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レッドルーム・ナイトメア  作者: NIRALEVA
9/23

#9

 ここは……川沿い?


 その日のスタート地点は、河川敷だった。

 道の上以外からでも開始されるのか。


 だが、ここは線路沿いにある川のはず。

 という事は、このまま道に戻って下流に向かえば、すぐ踏切のはずだ。


 土手を見渡すと、上に続く階段が目に入る。

 あそこから道にいけばすぐだろう。



 しかし、本当にスタート地点はランダムのようだ。

 道以外からでも開始されるとしたら、建物の中から始まる場合もあるかもしれないな。

 いきなり川の中とか……は、流石にないと信じたい。


 川沿いの道を歩きながら、ふと空を見上げる。

 真っ白だ。


 だが、一面雲ってわけでもない。

 本当に、真っ白だ。

 何もない真っ白な空間が、頭上に広がっている。


 太陽らしきものも見当たらないが、街全体は昼間のような明るさで照らされている。

 光源がどこなのか分からないが、影の傾きがある以上、あの真っ白な空間のどこかにあるんだろう。



 最初は真っ赤で、次は真っ黒で、その次は真っ白か。

 ちょっと共通点がありそうな気はするが、重要な手がかりになるとも思えないのが歯痒い所だな。


 そんな事を考えながら歩いていたら、もう踏切が見えてきた。

 時間にして5分もかかっていない気がする。


 そういや当たり前のように街を歩いてきていたけども、夢の中の自分の格好ってどんな服装してるんだ?

 今更ながらそんな事を思い立ち、視線をおろしてみる。


 全裸だった! とか、自分が真っ黒い影だった! とか、2、3予測はしてみたが、結果はありきたりなものだった。

 寝る前の姿そのままだ。

 寝巻用にしているTシャツと、ハーフパンツ、んで裸足。

 感覚がないから、足の裏が痛いとか感じないけども、もしかしたら今まで何か踏みつけていたりしたかもなぁ。


 寝る前の姿そのままなら、もしかしたら服装も選べるのか?

 と、考えたところで、その発想を自分で鼻で笑った。

 夢の中に出かけるために服装選んでどうすんだ。

 靴でも履いたまま寝るか? 別の意味で寝覚めが悪くなりそうだ。


 そうこう考えてるうちに、もう上り坂の青い標識が見えてきた。

 今回は10分かかったかどうか、って程度の距離だった。

 夢の中で経過した時間と、現実で眠っている時間は比例したりするんだろうか。

 目覚めたら、それも確認してみるか。


 随分と余裕を持って、俺は青い標識の地点をまたいだ。






 窓の外から、雀の鳴き声が聞こえる。

 平穏無事に目が覚めた。


 携帯を手に取り、時間を確認する。

 アラーム設定の数分前。

 毎回朝7時に設定しているが、大体その2~3分前に目が覚めているようだ。

 赤い部屋の時も同じような時間帯だったし、やはり関連性があると考えた方が自然なのかな。

 そして、夢の中で過ごした時間と、睡眠時間は比例しない、と。

 寝ぼけた頭でそんな事を考えつつ、アラームを切っておいた。



 さて、月曜日かー……、かったりいなぁ……。

 俺はあくびをしながら、学校への身支度を始めた。



 奇妙な夢を見る以外、特に変わった事はない。

 また平穏な日常。

 平凡な日々。

 そして、それが俺は大好きだ。


 願わくば、フツーの夢を見て、こういう日々を過ごしたいもんだけども。



 学校も、放課後も、特に変わった事はなく。

 月曜のテレビはどこもサスペンスばっかりやっててつまんなくて。


 んで、今日もまた、あの街のどこかに放り出されるんだろうな。

 でもって、またあの上り坂の標識のところまで歩いて、翌朝がくる。


 白い空の街の夢が、日常の中に織り込まれただけで、別に他に問題も実害もない。

 

 目覚ましを仕掛け、ベッドに潜り込み、今日という一日が終わる。



 眠りについた俺の、その日のスタート地点は、そんなゆるい考えを一瞬で打ち砕いた。

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