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(旧)こっそり守る苦労人  作者: ルド
第3章 苦労人と球技大会 下
43/64

謝罪

中学編と同時投稿しようと思ったんですが・・・失敗しました。

校舎裏での攻防戦も遂に終了です。

ブックマークがまた増えてました。

総合PVが10000を超えてました、ワーーーイ♪

ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします!


12月30日:全体の会話部分の改行修正を加えました。

とある2年の教室

昼の時間・・・皆休憩をしながらお弁当などで食事をしている最中である。


そんなお昼の時間ーーーー皆持つ箸やパン(・・・・・・・)止まる程の珍妙な(・・・・・・・・)事態が発生していた(・・・・・・・・・)


「ねぇ比奈?」

「なに?」


どうしても気になってしょうがない、1人の女子生徒が恐らくこの事態を把握しているであろうーー生徒会会計で学校の『姐さん』と呼ばれている松永 比奈に質問をする。


「いいの?アレ・・・ほっといて」


そう言って指差す女子生徒

彼女が指差す先に・・・・


「ググググ〜〜!(涙目)」

「ムムムム〜〜!(涙目)」


頬っぺたツネあっている生徒会長の沙耶と部活会委員長の愛佳(あいか)がいた・・・お互い既に涙目


「あ〜・・いいのいいの

あの2人ーーーああ見えて仲良いから」

「それは知ってる」

『(こくこく)』


周囲のクラスメイトも同意している。


「私・・・と言うか、クラス全員の疑問だと思うんだけど・・・・何で午前の競技が終わってすぐケンカしてるの?」

『(そうです。その通りです。)』


クラスのみんなも同じ気持ちの様だ。

普段もよくケンカしてる。


「ああ・・それはね?・・・ボールがね?原因なの」

『え?』


比奈の説明によると午前に行ったドッジボールで、5試合目から2球になったボールの1つを求めて、何故か味方同士(同じクラス)2人が 奪い合いを始めたのが、きっかけである。


「最初は沙耶がボールの所有権を得たんだけど・・・次に隙を見てアイちゃんがボールを取って、その次にまた沙耶が、またアイちゃん、沙耶、アイちゃん、沙耶・・etc」

「うん分かったから、もういいです(呆れ)」

『(こくこく)』


「グ〜〜〜〜〜〜!愛佳ちゃ〜〜〜ん・・」

「ム〜〜〜〜〜〜!サヤ〜〜〜〜!」


しばらくこの頬っぺたのツネリ合いが続くが・・・皆さん仲良くお昼の時間を楽しんだ。


********

校舎裏


今まさに激突しようとしていた凛と江梨であったが


やめろ(・・・)

「「!?」」


そんな零のひと言に周囲の時間が止まり、同時に凛と江梨の動きも止まるのであった。


「れ、零さん?・・」

「な、なに今の・・悪寒・・」


激突しようとした瞬間、強烈な寒気に襲われた2人


「(零さんの・・異圧(・・))」


凛はすぐに理解した様だが、初めて受けた江梨は何がなんのか理解出来ていなかった・・・

「・・・何をしたの?・・今」

「・・・・。」


江梨の質問に無言のまま、佇んでいる零


「・・な、何か喋りなさいよ?」


どうしてか分からない、それでも何か違うのが彼女は直感で感じた(・・・・・・)


(どういう事?さっきまでと雰囲気が(・・・・)ーーー違う(・・)。)


無言のままこちらを無表情(・・・)で見ている零に何かただならぬ気配を感じる。

そこまで考えると・・・不意に額に汗が


(お、恐れてる・・・私が?)


これまで佳奈に並ぶ程、魔獣との激戦を繰り広げてきた江梨であったが、そんな彼女ですら、無意識に震えてしまう程の異質な何かを零から感じ取りーーーー本能的に・・危険だと判断した。


「(此処で倒さないとッ!

ーーーーこの人は危険だ(・・・・・・・)!)」


結論が出たのと同時に異能を全開にする江梨である。


熱炎の鎖ヒートフレイム・チェーン!」


4つ真っ赤な鎖を発現した江梨は

鎖が出現した瞬間その周囲からジューと煙が出てる・・・見た目以上の温度があるようだ。

「はッ!」


鎖を使い零を包囲しようと考えてるようだ。


「零さん!」


凛から心配そうに呼び掛けが聞こえる中、周囲を炎の鎖で包囲された零であるが、


「・・・・・。」


特に何でもないかの様に無表情で眺めているだけであった。


「・・・何故避けないの?」

「・・・・・。」


質問を受ける零であるが・・・答える気配が全くない。


「さっきから無言ね?

・・・何か意味があるの?」

「・・・・。」


「まあいいわ、これで逃げ場はない!ーーー炎幻獣サラマンダー!」


江梨の前に炎が集まり収縮して、形が変わりーーー炎の竜が出現した。


『サラマンダー』

その呼び名を聞くと炎を纏ったトカゲを連想し易いが・・・


「・・・・。」


今零が見るサラマンダーは少し違う。

2メートル程の巨体であるそれは、頭部に威厳の様に二つ角を生やし、肌はワニを連想した方がいいか?硬そうな鱗で所々が小さな尖がありそれが背中、そして尻尾まで続いている。

肌は赤と言うよりも真紅に近く身体の至る所に炎が出ている、四つん這いで立ち翼は無いが、東洋の竜の様に翼が無くても飛べるのでは?と思わせる雰囲気がある。



これが篠崎 江梨が扱う『属性型』から進化した『派生型』【炎喰い】の象徴


あらゆる炎を喰い尽くす幻獣ーーーー『炎幻獣(サラマンダー)』である。





「言っとくけど・・・これに受けたら火傷程度じゃ済まないわよ?」

「・・・・・。」


挑発気味な江梨の発言だが、無表情のまま変化の無い零に(いら)つきを隠せずにいる江梨


「あくまで無言という訳?それとも」


一瞬、間を置き


「私なんかと(・・・・)会話するのはーーーイヤという事?」

「・・・・。」


無言を肯定と取った江梨はふぅーと息を吐き


「そうーーーーー行けッ!!」


もう我慢の限界を超え過ぎておかしくなったのか・・・さっきまでの悪寒がウソの様に憤怒のオーラを心力として放出し、自身の炎幻獣ーーサラマンダーを零に向かって突撃させた。


「・・・・。」


当たれば、火傷以前の前に、あんな巨体が猛スピードで直撃すれば、いくら零でもタダでは済まない


「零さんーーーーーッ!!!」


凛の悲鳴が炎幻獣が接近してくる中、零には聞こえた。


「・・・心配するなーーリン」

そう呟くと同時に零は自分の意識をより深くして(・・・・)異能ーーー【黒夜】を発動した。



********

零視点

決着は一瞬だった・・・

意識が浅くなるの(・・・・・・・・)を感じる・・


「え?」


目の前には、俺を見上げて呆然とした篠崎妹の顔・・・近くではリンが手を胸に当てて、ホッとした顔をしている。


アウト(・・・)だな?篠崎妹」


俺は手に持つ黒剣(・・)の先を、彼女の喉元に当てながら聞く。


「あ・・う」


ゆっくりと膝を付く江梨

何が起きたか簡単に説明しよう。

俺の異能ーー【黒夜】で奴の炎のトカゲみたいなヤツの上から、極太の槍を操作して6本突き刺し(頭部と両手両足にそして尻尾の各6カ所)動きを止め拘束した。

その後【武闘】と【黒夜】のコラボで炎の鎖を突破(【武闘】で強化した身体で両手に持った長剣を扱い周囲の鎖を斬り裂いた。)

そのまま(しもべ)(サラマンダー)がやられた事で呆然としていた篠崎妹に、一瞬で接近して黒剣を突き付けて終わった。


「まだ・・・やるか?」

「く・・」


少しばかり異圧で脅かす俺・・・・うん、待って下さい!

やり過ぎとか、外道とか、主人公にあるまじき行為だとか聞こえますがーーーー違うから!(必死)

抑えないとかないと、また暴れそうだで怖いんだよ!(汗)


いや・・・言いたい事も分かりますよ?

年下ぽい膝をついた女の子をすぐ側で見据えている男・・・・お願いッ!今携帯スマホ握った方々!どうか・・・どうかその手の携帯スマホを閉じて・・・床に置いて・・・・置いて下さ〜〜〜い!!(汗)



「・・・・・」


お〜〜!ちょっと待って!?

何泣いてるの!?篠崎妹(この子)!?

無言で泣き出した篠崎妹を見て戸惑う俺


「あ・・リ・・ッ」


近くにいるリンに助け舟を・・・と思ったがそれは無しだな

現在、複雑な顔をしてるリン・・・多分、さっきの事はまだ怒ってるけど、篠崎妹の泣き顔を見て・・・複雑な気分になってるんだろう。

どうしようかと思ったら・・転校生の声が


「江梨ちゃん!」

「・・・佳奈」


彼女の戦意が喪失した為か、転校生と蓮を拘束していた炎の檻が消えたようだ。


「江梨ちゃん・・あなた「江梨」」


転校生が何か言おうとしたところで、後ろから遅れて来た蓮が割り込んできた。


「・・蓮」

「江梨・・君がした事は、決して許される事ではない。」

「・・・。」

「蓮君・・・」


蓮の言葉に口を紡ぐ江梨と彼の鋭い目付きに、動揺する転校生



「江梨、君が何故激情し、泉さんに攻撃したかは・・・分かってる。」

「・・・・。」

「けど、だからと言って、それが人を傷付けて良い理由にはならないーーー異能者なら尚更だよ?」

「・・・うん」

「もし泉さんが大怪我して、江梨が犯罪者として警察に捕まればーーー1番悲しむ(・・・・・)のは佳奈さんだと(・・・・・・・・)・・・何故気付かない?」

「そ、それは・・」

「君はした事は、ただ自分勝手に怒りを吐き出しただけだ・・・佳奈さんを(・・・・・)理由にして(・・・・・)

「ッ!・・・・」


鋭い目付きから、どんどん悲しような顔で言う蓮

彼の言葉を聞き・・苦しそうな顔で、否定しようにも言葉が見つけることができないでいる江梨

2人を見てオロオロして、泣きそうな顔をしている転校生


・・・・・・・・・。


「江梨、泉さんに謝「ちょっと待ってくれるか?」」


俺が待ったするとは思わなかったのか、驚きの表情をする蓮


「泉さん・・」

「俺に任せてもらえるか?」


こんな3人を見ていたら・・・・ほっとけない


「泉君ッあの・・」

「大丈夫だ」


それに・・・今回の原因はーーー俺だ

俺がカタをつける。




「・・・・。」


膝を付いたまま俯いている江梨を見下ろす姿勢になるが・・・話し出す。


「今回の件は俺に非があるのは明らかだが・・・・その後のおまえの取った行動は・・・・常軌を逸してる。」

「・・・そうね」


俯いたまま俺の言葉に頷く江梨に俺は続ける。

「特に最後のサラマンダー(アレ)・・・アレはやり過ぎだってーーーー俺じゃなきゃ、死んでたかも知れないぞ?」

「・・・・・・。」


今度は黙り込んでしまう・・・・反論なし、か

自覚はあったのか・・・・だがな?


江梨の肩をポンっと手を置く

ピクッと反応して、チラリと上目遣いで見てくるの見て


「途中、割り込んだリンを、止める事が出来たが・・・・・」


少しずつ青ざめていく江梨


蓮も転校生も感じているのだ・・・・・少しずつ上げている異圧(・・)



「もし・・・リンが大怪我してたらーーーーーーこんなもん(・・・・・)じゃ済まさねぇぞ(・・・・・・・・)?・・・・オイ(・・)


ゴォッーーーーーーー!!!!

一気に異圧を、最大近くまで上昇させる

本気の殺気もぶつけて


「ーーッ〜〜〜〜〜〜ッ!?」


ビクッ

強烈な悪寒にでも襲われたのか・・身体を抱き締め震えている江梨を、冷たい眼で見下ろす。

5秒ほど経ったか?

転校生が俺の異圧に圧されながらも近付き


「泉君お願い!もうやめてッ!」


震えながらも、江梨の肩を掴んでいる俺の手を両手で掴み、(すが)ってくる転校生を見て、異圧を解く


「ハーーーーーッ!!ハーーッ!!ハーーッ!」


俺の異圧を至近距離で浴びた江梨は、真っ青から殆ど真っ白なってしまった肌を見た俺は、さすがにやり過ぎたかと思うが・・・これはケジメだ。

大事な後輩が傷付きそうになった・・・これぐらいしないと、またあんな事があったら大変だからな・・・最低限の処置はさせて貰う。


「ま、それはあくまで仮定の話だ。

お前も頭が冷えたみたいだしよ?・・・さっきの戦闘(その件)はもう良い・・・問題はその前だ(・・・・・・・)



ここからは、俺が裁かれる(・・・・)番だ。


「篠崎江梨ーー何でお前が怒って、そして転校・・白石(・・)が泣いたか・・・・まだ分からない」


白石(・・)

その一言に転校生・・・白石佳奈が目を見開き驚きの顔をする。

呼吸を落ち着かせながら俺の話を聞いている江梨、他の人達も同じだ、江梨ほどじゃないが

リンも空気を読み、黙って聞いている。


「俺は・・・みんなが思ってる程、万能じゃないんだ。

抜けてる事、必要な事、人として大事な事がーーーー欠けてるモノ(・・・・・・)が沢山ある・・」


そうだ。俺には分からない事が沢山ある・・・とても大事なことを



・・・不意に蘇る記憶ーーー辛い記憶


「そんなんだから、昔から・・・よくやらかしてきた・・・

今すっかり仲良くなったが・・・昔は俺を怯えた目で見てた妹(・・・・・・・・・)


『ごめんなさい・・・ごめんなさい・・れいくん・・・こわいよ・・』


あれは堪えたな・・



「正しい事してると思った行動をーー本気で怒った(・・・・・・)幼馴染み(・・・・)


『零・・・あなたは正しいーーーけど残酷だ!

そんな事したって誰も喜ばない!誰も幸せにならない!

不幸なままだ!それは平和とは違う!ただの自己満足だ!』


無表情でクールな一面しか想像出来ないあいつが・・・あんな激情した顔で怒ってくるとは思わなかった



「俺の言葉にお前のように怒り、殴り掛かっ(・・・・・)て来た親友(・・・・・)


『当たり前だ!・・馬鹿な考え方してるダチをめぇ覚まさせる為なら・・・オレは殴るぜ、例え・・それがおまえでもだ!馬鹿零がぁ!』


思い出すと殴られた時の痛みが・・


「そして・・その親友の姉・・・彼女の想いを・・・」


・・・・由香さん


振り返って見ると・・・本当にダメダメだな俺・・



ここまで話して、俺は先程まで、俺を敵視していた江梨に苦笑して言う。


「俺はどうしようもないクズだ。

お前が思ってる以上にだ。

一番大事な事に気付く事が出来ず、理解する事が出来ず、今までーーーー生きてきた(・・・・・)。」


彼女の表情にはもう怒りは見えなかった・・・戸惑いで一杯の表情だった

そうだよな・・・戸惑うよな、こんな話を聞かされたら

リン以外の他の2人も同様であった・・・いや白石は何処か寂しそうな・・・哀しそうな表情で・・今にも泣きそうである。


「お前の怒りはーーー白石を想っての怒り」


だが俺は話し続ける・・・止まることなく・・・話し続ける


「それは正しい。

お前の兄の言う通り、やり過ぎではあったが・・・

それでも、俺を殴るぐらいしてもいいと思う。」


殴られる俺が言うのもおかしいがな


一気に喋っていった為、肺から空気が抜けて、酸欠の様な状態になりそうだ・・・

だが、まだーーー喋るのをやめない



白石(・・)

「ーーー!」


俺の声にビクと身体を震わす白石

俺は白石の方を向く


「お前が何故悲しみ、涙を流したか・・未だに分からないのに、こんな謝罪は間違ってると思う・・・・だが、それでも謝らせてくれ」


残った空気を一気に吐き出し、その場で膝を付く

突然膝を付いた俺にこの場にいる全員が目を白黒して戸惑う中

土で汚れるのを無視して、そのまま正座した俺は、白石を見上げ視線を合わせ、みんなにも聞こえる様にハッキリ言う。


「本当にーーー済みませんでした」


深く深く頭を下げる

額に土が付くほどに頭を下げる


こうして、俺と白石ーーーそして篠崎兄妹と凛を巻き込んだ騒ぎは、俺の土下座で幕を閉じたのだった。


昼食を兼ねた話し合いへ続く。




今回は気分的におまけシーンは無しにしました。

偶には、こんな感じの終わり方も、アリだと思いました。

では、また次回へ!

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