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夢
日が沈んだ。
あぜ道を進む行列は薄く差す月光のみを頼りに、どこかへ向かっていく。ちりんちりんと、ずっと後方まで、道しるべとして鈴が鳴る。自分が前方に居るのか、中ほどに居るのか、或いは最後尾の側に位置しているのか、全く見当も付かなかった。
周囲には老若男女、様々な顔が居た。そのどれもが、無表情に、地を見つめ、交わす言葉もなく、歩みを進めている。異様な光景だった。ただ、そこに安寧を覚えている自分を、自覚する。同様にして足を前へ前へと繰り出すのは、いかにも人間らしい所作だ。
いつからこの行列の仲間に入っていたのか。
どこから、どこへ向かっていくのか。
何一つとして、情報を与えられた記憶は無い。
気付けばここに居て、そして、歩いているというそれだけが、唯一絶対の事実であった。
道中、何人かが悲鳴もなく、田んぼのほうへ滑落する。誰もそちらを見もしない。ぽちゃん、と空々しく音が響くのみで、現実かどうかも、薄闇の中では定かでない。落下し、ぬぶぬぶと地面の奥へ消えていく影だけが、ぼんやりと、視界の隅に見えるが、それも、止まらぬ歩みに、いずれ去る。寂しさも、侘しさも湧かない。
ちりんちりん。




