第11話 決戦!ヒュドラ
俺は地面に手をつき、巨大な大剣を作り出した。
そして、にっと笑いながら仮面の男に話しかけた。
「ヒュドラの首で一つだけ不自然な動きのやつがあるんだけどな、不自然といっても他の首がそこの首を庇っているんだがな。」
仮面の男は冷静になろうとしながらも、かなり動揺してるように見えた。
「貴様の思い違いだ!時期に死なからといってそんなハッタリには騙されぬぞ!」
俺は唇を舐め、そして大剣を持った。足元に柱を出現させヒュドラと同じ目線まで行ったところで、柱を留め真ん中の首に斬りかかった。
すると、他の首が何本も俺に向かって突撃してきた。
「やっぱ真ん中の首なんだろ!」
そして、俺の周り360度に棘を出現させた。ヒュドラの首はそれに突き刺さりどんどんと倒れて行く。
ヒュドラ手を変え、俺に向かって毒を吐いてきた。
「ふっ!そんなの想定済みなんだよ」
そして俺は自分の周りに風を起こし毒煙をヒュドラに返した。そして残りのヒュドラも倒れて行った。
しかし、最初の棘で死んだヒュドラが生き返りまた俺に襲いかかってくる。
「俺が真ん中の首を斬るのが先か、お前らが俺を殺すのが先かってところか。」
もう少しで真ん中の首に届きそうだが…多分間に合わない。どうする?と頭をフル回転させて考え、俺の後ろに爆弾を作り出し爆発させ爆風で加速し、大剣で思いっ切り真ん中の首を一刀両断した。すると残りの首も花が萎れるように力尽きていった。
俺は空中で態勢を崩し地面に落ちていった。落下している時、
「シャル!」
と今にも泣きそうなユナが目に映った。
数秒後大きい音を立てじめんに落下した。
「痛てて…」
俺は腰についた砂を払いながら立った。
そして、仮面の男は出せるモンスターももういないようで地面に手をつき跪いていた。
「我のモンスターが…こんな人間に…」
そして、俺は地面を蹴り仮面の男の首筋で剣を寸止めさせた。
「お前の業は重い、自分の行為を悔やむんだな。」
と言い大剣を振りかざそうとした時、
「やめてーーー!」
とユナが大声で叫んだ。そして、俺は振りかざすのを途中でやめた。その隙を見て仮面の男は後ろに後ずさり壁にゲートを作り、
「敵に情を抱くなど甘すぎるな」
と言いどこかへ消えていった。そして、俺は周りに敵がいないことを確認し、ユナの鎖を断ち切った。
周りはひどい惨状であった。俺は鎖を断ち切った後、血だらけになっているバルクのもとに駆け寄った。
「おいバルク!意識はあるか?」
「あぁ…もう俺はダメかもな」
と言い笑みを浮かべた。バルクは右肩を噛まれ大量に出血をしていた。
そして、ユナが泣きながら
「バルクが私を庇って噛まれた…私のせいでバルクが…私のせいで。」
そして、ユナは両手で顔を覆った。
「ユナのせいでもない。俺が油断して相手に噛まれなければこんなにならなかった。でも、まだバルクは意識があるから助けられるかもしれない。」
俺はそう言ったがどうやって助けるかも考えていなかった。すると、
「すいませ〜ん。私忘れてませんか…」
と声がした。声がする方を見ると戦い始める時に危険だからケロベロスが届かない位置に固定していた。
正直言って忘れていた。もう脅威にはならないだろうと思い、鎖を外した。
そして、地面に降りると
「私なんとかできるかもしれません。」
そう言ったが、敵に仲間を診させるのは…と思い悩んでいると
「私もう魔界の人間に仲間と見られていないし、むしろ魔界の人間に口封じとして殺されるかもしれないので貴方達の敵じゃありません。仲間になりたいくらいです。」
すると、
「貴方がバルクを治せたら仲間として認めてあげるわ。」
「良いのか、ユナ?」
と俺は心配して聞いたが
「私は大丈夫だと思うよ」
とユナは俺の耳元で囁いた。何、今のドキッとすると俺は内心思った。
そして、女はバッグから瓶と白い石を取り出した。
バルクを囲むように魔法陣らしきものを書き、瓶から一滴指に垂らし
「我、この魔力を持って命ずる古から伝わりし力この傷つき者の傷を癒したまえ!」
と詠唱すると魔法陣が線に沿って青白く光りバルクの傷口がみるみるうちに塞がっていった。詠唱が終わると女息を吐き、地面に倒れこんだ。
「なんだ今の魔法?」
と俺は興味津々で聞いた。すると、
「魔法ではない、魔術だ!」
俺は何が違うかさっぱり分からなかった。
「何が違うんだ?」
「魔界の者が使うのが魔術、人間が使うのが魔法だ。
魔術を人間が研究し、独自の形にしたのが魔法ってことだ。」
そういうことかと俺は手を打ち納得した。
話しているうちに、バルクが目をぱっちり開け起き上がった。
「傷口が塞いでる…」
バルクが不思議そうにしていると、俺らはその経緯をバルクに話した。そして、理解するとバルクは
「ありがとう」
と女に頭を下げた。すると
「じゃあ約束通り貴方は仲間ね!改めて自己紹介からすると、私はユナ、大剣を持っているのがシャルク、
傷を塞いでもらったのがバルク!宜しくね」
と言い手を出した。
「私はアルマ、宜しくね」
と言ってユナの手を握った。
俺も含めてみんな怪我をしていたため、一旦怪我の処置、体力の回復の為、休憩することにした。
洞窟は殺風景で薄暗いが、なぜかそんな景色がみんなの笑顔を見ていると好ましく感じてきた。
評価、ブックマークお願いします