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(旧)こっそり守る苦労人  作者: ルド
第2章 苦労人と球技大会 上
37/64

昼休みの密談

今回は現状、どうなっているかの話です。


とある一室

「イタタタッ!軋む!顔が軋んでるよ!零」

「るっせ」

「冷たいッ!?」

学校のとある一室

午前の部が終わり、昼休みの時間に入っているところだ。

俺は体育館に戻って来た英次を頭を掴み(秘技アイアンクロー)、此処まで引っ張って来た。

午前の部・・・あのドッジボール戦は酷かった・・・最後が

一応色々と覚悟して挑もうした矢先だったからな・・・・

しかも、終了後戦えなかった事で更に機嫌を悪くした水野と美希に邪魔されてブチ切れた久保とその言い争いで憤慨した美希といったキレると大変面倒くさいメンツに囲まれながらも、なんとか此処まで来る事ができた。

あ〜〜後で絶対面倒になるだろうなぁ・・・


「チョットおおおおおッ!?無視しないでよ!!

あッ!メキメキいってる!?」

「・・・・・。」

少しは待てんのか?

「だったら手を放してよ!」

「とっとと話せ」

さらっと心を読むな

「わかったわかったッ!話す!話すから!!」






「ていう訳なんだよ」

「・・・・。」

英次の説明を聞いた俺は無意識に眉間にシワを寄せていた。

「確かか?」

「こんな嘘はつかないよ。」

「だろうな」

ハァ〜〜〜〜〜〜〜!!

勘弁してくれよ・・・

悪い予感が的中したって事か

「仕方ないよ。只でさえこの街はそういったモノが今集まりやすい時期(・・・・・・・・)なんだ。近くに現れたらこの街に来るのは君でも予想出来たことだろう。」

英次の話を簡単に説明するとだなーーーーどうやら例の新種の魔獣がこの街に侵入したらしい。

英次の言う通り、確かに今、この街は魔獣たち寄せやすい状態ではあるが・・・

それより周囲の感知装置は何で反応しなかったんだ?

「それも魔獣の能力・・・・零の予想通り瘴気を消せるんだろうね。」

俺の表情から思考を読み取ったのか、俺の疑問に答えてくれた英次である。

つうかそれ・・・悪い方向に予想が的中したって事だろう!

どうすんだよッ!それじゃ俺の感知も殆ど(・・)効かないって事だろう!?

と言うか何してんだよ!?外の機関は!

憤慨している俺に苦笑いしていた英次が続けて言う。

「まあ、本音で言えば外の連中が失敗したんだから、外の連中がやるべきなんだろうけどね・・・・。」

「それが出来たら苦労はしないと」

「そ、今回の相手に対してなら、まさにね!」

向こうも可能なら討伐したいが、そう簡単に管轄外には出る事が出来ない。

そういう場合は、他の機関と協力したりとかして行うか、一時的に自分の持ち場を誰かに引き継がせるかしないといけない。



まあそんな事はどうでもいい

「んで?今何処にいるんだ?」

「分かんない」

「・・・・。」

「うぉ!?無言で顔を掴もうとしないでよ!」

「てめぇがふざけた事ぬかしたからだろ」

「そんな事言われてもね・・・」

冷や汗を流して頰を掻く英次

「僕の能力は、そこまで万能じゃないんだよ。

知ってるだろ?いくら(未来)が分かっていても、(現在)が分からないんじゃ、あんまり使えないって」

「ん〜それでもある程度は分かるんだろう?」

「ある程度って言っても、必ず知りたい箇所が分かるわけじゃないんだよ。

それに僕の能力は有限だからね?使い過ぎる(・・・・・)と後が怖い(・・・・・)

「あーそうだったな」

そうだ。確かこいつの異能は、能力がスゲーけどその反面、色々と異能者本人に負荷があるんだよな。

昔なんか使い過ぎて、やばかった時があったしよ。

「そう考えると色々不便だなぁ」

「昔よりかは、だいぶマシになったけどね。零のお陰だよ。」

「そうか?」



俺がそう聞くと普段よりも自然なーーー多分素の笑顔で頷く英次

「そうだよー昔は回数も制限も多くて大変だったけど零の心力操作技法と異能操作技法でかなり改善できたよ。」

あ〜そいや丁度あの時に俺も色々開発したんだよなーーーでそれを俺たちの中で一番異能が暴走し易かった英次に最初に教えたんだっけ?

そう言えば、それ以前は英次とはあんま仲良くなかったな〜・・・・で、その時がキッカケで英次が俺と話すようになったな

「特に零が編み出した異能操作技法の一つである【決めれた手札(カード・アンサー)】に凄く助けられたよ♪」

「前から思ってたんだが・・・・そのネーミング・・どうにかならねーか?」

ネーミングは英次命名だが・・・・つうか柊さんと言い英次と言い何でそんなに技とかに名前付けたがるんだ?異能技は分かるんだが(異能技とかに名前を付けるのは、よりその技のイメージを浮かび易くしてその発動効率を上げる為である。)

「格好良いと思うよ?」

「いや・・・ただの操作方法だぞ?そこまでのモノじゃないぞ?」

少し工夫を加えてあるが

そこまでのモノだよ(・・・・・・・・・)。アレのおかげで暴走ガチだった僕の異能が良くなったんだから・・・・・・そう言えばあの子には教えたの?」

「ん?あの子?」

「白石さんだよ。暴走しやすいんでしょう?彼女の異能」

「何で、知ってんだよ?」

教えてない筈だが

「彼女の上司に聞いた。」

「ワオ〜さらっと外部との繋がりを認めたな?」

何言ってるの?みたいに答える英次に呆れてしまう俺

「隠す気なんてないからね。それに知ってたでしょ?」

「フンッ」

当たり前だ。あんなに露骨な登場じゃ

「で?どうなのかな?あの人(・・・)の店の地下で訓練してるみたいだけど」

あの人(・・・)ね?」

父親をあの人呼ばわりとは

そんな英次につい呟いてしまったのが失敗だった。




(レイ)

次ぎの瞬間、肌を突き刺すような冷たい殺気が俺に襲い掛かってきた。

英次の周囲からエネルギー『心力』が放出され俺に風のように当たってくるーーーーーー【異圧】だ。

常人であれば気絶こそしないが、恐怖のあまり腰が砕けしまう程の【異圧】と言う名の殺気が飛ばされているが・・・・俺はどこまでも(・・・・・)いつも通りな表情で対応する。


「おーコワッ、そんなマジな声出すなって」

苦笑して答える俺に英次はさっきまでの笑顔が消え

現在も飛ばしている殺気にお似合いな鋭い眼つきと表情で俺を見ている。

「ワザとじゃないのは分かっているよ。つい口がってところだろ?ーーーーーけどね」

続けてセリフを口する前に英次は一度殺気を消して、口元に薄い笑みを浮かべる。

・・・・普段と違うヤバイ方の笑みだ

「その件で僕をからかうならーーーーー覚悟した(・・・・)ほうが良い。(・・・・・)

僕もまだまだ子供だからね・・・・抑えが利かなくなる。」

・・・・・ふむ、こりゃあ相当根が深いな

だが俺もこれ以上ヤブヘビを突きたくないのが本意なのでしっかり頷く。

「あいよ。了解した。

以後気をつける。」

「分かってくれたならーーーいい」

俺の返事を聞き、安心する英次だが、まだ気分が高ぶり過ぎてヤバイ様だ。






(しば)し、目を瞑り精神を落ち着かせた英次を見て俺は先程について答える。

「操作技法についての話だが、答えはNOだ。

一応、基礎的な実践訓練のついでで、戦闘向け心力の操作も教えているが・・・・・あんまり芳しくない。」

どうも覚えが悪いんだよなぁ〜まあ個人差があるし、まだ始まったばっかだから仕方ないのかも知れいないが、今まで教えてきた連中と比べると・・・やっぱ覚えが悪い?

「戦闘向け・・・・【武闘】かい?それとも【詠み手】かな?」

俺の説明から俺の訓練方法が分かったのか英次が2つの技法を上げる。

「【武闘】だが・・・【詠み手】は戦闘向けじゃないだろう?」

「それは君として(・・・・)、でしょ?僕的には【詠み手】の方が充分使いやすい(・・・・・)と思うけどね。」

そう答える英次に俺はあぁなるほど、と納得する。

さっきの件(・・・・・)を除けは逃げ腰のこいつにはお似合いかもな

「確かにお前らしい回答だな。」

「ふふふ、何で僕らしいか聞いてみたけど、時間がないから話を進めるね?」

英次に言われて時計を確認する俺

確かに結構時間が経っちまったな・・・・急ごう。




ここから英次が一方的に話していく。

「現状、具体的な危機はまだない。」


「けどまだ(・・)ってだけ、時間が経てば、事態はそうではいられなくなる。」


「動くとするなら午後からだけど・・・・正確な時間までは僕にも分からない。」


「早ければ、今から1時間後だけど、遅いと今晩日付が替わる頃まで掛かる。」


「零も分かってるけど一番困るのは、試合中だね。

正直もしこのタイミングで襲われたりしたら、完全に揉消し切れるかどうか・・・」



ここまで話を聞いて俺は、現状の危機について改めて理解する。

「なるほどなーーーだからリン(・・)を呼んだかのか?」

「うん。彼女の異能(・・・・・)なら最悪の事態を回避できると思ってね・・・・けどそれでもかなり骨が折れると思うけど・・・・主に彼女が」

あ〜眼に浮かぶな・・・あの普段は生真面目なあの子があたふたして後始末してる光景が・・・

「後で謝んねーとな。

役割分担としっかりと別けたのにこれじゃ、申し訳ねーよ。」

しかし俺の考えに英次が何故か呆れる。

「謝るくらいなら褒めてあげなよ。その方が彼女も喜ぶ。」

「そうなのか?」

「そうだよ・・・て言うか零」

「なんだ?」

「・・・いやなんでもない(流石に中学生が相手じゃ鈍いのも仕方ないか?)」

何か勝手に納得してないか?こいつ

時々あるんだよな・・・色々分かってるから勝手に結論付けるんだ。

「で?そのリンは今どうしてる?」

「ん?あ〜彼女なら昼休み後に来るように言ってあるから・・・・あと30分くらいかな?」

時計を見ながら言う英次

そうか午後からか

「ん〜了解した。」

そろそろ時間が無くなってきたので、戻ることにする俺と英次だが


「ちょっと待って、戻る前にーーー零、一つ助言ある。」



そう言って待ったを掛けてきた英次に俺はふう、と溜息を吐き言う。

眼に映るモノが(・・・・・・・)全て真実(・・・・)とは考えるな(・・・・・・)・・・・だったか?」


俺の回答にコクリと頷く英次。

「そう。零、君の凄いところは、どんな姿、形、強さを持った相手でも一切動揺せず、焦らず、怯えず、倒してしまう無心なる精神だ。」



「けどそれは逆に言えば目の前の光景に対して客観的に見る眼が不足してる証拠だ。」



「それはつまり、戦ってる最中、君の眼には、敵味方の区別がはっきり分かれてるんだ。」


そう言って俺を見てくる英次

その眼はどこか悲しそうな顔をしている。

「僕たちは味方(・・)で魔獣は()と思考をそこで止めてしまっている。」

「別に良いじゃねーか?敵味方がはっきり分かっていれば、対処もしやすいしよ。」

「そうだね。零の言う通り、分かっていれば(・・・・・・・)対処はしやすい。」

「だったら「けどね」」

俺の言葉に重ねて英次が言う。

「僕個人としては、分かり過ぎる(・・・・・・)のも考えものだと思うよ?」

「・・・・・。」

分かり過ぎる(・・・・・・)

その一言に黙り込む俺

「僕からの助言は以上さ、あとは君次第だ。零」

「教えてくれねーのか?」

「僕の口からいくら言っても、君の心には届かないさ。」

そう言って先に部屋から出ようとする英次であるが、ふと思いついたかの様に止まり

「けど」

横目で俺を見ながら

「もしそれが可能だとしたらーーーそうだね?あの転校生さんにでも任せようかな?」

訳の分からない事を言っている。オイ

「勝手に納得してねーで、教えろよ。」

「ん〜〜?ちょっとお断りかなぁ?」

「なに?」

再び歩き出す英次

「僕も自分の領分ぐらいは弁えてる。

これ以上は宜しくないから、あとは彼女に任せるよ。」

「オイ英次!」

「零、親友として、もう一度言うけど、ちゃんと見ないとダメなんだよ。

それは今後の君・・・いや君達(・・)にとってーーーーー大事な事なんだから」

そう言って去って行く英次

そんな中、英次の言葉を聞いた俺は、時間の事も忘れてしばらく呆然としていたのだった。




*******

「あっ忘れてた。」

廊下を歩く中、ふと何か思い出した英次



「そう言えば、すぐこの後零が襲われる(・・・・)のが視えたら忠告しよう(・・・・・)と思ったんだけど・・・」

とんでもない事忘れていた英次であるが

「まあいいか」

あっさり、投げ出した。



「最悪死なないと思うしね?ーーー相手が(・・・)

何故か零の心配よりも相手の心配する英次であった。


*英次の言った通り、この後突然奇襲を受ける零であるが、絶対英次が言い忘れてたなと考え着き、今度会ったら絶対殴ると誓い、後日

零に力いっぱいぶっ飛ばされる英次だった。


招かねざる客へ続く。



おまけ

弁当の巻

美希「んぬぬぬぬぬ!」

桜井「どうしたの?美希」

美希「〜〜〜零が・・」

桜井「泉君が?」

美希「何処かへ行きおったのじゃ〜〜〜〜!!」

桜井「あ〜」

藤堂「お、落ち着いて下さい美希さん

泉さんならきっと直ぐ帰ってきますよ。」

美希「ぬぬぬぬぬ、じゃが」

桜井「(しょうがない)ところで美希、それが用意した弁当?」

美希「ぬ?お〜そうなのじゃ!」

藤堂「大きいですね〜」

桜井「コレって御節とかで使う・・・」

美希「うむ!我が家から持ってきた重箱じゃ!」

桜井・藤堂「お、大きいです。」「凄いな10段はある。」

美希「うむ・・・・零に沢山食べて欲しかったからの」

桜井・藤堂「(うわ〜〜!恋する乙女みたいな顔になってる。(なってます。))」


*そんな赤く染まった美希の顔を見た男子一同は、今まだ戻ってない零に対して、届きそうな程の怨念を送っていたのだった。

今回は女性キャラとの絡みが無かったので、おまけで加えてみました。

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