのですよね?落としましたよ。」
財布は宙に浮いているのではなく、頭に泡を乗せた半裸の少年の手に乗っていた。
もう片方の手はわしわしと頭を洗っている。
咥え煙草から落ちた灰を避けて更に財布を突き出してきた。
「あのー、僕風呂の途中なんで早く受け取ってくれませんか?」
「あ、ああ。悪り。さんきゅな。」
「いいえ、どういたしまして。もう落とさないようにしてくださいね。」
財布を受け取ると少年は両手で頭をわしわしさせながらペタペタ素足で公園の林へと消えて行った。
「え、…えええええええええええええええええええええええ!?」
今の何?今の何??今の何???
風呂の途中っておまえどこの家から俺の財布を拾いに出てきてくれたのてゆうかどこの家からこの公園見てんの近くにねえだろ民家てゆうかええええええええええええええええええ!?
夢オチを期待して頬をつねってみるがただ痛いだけでしかも少年の姿が消えた今したって意味がないと気付く。
それよりもずぶぬれの少年が残した足跡の方が顕著に現実だと語っていた。
呆然と少年が消えた方向を眺めていると、ジャケットに突っ込まれた携帯が震え出し柄にもなくドキッとした。
今それどころじゃねえんだよ誰だコラと苛立たしげに取り出す。
上司からの着信で意外にも長い時間が経っていたことを知り、とりあえず今は仕事へ向かって走り出した。
まあ仕事くらいは食っていく為に仕方がないとして、いろんな事がどうでもいいから最近はめっきり急く事なんてなかった。
仕事でどれだけ疲れても帰宅なんて渇望するものじゃない。
でも今日は別だ。
どうでもよくない現象がどーでもいい人生を横切った。
久し振りに楽しい事があるかもしれない。
これを見逃す事が出来ようか、否、出来まい。
足早に公園に戻り、仕事前まさに<未知との遭遇>をした自販機を通り過ぎる。
少年が消えた林に入り、その先で噴水を見つけた。
「…まさかな。」
嫌な合点を頭を振ってなかった事にしようとするが、噴水にはまだ若干泡が残っていて少年の言う風呂が確定してしまった。
「なんだ、ただのホームレスか。いやプチ家出か?…なんでもいいや。つまんねー。」
期待した面白い事にはならなそうだと、肩を落とす。
しかし少年を探すのはやめない。
財布を拾ってくれた礼にそういえば浮き出ていたアバラをどうにかしてやっても良いかな、と思う。
幸い金には困っていない。それに、
「…どっかで見た事あんだよな。」
記憶を探るがちっとも思い浮かばず、短くなった煙草を落として新しい煙草に火を点けた。
考えながら公園を歩き回り、遊具広場に出る。
普段若いママさん達が子どもを見守りながら何かしら熱く語り合っているだろうベンチに新聞紙の山が出来ていた。
泡が乗っていた頭は今はボストンバッグの上に乗せられ、更にその上に乗せられた新聞紙は呼吸によって規則的に上下している。
少年の握る赤いフレームのセル眼鏡を見て ピン ときた。
「ああ、こいつあん時の。」
あん時にしろ今日にしろお節介な奴だな、と思っていると寝ていなかったのか確かあん時しっかり名乗った少年が目を開けた。
「どちらさまですか?」
眼鏡をかけ落ちる新聞紙を気にもせず起きあがった少年は、半裸ではなく よれよれ のシャツと着た切り雀であろうジーパンを着ていて、素足を下ろし ボロボロ の靴に足を突っ込んだ。
「ああ、財布を落としたおじさんか。」
「誰がおじさんだっつの。おにーさんだおにーさん。」
「そういうのを主張する人って大抵境界線上なお年頃なんですよね。どっちでもいいじゃないですか。」
「生意気な口聞くじゃねえか。それよりガキがこんな時間にこんなところで何してんだ?」
「僕はガキじゃないです。もう1…20歳なんですから。」
「そういうのを主張する人って大抵境界線上なお年頃なんですよね。どっちでもいいじゃないですか。」
「む!」
拗ねた顔をより拗ねさせて上目で睨んでくるお子様に意地の悪い笑みが浮かぶ。
「で?何してんだ?」
「……………………キャンプです。」
「ぶっ!くくくっ!」
吹き出し腹を抱えて笑ってやるとお子様は自分でもそれはなかったと思ったのか頬を赤くしてそっぽを向いた。
その隣に座るとあからさまな嫌な顔を向けられた。
「ちょっと僕の布団踏まないでくださいよ。」
「あ、悪りー悪りー。」
座った拍子に落ちた布団をぐしゃぐしゃ踏みつけてやれば涙目でうろたえ、今度はその目でキッと睨み上げてくる。
「何するんですか!」
怒鳴る為に開けた口に煙を吐き出してやると案の定お子様は咽て咳き込んだ。
ニヤニヤ笑いながら見下ろすと案の定腹を押さえて唸り始めた。
「ん゛んっ!げほっ!ぅ…ッ!」
「空腹で咳すると苦しいよな。」
「わかってたんならしないでくださいよ!!」
「何日食ってねえんだ?」
「…4日?」
もうぐうの音も出ないほど腹が減っているのは手で押さえた服の上からでもありありとわかる。
以前見た時のまだ幼い故に丸みがあった頬は見る影もなく、押さえた手も運動部然としていたのに今ではネットとの出会いにより登校拒否になって職員室で思い出した頃にちょっとした話題になる地味な問題児という感じにか細い。
「シャンプー石鹸買うくらいなら飯買えば?」
「僕は人間に生まれたからにはできる限り飯より清潔を選ぶ。」
「…変わった奴。」
そうそう、こいつはそんな感じだった。
喉で笑い額に手をやる。
よく見ればよれよれでも服はちゃんと洗濯されていて噴水でアナログに洗っているところを想像してもっと笑える。
俺のニヤニヤ緩む顔に比例してお子様の不機嫌が加速する。
頬を膨らませていないのがおかしい顔で膝に肘を手に顎をついて誰も乗っていないブランコを睨むお子様に、まだまだ笑いが止まることはない。
次から次へと好奇心と悪戯心が浮かぶ。
「何で生計立ててんだ?」
「内緒。」
「売りか?」
「さあね。」
「俺が買ってやろうか。」
「……は?」
ぎょっとして振り向いたお子様の細すぎる腰を引いて胸を押し、ほとんど中身のないボストンバッグに後頭部を押し付けた。
あん時の様に眼鏡が無様にズレる。
「安心しろ、金はある。」
「ひっ!」
抵抗する手をぐっと掴んで押し戻し、舌でブリッジを持ち上げ噛んで引っ張り吐き出す。落ちた眼鏡がアスファルトに跳ね軽い音を立てた。
かなり度がキツイのか眼鏡を外すと別人の様にデカい目が、敵を捉えようと凝らされ全体的にちょっと不細工だ。
「その様子だと売りはしたことねえみてえだな。それとも初心が売りか?」
「は、離せよ!」
「抵抗する力も入らねえくらい腹減ってんだろ?」
「離せってば!」
「一晩5万でどうだ?」
「嫌だッ…え?」
顰められていた目が開く。
「そんなに?」
「安いくらいじゃね?なんだ、ヤらせてくれんのか?」
またデカい目を細めて明後日を睨んだ。
「………背に腹は代えられないし。」
「ふぅん、案外簡単に落ちたな。」
「僕はガキじゃない。生きてく為なら何だってするさ。」
強気な目で挑むように見上げるのは案外悪くないかもしれない。
しかし、
「その強がりがいつまでもつかな?」
「やっぱり無理!」
少し顔を近づけただけでお子様はあっさり降伏。
「ぶッ!」
涙目で見上げてくる顔に思いっきり吹き出した。
「ぶわっはっはっはっは!はーっはっはっは!」
「そんなに笑う事ないだろ!?」
「いやー、おかしい!生憎俺ぁ美食家でな。てめえみてえなガキは金積まれても手え出さねえよ。」
「…じゃあ今までの話は?」
「冗談に決まってんだろ!ああ、おっかしい!」
「この人最低だ。最低過ぎてこの世の言葉では表現できない。」
「最高の褒め言葉をありがとよ。」
腹を抱えて笑いの反動で身を起こすとお子様はさっと立ち上がり眼鏡を拾ってかけた。
警戒してベンチには帰ってこない。
それを良い事にボストンバッグに肘を付いてベンチを占拠。
「まあ一晩5万っつーのは置いといて。財布拾ってくれた礼くらいはしてやるぜ。飯、食いに行かねえ?」
「そう言って変な所に連れてくつもりだろ!」
まったく信用していないお子様は猫のように毛を逆撫でている。
「坊ちゃん育ちを売るとしたら娼館だな。」
「絶対嫌だ!てゆうかあんた夜中よくここ通ると思ったらそんな仕事してたのか!?」
「内緒。さあね。」
「もういい!あんたと話してると腹減りプラス苛つきで余計寝られなくなる!退いて!」
ボストンバッグを引っ張り担いだお子様はバッと逃げるように踵を返すがピタリと止まり、くるりと振り向いた。
「お?おうち帰るんじゃねえの?」
「…なんで僕が坊ちゃん育ちって知ってんの。」
「そんなん一目瞭然じゃねえか。何日遊んでんのか知んねえが良かったな、最初に会った怖い人が俺で。」
ニヤニヤ馬鹿にしてやればまたまたお子様はぷりぷり怒り出す。
「別に遊んでないし、怖い目に遭ったのはあんたが初めてじゃない。そのときはまだ貯めこんだ落とし玉が残ってたしそこまで腹減ってなかったしね!今日あんたをどうにかできなかったのは油断してたのと腹が減ってるからだ!」
「ほお。」
「じゃあね!二度と会わない事を祈るよ!」
なんでそんなに自信があるのか自分は知ってるが、向こうは知ってる事を知らない。
面白そうなので起き上がって少し目にヤル気と身体に緊張を走らせる。
走り去ろうとしたお子様はパンピーにしては敏感らしくすぐに異変に気付いた。
完全に立ち上がる頃にはボストンバッグを投げて型をとっていた。
蹴りを放つとさっと避けて蹴り返しに来る。
それを腕で止めて口の端を上げてやれば、お子様は明らかに驚いた。
「へえ、少林寺拳法とかいうやつ?」
「…なんで?」
「それなりに有段者のようだがそんなんじゃ俺は倒せねえなぁ。」
パンピーだと丸わかりの焦ったが故の攻撃、難なく拳を避けてお子様を抱き締めて捕まえる。
怯えて涙目になった顔はSにはたまらない。
「いらっしゃいませ~。そんなに俺に抱かれたかったのか?」
「は!?違、ぅわッ!」
「ううむ、良い尻してやがる。」
「へんたい!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「ま、腹が膨れてたらそれなりかもな。」
「へ?」
「おら、とっととそれ拾えよ。行くぞ。」
「え?」
「さっさとしねえと、」
「わっ!わかったからお尻撫でないでよ!」
まったく、とぶつぶつぼやきながらボストンバッグを拾う尻をもう一撫でして先を歩く。
ぎゃあぎゃあ文句言ってもついてくるお子様に煙を吹きかけて耳に「あんまりうるせえと、」と囁いてみたら大人しくついてきた。
もう逃げる気はないらしい。
それに気を良くして家までご案内、夜中でもやってる出前を頼んで腹いっぱいにしてやり、湯の出る風呂を使わせてやり、新聞紙よりは立体的な布団で寝かせてやった。
―――…しくじった。
あれは春だったか秋だったか、とにかくまだ寒い日だった。
致命症ではないが身体中傷だらけ。
何とか逃げて来たが鉄パイプで殴られた足が半端なく痛くてもう限界だった。
いくら人気が無い路地裏で夜、と言っても見つかるのは時間の問題だ。
そこかしこから追手の声が聞こえる。
俺もこれで終わり。
どーでもいい退屈な人生、早く終わってくれないかと思っていたが、最後に見る景色が汚れたビルの壁、見上げても窮屈そうに収まった空なんて湿気てやがる。
しかも星の一つもありゃしねえ。
それでもこれで漸く終わるならどーでもよくなってきていた。
「どわあ゛ッ!?」
人が退屈でどーでもいい人生の中の少ない思い出を掘り起こして走馬灯でも浮かべてみようかと思っていたのに邪魔をされ、痛さと不機嫌をあらわにそちらを睨むと学生服を着た少年が べしゃっ と見っとも無くこけていた。
くるっと振り向いた少年は赤いフレームの眼鏡をかけていて、それが無様にズレていて、苛立つほど間が抜けた顔をしている。
「すみません!暗くて目も悪いしよく見えなくて!!」
「どーでもいい。さっさと消えろ、クソガキ。」
「は、はい!って、ええ!?もしかして怪我してませんか!?」
「おう、オメーが思いっきり踏んでった足は打撲からひびになっちまったよ。」
「す、すみません!すみません!病院行きましょう!僕んち、」
「うるっせえよ!どーでもいいからさっさと消えろ!」
「わっ!すみません~~~っ!」
堅気じゃない男の剣幕にビビった少年は鞄をかけ直して脱兎の如く逃げて行ったが、暫くしてまた帰って来た。
鬱陶しげに睨むが、力強い涙目で見返してくる。
「…消えろっつっただろ。落としもんか?」
「は、はい。」
「じゃあさっさと拾って家帰れ。」
「そうさせてもらいます。」
ぐい、と肩を組まれて立ち上がらされた。
これは何か格闘技をやってるとわかる技術と、服の上からわかる筋肉。
いやそれより、
「何してんだよ。」
「落とし物はあなたです。」
「はあ!?誰も助けてくれなんて頼んじゃいねえよ!」
「…やっぱり何かあるんですね?も~~!今度はもっと人目に付かないところに落ちててくださいよ!」
「だから!置いてきゃいいだろ!?おまえその制服、お坊ちゃん進学校のだろ!?俺なんかと関わったら、」
「僕は見て見ぬ振りなんて出来ないんです!だから言ったでしょ!?もっと人目に付かない所に落ちててくださいって!」
「ふざけんな!めちゃくちゃ人目に付かねえ所だっただろ!おまえこそ何わざわざ俺の前通ってんだよ!」
「あそこは僕の塾帰りの散歩コースなんです!何かないかなって寄り道するのが僕の日課なんです!」
『見つけたぞ!』
ザッ、
目の前に並ぶ明らかに俺達堅気じゃないですよ的な男達に、少年が怯む。
「…だから言っただろ。今からでも遅くねえ。死にたくなけりゃさっさと消え、」
「だから言ったでしょ?僕は見て見ぬ振りとか出来ないんです。」
ネクタイを外しブレザーを脱いだ少年を悪漢達が嘲笑う。
自分もそっち側だったら同じ事をした。
しかし残念ながら自分はこっち側だ。
「本当は喧嘩で使っちゃだめなんですけど、自分から首を突っ込んどいてなんですけど、…そうも言ってられませんよね。」
変わった型には見覚えがある。
力強い格闘家の目に、悪漢達も少しだけ居住まいを正した。
「…おいガキ、おまえ何者だ?」
敵の質問に少年は怯まない。
「僕ですか?僕はただの通りすがりの村人…」
騒ぎを聞きつけた警察が来るまで怪我人を守りながら戦い続け、女にモテそうな顔を愛と勇気だけが友達の某ヒーロー状態に腫らせても何が何でも立ち続け、最後は糸が切れたように倒れた。
特徴的な外見に見事な格闘術、ここいらじゃ有名な制服はもう着ていないしあれからお互いに一度も会っていないからすっかり忘れていたが、あの馬鹿がこの馬鹿で間違いない。
成る程、あれが原因で破門どころか勘当されたのか。
何故お坊ちゃん育ちで真面目で律儀なお子様が公園住まいで喧嘩に拳法を使ったのか合点がいった。
懐かしい夢から覚めて暫く思考に浸っていると、美味そうな匂いが鼻をくすぐった。
次に気付いたのはカーテンの隙間から差し込む朝日と人が慌ただしく動き回る気配。
煙草に火を点けて廊下に出るとお子様が洗濯物を持ってベランダに出てテキパキと干していた。
お坊ちゃん育ちが野生に身を投げて随分成長した様だ。
「よぉ。」
「んー、おはよう。」
振り向きもしないお子様の尻を挨拶がてら撫でると、やっと振り返った。
「変態!何すんのさ!?」
「相変わらず良い尻だな。」
「…あー、もー、あんたと話してると時間の無駄だ。僕は洗濯物干しに精を出す。あんたは朝ご飯作らせて貰ったから食べると良いよ。有り合わせだけど。」
「良いけど、他人んちで何やってんの。ゆっくりしてけば?」
リビングに目をやるとよくまああんなつまみに毛が生えた様な材料で作ったもんだという料理が並んでいる。
「一宿二飯の恩もあるしあんたがだらしないから気になって気になって仕方なかったんだ!洗濯物何日溜めこんでんだよ!食器も食べたらすぐ洗えよ!ゴミも分別しろ!」
「別に頼んでねーし。」
「だから!気になるって言ってんだ!」
「ふぅん、じゃ、おまえこれから大変だな。」
「は?何で?」
警戒するように見上げてくる顔に煙を吹きかけた。
「ごほっ!?げふっ!?」
「お節介って病気なんだろ?俺は変わる気毛頭ないし。」
「勝手にすればいいじゃないか。僕はこれ干し終わったら出て行く。」
「ふぅん。」
干し終わり、宣言通りお子様はボストンバッグを持って玄関に立った。
「あ、そうだ。あんた何者?」
「俺?俺はただの通りすがりの町人Aだ。」
「へえ?じゃあ僕は村人Bでいいね。Aさん、お世話になりました。サヨウナラ。」
同日、深夜になっても取り込まれない洗濯物が公園から見えてしまったBが乗り込んで来たのは言うまでもない。
それから始まり ぐだぐだ 続く曖昧な関係。
相変わらず人生はどーでもいいが、退屈はしない。 by A




