表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

 日が沈んだ。

 あぜ道を進む行列は薄く差す月光のみを頼りに、どこかへ向かっていく。ちりんちりんと、ずっと後方まで、道しるべとして鈴が鳴る。自分が前方に居るのか、中ほどに居るのか、或いは最後尾の側に位置しているのか、全く見当も付かなかった。

 周囲には老若男女、様々な顔が居た。そのどれもが、無表情に、地を見つめ、交わす言葉もなく、歩みを進めている。異様な光景だった。ただ、そこに安寧を覚えている自分を、自覚する。同様にして足を前へ前へと繰り出すのは、いかにも人間らしい所作だ。

 いつからこの行列の仲間に入っていたのか。

 どこから、どこへ向かっていくのか。

 何一つとして、情報を与えられた記憶は無い。

 気付けばここに居て、そして、歩いているというそれだけが、唯一絶対の事実であった。

 道中、何人かが悲鳴もなく、田んぼのほうへ滑落する。誰もそちらを見もしない。ぽちゃん、と空々しく音が響くのみで、現実かどうかも、薄闇の中では定かでない。落下し、ぬぶぬぶと地面の奥へ消えていく影だけが、ぼんやりと、視界の隅に見えるが、それも、止まらぬ歩みに、いずれ去る。寂しさも、侘しさも湧かない。


 ちりんちりん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ