非道な幼女
レンカは俺が生成した剣を持ち、前から猛スピードで迫ってくる幼女に一突きを入れた。
しかし、幼女は素早く地面を蹴り上げ宙に舞い、レンカの後ろに着地した。そして、短剣をガラ空きの背中に刺そうとした。
「その攻撃は見えてる…。」
レンカは前に突き出した剣を素早く持ち変え、幼女に背を向けながら剣を突き出した。
幼女は咄嗟の判断と身体能力で、剣は頰を掠めたが、軽い傷で済んだ。
そして、後ろに大きく後退した。
「本当に見えてるんだねー。でも、いくら予見できたとしても、私の身体能力でカバー出来ちゃうなー!」
幼女は余裕の笑みを浮かべながらそう言った。
「いつまで笑って立っていられるかな?」
レンカは穏やかな顔でそう言ったが、目は冷徹であった。
「挑発されると、私乗っちゃうたちの人なんだよねー!」
そう言うと、先程とは打って変わって目つきが鋭くなった。
レンカも真剣な表情になり身構えた。
幼女は地面を足がめり込むほど強く蹴り上げた。
すると、目で追いつかないくらいの速さで迫って来た。
「見えなくても、短剣が来る場所は分かる!」
レンカは物凄い勢いで、剣を前に突き出し、上に振り上げた。その時、金属が当たる音がした。
レンカと幼女の頭上には短剣が舞い上がった。
幼女は全力で短剣を追いかけた。そして、俺は短剣が落ちた先に同じ形状の短剣を大量に生成させた。
「ちくしょー!」
しかし、幼女は言葉とは裏腹にニヤリと笑った。
そして、短剣を拾い上げ、俺たちとは真逆の方向に走り出した。
「まずい!!」
幼女の意図に気づいた俺は幼女の進路を妨害するため、巨大な壁を生成させたが、幼女はそのまま壁を走り登り始めた。
「無駄無駄ー!」
幼女は壁の頂上で俺らを見下ろしながら笑った。
俺とレンカは走って追いかけた。
ユナとバルクを離していたのが、弱みになった。
俺は歯ぎしりをした。
そして、ユナとバルク達のところに着くと、鉄格子は破られ、俺たちに向けて剣を向けていた。
「どこまで、人を愚弄すれば気がすむ!」
レンカの顔は怒りで真っ赤になっていた。
そして、レンカは剣を持ち、幼女に斬りかかった。
その時、幼女はニヤリと笑った。
レンカの目の前にはユナとバルクが現れた。
そして、レンカは躊躇い、攻撃をやめた。しかし、その隙を突かれ、幼女はユナとバルクの間から現れた。
俺は、レンカに
「避けろー!」
と言ったが遅かった。そして、幼女は、レンカの肩を突き刺した。
「洗脳、成功…。」
レンカの目にはあの竜の紋様が現れた。
そして、幼女は
「あの男を始末しろ!」
と命じた。そして、レンカは剣を俺に向けた。
「お前のスキルはこれまでの中でゲスさで言うと一級品だな。」
「そうかなー?使徒の中だと言われたことないやー。そうそう、私名前名乗って無かったね。まあ今から君も、私の手駒になるんだから関係ないと思うけど、一応言うと、アルルだよ。」
「やることに反して、随分と可愛らしい名前だな。」
「可愛い?ありがとう!!」
「どこまで人をおちょくってやがる?」
俺は、怒りが爆発寸前であった。
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