新しい扉が開きそうになりました
ここから少しずつお話が進んでいきます。
予想以上に説明っぽく、しかも長くなってしまった
「もう、ユート様! ちゃんとして下さい!」
俺は、自室でリサに手伝ってもらいながら、作業着へと着替えていた。普段は着替えくらいは自分でやるのだが、今回ばかりは別だ。どうにもやる気が出ないのだ。
なぜ作業着なのか? なぜ俺がこうもやる気が出ないのか?
良かろう。今回はまず、世界観説明もかねてそこから説明してやろう。
最初に、俺たちの住むこの国だが、名前を「バラド連邦王国」という。名前からもわかる通り、この国は王国でありかつ連邦制、それも二重連邦制と呼ばれる制度を採っている国なのだ。国の中には、邦と呼ばれる貴族の納める領地が散在している。各邦は、自国領内に独自の法律や政治制度、軍隊とか騎士団を持ち、かなり自律的に運営されている。
別の制度面の特徴として、この王国は奴隷制を採っている。つまり、一定の人々をものとして、法律的に言えば、所有の客体として扱っている。しかも、この国では自分の所有物をどう扱おうとも自由だ、と法律で保障されている。だから、奴隷はたいていろくな目に合わない。も一つ付け加えると、何度も言っているが、リサとアヤメは俺の奴隷だ。
さて、ここからがやる気の出ない理由の本題なのだが、俺はとある領地の主をしている。つまりは、貴族ってわけだ。爵位は、子爵だった気がするけど、よく覚えてない。
領地の名前は、そのまんま、ジェンティーレ領。王国の片田舎にある広いだけが取り柄の領地。内陸の土地で、北にはバカでっかい山脈が広がっていて、国境線代わりになっている。
特産品は、山脈からこれまたバカみたいに取れる銀を使った銀細工と、無駄に広い土地を余らせないために始めたブドウ栽培の余波で出来上がったワイン。しかも、偶々ブドウの栽培に適した気候帯に領地があるせいで、このワインが王都でバカ売れしている。
で! だ。それとこれとの何の関係があるかというと! うちの領土で栽培しているブドウの収穫時期は7月下旬なのだ。少しでも農作業やったことのある人ならわかるだろう? クッソ暑いなか、一つ一つ作物を摘み取って行く作業ゲーを無理矢理やらされる絶望感! お前らは俺を即身成仏させる気か! しかも、このブドウ栽培はうちの先祖、つまりは領主主導で始めたことだから、今でもブドウ畑の大部分が俺ん家の所有なのだ! さらにさらに、現在、この俺の許には、使用人とか奴隷とか公務員とか執政官とか摂政とか騎士団長とか呼ばれる人間は、リサとアヤメの二人しかいないのだ!
どうだ! 絶望的だろう? 結論としては、バカみたいに広い畑から、三人でブドウを全部もぎり取ってきて、ワインに加工するなり、食用として売り捌くなり、食い尽くすなりせにゃならんのだ! これでどうやる気を出せと!?
「はい、ユート様、両手を上げてください」
俺が現実逃避をぶちかましている間にも、リサは手際よく俺の着せ替えを進めていたみたいで、残念ながらこの上着で着替えは終わってしまう。ヤバいよ。真夏の太陽に、水分とかやる気とか性欲とか、色んな物を搾り取られる時がすぐそこまで迫ってるよ。
「いえ、性欲は吸い取られてしまった方が良いのでは御座いませんか?」
そう言いながら、俺の着せ替えを終わらせたリサは、パンパンと両手を軽く打ち合わせる。
「では、行きますよ?」
手伝いを終えたリサは、早速部屋から出ていこうとする。しかも、ちゃっかりと俺の手を引きながらだ。
「ほら、ユート様。やる気を出して下さいませ。こうしてダラダラなさっているうちに、どんどん気温が上がって行ってしまいますよ?」
リサの言うとおり、農業の基本は、涼しいうちに作業を済ませることだ。特に夏場なんかは、そうしないと命がいくつあっても足りない。それは分かっているが、嫌なものはいやなのだ。
だが、リサはリサで、さっさと作業を始めたいのか、俺の両脇から腕を差し込んで俺を引きずって行こうとする。
まぁ、いつまでもこうして居ても仕方がないし、俺はリサに身体を預けきって、そのままズルズルと引きずられて行くことにする。あと、夏は服が薄くていいね。背中に当たるやっこい感触がたっぷり味わえるね。
リサに引きずられて屋敷を出ると、そこにはすでに馬車とアヤメが待機していた。基本的に、御者はアヤメの役目だ。リサは、そもそも馬を操れないし、俺は貴族として一応武術をたしなむ関係上操れるが、領民の目がるから流石に俺がやる訳にもいかない。そこで、騎兵から歩兵まで何でもこなせて、BIG BOSSの称まで欲しいままにできそうな伝説ばりに腕の立つ軍人、アヤメの出番と言う訳だ。
「遅かったな、二人とも」
俺たちの姿を見るなり、かなり待ったのか、アヤメが待ちくたびれたとでも言うような調子で言った。
「申し訳ありませんアヤメ様。ユート様のお着替えに手間取ってしまいまして」
アヤメが、相変わらずの慇懃な口調でそう言う。全く、別にここではそんな事気にしないから、もっと砕けた口調で話せばいいのに。
リサの言葉を聞きながらなどと思っていると、俺はあることに気づいた。
今俺たちの前に用意されている馬車は、二頭立ての荷馬車だ。人が乗ることよりも荷物が載ることを考えた幌馬車だ。なのに、そこには馬が一頭しか繋がれていないのだ。
別に、三人で移動するだけならこれでもいいかもしれないが、帰りは馬車一杯にブドウが載るのだ。それを一頭で引くのは無理があるだろう。
それに、一頭しかいないと言ったが、馬具だけは、もう一組あるのだ。馬車につながれて、地面に置かれている。これは、どういうことだろうか。
「あの、リサさん? これを用意したのは、君だよね?」
俺は、背中を駆け巡る悪寒を押し隠して、リサに尋ねる。
「はい。そうで御座いますが、何か?」
「いやね、この馬車って、二頭立てだよね?」
「左様で御座います」
「あのさ、ここには馬が一頭しかいないんだけど?」
「ユート様? 何をおっしゃっているのですか? 馬なら、ここにもう一匹いるではありませんか?」
「そう言いながら馬具を手に持つな!」
クソ! やっぱりか! 嫌な予感がしたんだよ! 今までのパターンから言って絶対に何かあると思ってたんだよ。
「てか、アヤメ! お前はこの邦の騎士団長だろ! ご主人様をお守りするのが役目なんだから、止めろよ!」
「くっ! すまないユート殿。王都でしか手に入らない限定品なんだ」
「お前はリサから何をもらったんだー!」
この乙女チック騎士団長め!
「では、行きましょうか、ユート様?」
そう言ってリサは、俺の口に轡を噛ませようとしてくる。
「おま! それ馬用のやつだろ!」
「大丈夫で御座います。ユート様が口になさる物ですから、わたくしが責任を持って、きちんと洗っておきました」
「そこじゃねぇ! てか使用済みかよ! せめて新品にしろよ!」
「はい、ユート様、あーん」
声に合わせて自分の口を開いて見せながら、リサは轡を持ってこっちに近づいてくる。
ふむ。女子の口の中が見えると、妙にエロく感じるのはどういう訳なんだろうな。
って、違う! そうじゃない! 今はこの状況をどうにかしなければ。幸いにして、まだ拘束されている訳でも、踏みつけられている訳でもない。今なら口さえ開かなければ、どうにかなる。
「わたくしがそのようにロクな準備もしていないとお思いですか?」
だが、俺のその考えはすぐに打ち砕かれてしまう。リサは、轡を放り出すと、革製の首輪を手にした。そこから出た鎖は、馬具とは別に、御者台の方に延びていた。しかもこの首輪、動物用のやつじゃなくて、完全にプレイようのだ! こんなもん一体どこから手に入れてきたんだよ!
「では、アヤメ様、よろしくお願いいたします」
「心得た」
リサの指示を受けたアヤメが、ゆっくりと、こちらに向かって動き出した。絶体絶命のピンチってやつだ。
「おい! アヤメ! こ、今度なんか買ってやるから、な?」
事ここに至ると、もはや主人の威厳やら貴族威光なんてものはあてにならない。情けない話だが、取れる作戦はマネーフィッシング作戦ぐらいだ。だが、やはりというか、俺の最後の作戦は、儚くも敗れ去ってしまう。
「すまない、ユート殿。本当は、主にこんなことしたくは無いのだ。だが、今やらねば、ジョンが、ジョンが、火炙りに!」
「お前はリサに何をクマ質にとられたんだ!」
俺は、心底辛そうな顔をするアヤメに向かって全力で突っ込んでいた。てっきり、また物で釣られたのかと思ったら、とんでもないことになってやがった。あのS型ロボット、ついに人質まで取りやがった!
「本当に、すまない!」
そんな茶番劇を繰り広げている間にも、俺はアヤメに捕まってしまう。だが、精神的に動揺しているせいか、今回はアヤメの動きにキレがない。
まるで抱き着くかのように、正面から俺の身体を押さえつけてくる。というか、完全に抱き着く体勢だった。流石に、それなりに葛藤というか、罪悪感というかはあるのか目をギュッと瞑って体重を半分以上俺に預けていた。
確かに、これは逃げられない。でも、こう、今までの逃げられない感じとは違って、なんというか、
おっぱいが気持ちいい!
何これ! この筋肉と脂が程よく乗った巨乳! こんなん、気持ち良すぎて動きたくなくなるに決まってるやろが! アヤメはん、あんさん卑怯ですわ! あかん! 思わず口調まで変わってまう!
これは、逃げようと思えば簡単に逃げられるし、ここに居たらとんでもないことになるのは火を見るよりも明らかなんだけども、ここから逃げるとか、そいつは男じゃねぇ! そんなことが出来る奴は、ホモか不能野郎だ!クソ! ダメだ! 逃げなきゃいけないのに、逆に俺がアヤメを抱きしめたくなる!
俺は、意を決してアヤメの背中に腕を回そうとする。だが、そこで俺は更なる発見をしてしまう。
尻が! アヤメの尻が突き出されているのだ! まるで触って下さいと言わんばかりに! 程よく引き締まっているくせに、大胆に肉の付いた尻が!
現在、アヤメは、俺から少し離れたところに立って、腰を曲げて俺にしがみついている。つまりは、あれだ。ほら、エロ漫画とかでよく見かける柱に手を縛り付けた女の子を後ろからパコパコするシチュエーション! 俺が柱でアヤメが女の子ってわけだ!
これは、触っていいよね? 触らないと、失礼だよね? てか、触って欲しいんだろ? そんな風に突き出して! このビッチが!
てことで、今逢いに行きます!
俺は、アヤメの背中に回そうとしていた手の行き先を、急遽変更する。背中に着地すると見せかけて、そのまま下の方へと下って行く。後、15cm……10……9……6……3……
「えい♪」
「ぼぎゅる!」
後、あとほんの数センチでヴァルハラに到達しようかというときに、唐突に俺の首を何かが締め付けた。そのあまりに強力な締めに、俺は思わず帰るが潰されたみたいな声を出してしまう。
そう言えば、こんな状況だったのを忘れてた。
「ユート様、一体全体、何をなさろうとしていらっしゃったのですか?」
ああ、ヤバいよ。リサのいつも以上に丁寧な声が、口調が、とっても怖い。これは確実にお説教という名の拷問タイムが始まるお知らせですよ。
「い、いや、別に」
首にギリギリと食い込んでくる革の圧力に抗って、必死に声を絞り出す。
「そうで御座いますか。では、参りましょう」
リサは、言い終わるや否や、首輪から出た鎖を引っ張って、俺のことを引きずって行く。なんか、珍しく力づくだった。いや、普段だって力でくることはあるけど、もうちょっと穏やかというか、一線は超えないというか、そんな感じだけど、今日はやけに強引だった。
「お、おい、グリシャ殿。いくらなんでも強引すぎはしないだろうか? それに、当初の話では、少しからかうだけだと……」
アヤメも、いつもと違う様子を察したのか、止めに入ってくる。
「申し訳ありません、アヤメ様。これはわたくしとユート様の問題ですので」
「う、うむ」
だが、リサの冷ややかな眼光に射竦められたとたんに、固まってしまう。普段から殺気が満ち溢れている世界に住んでいるアヤメですらこうなのだ。こんなの、俺に逆らえるわけがない。
俺は、抵抗することを諦め、おとなしくリサに従う。リサに引っ張られるままに馬の隣に並ばされ、轡をかまされ、馬車に繋がれる。
「さ、アヤメ様、お乗りください」
一人で馬車に乗り込んだリサが、アヤメに乗車を促す。アヤメは、数瞬オロオロした後、
「承知した」
逆らうことを諦めた。だが、残念ながらここではそれが正解だ。今のリサに逆らえば、アヤメも俺と同じ運命をたどることになるだろう。それはそれで、ちょっと見たい気もするけど。
アヤメは馬車に乗り込むと、早速御者台に付いた。
「では、参りましょうか」
だが、そう言ったリサは、なぜかアヤメのすぐ隣の御者台に座っている。おかしい。リサは馬を操れないはずだが?
そんな俺の疑問はすぐに解決した。
「えい」
そんな掛け声と一緒に、俺の背中に鞭が食い込む。しかも、それに合わせてリサがアヤメに言って、馬車を発車させる。俺は、必然的に馬と一緒に歩き出さざるを得ない。これじゃあ、まるっきり家畜みたいじゃないか。
俺は、俺は女の子を調教して喜ぶ性癖はあっても、女の子に調教されて喜ぶ性癖は持ち合わせてないっての!
「ほーら、しっかり歩いて下さいませ!」
バシッ!
「キャイン!」
轡をかまされて半開きになったおれの口から、情けない声が漏れ出てしまう。しかも、この感触からして、リサが使ってるのは獣用の鞭じゃなくて、プレイ用の物だ! この痛みはするぢけど、皮がむけたりしてる感触が全くない感じは間違いない。
俺は、助けを求めてアヤメの方を見るが、目が合った瞬間に逸らされてしまった。どうやら、アヤメはまだ人として生きていたらしい。てか、俺は今日リサに対してそんなにひどいことしましたっけ?
「そーれ」
バシッ!
「おぐ!」
再び、リサの鞭が俺のことを打ち据える。そのあまりの痛みに、俺の思考は中断され、霧散する。
そうこうしている間にも、馬車はいつの間にか屋敷のある丘を下り始めていた。必然的に、馬車の速度も速くなり、俺は馬車から逃げるような恰好になる。
「えい♪」
必死に走る俺に向かって、もう何度目かしれない鞭が振るわれる。
「ああ!」
なんか、自分の声がだんだんと色っぽいものになっている気がするんだが? これ、マズいよね? 俺、調教され始めてね? しかも、気づけば市街地に入ってるし。ああ、皆さまの蔑むような視線が心地いい……じゃなくて痛い!
ちょっとした丘のうえにある俺の屋敷からは、市街地に向かって一本の道が伸びていて、それを下れば領地の中心部たる市街地は目と鼻の先だ。屋敷から伸びる道はそのまま市街地のメインストリートになっていて、屋敷からの交通の便はかなり良い。
普段だったら喜びこそすれ、悲しむ理由はないのだが、今回だけは別だ。領主としての威厳というか、人として大事な物がゴリゴリ削られていってる気がする。
「ママ、りょうしゅさまがまたへんなことやってるよ?」
ああ、今幼女にさえばかにされてる。これは、気持ちいい! って違う! これは、ヤバいよ。人として。幼女にバカにされちゃってるよ!
「ダメ! 領主様のことは見ちゃいけないっていつも言ってるでしょ!」
ああ、普段からそんな感じの扱いなんですね、お母様。威厳とか、はじめっからなかったのですね。
「お、何だこりゃ?」
「ねぇちょっと! みんなも外に来なよ!」
「うっわ、キモ! こいつが領主とかマジありえねぇ」
リサに鞭うたれながら行軍する俺の周りに、次々と人が集まって来る。
面白いものを見るような人、仲間を呼ぶ人、蔑む人、口では蔑みながらもちゃっかり楽しんでいる人。様々な人々が、俺を囲んでいる。ああ、か・い・か……
「あ」
俺のなかで何かが花開く直前、俺はある物を見つけた。そして、その瞬間、今までおふざけモードだった頭が、ちょっとだけ真面目になる。
俺が見つけたのは、とある人の手の甲に押された焼き鏝の痕だった。それは、N.H.Rの大き目の文字と、その下に押された小さ目の数字。
それは、その人が奴隷であることを示す物だった。この国では奴隷制がとられていることは、ちょっと前にも言ったが、当然、それに問題がなかったわけではない。
人権を叫ぶ人は、そのうち奴隷の便利さに呑まれて消えていったが、問題は奴隷の方だった。
当たり前の話だが、適当に使われて殺されるくらいなら、逃げてみようと思うのが人情だろう。例え、失敗したら殺されるとしても。だから、昔は逃亡奴隷が多発し、問題となった。彼らだって、結局は人間なのだ。
それに、ちょっと服装を変えるなりすれば、やすやすと他の人に紛れることができるし、一度そうなってしまえば、外見上は他の人と変わらなし、かなり見つかり難い。だから、やる価値は十分にあった。
一方で、彼らはかなり高価な財産なのだ。奴隷を持つ目的はいろいろあるが、見た目が可愛い、よく働く等々、希少価値が高いものは、彼らの体重と同量の金と交換される者もあるという。それに逃げられては、持ち主としては堪ったものではない。
そこで考え出されたのが、この刻印と登記制度だ。
先ず、N.H.Rの刻印だが、これは彼らが他の人に紛れられないようにするための物だ。最初に奴隷を買った人は、身体のどこかにこの刻印を刻むことが義務付けられている。そうすれば、仮に逃げられたとしても、身体を調べさえすれば、そいつが奴隷かどうかが分かると言う訳だ。
ちなみにN.H.Rの意味だが、No Human Rightsだ。つまり、人権がないってこと。決してNetorere(寝取られ)Haramase(孕ませ)Rape(レイプ)って意味じゃないからな? あと、俺は寝取られ趣味は無いからな? 自分のお肉の棒でじっくり女の子を調教していくのが楽しいんじゃないですか!
「ママー。りょうしゅさまのはなのしたがながくなってるよ?」
「死ね! 変態!」
っと、いかんいかん。何の話だったっけ? あ、奴隷の話だった。
番号が何かって言うと、登記番号だ。奴隷が分かりやすくなったのはいいが、誰のものか分からないんじゃあ困る、と言う訳で、奴隷は全て国の奴隷台帳に登録されている。どういう人の持ち物なのか、過去にどういう人にどういう金額で買われたのかが、番号を照会すればすぐにわかると言う訳だ。
さらにこれは、盗品等関与罪、つまりは奴隷の逃亡を手助けした人に対して、損害賠償を請求する手助けにもなっている。奴隷の勝ちが高ければ、それだけとんでもない金額を請求されると言う訳だ。
ちなみに、リサとアヤメの二入にも、これは刻まれている。こればっかりは、王国の方の法律で義務付けられてるから、貴族の俺でも、逆らいたくても逆らえない。もちろん、二人に印影を刻んだのは俺だ。目立たないように、わき腹の辺りに押したと思う。残念ながら、その時の記憶はあんまりないけど、ろっりろりなリサとアヤメの身体をその時に見てるはずなのに! なんでだよ! なんで覚えてないんだよ!
たぶん、ロリリサ、略してロリサになんかされたんだな。怖いから、今まで、そしてこれからも、あんまり考えないようにしてきたし、するけども。
「ママ? りょうしゅさまがへんたいてきなかおしてる~」
「っち!」
せめてなんか言って下さいお母様!
で、だ。ここまでに歴史のお勉強は置いといて、なんで俺がそれに反応したかというと、俺の領地の中では、どれに対する差別的な扱いを完全に禁止しているからだ。別に、奴隷制そのもを禁止している訳じゃないから、王国の制度に反している訳じゃないぞ?
理由は、三つ。
その一、俺がそもそもこういう制度が好きじゃないから。
その二、先代までの奴隷の扱いがひどすぎるから。奴らは、女性の奴隷を、それこそ牝奴隷みたいに扱ってきた。いや、確かに俺も牝奴隷というか、エッチな女の子や調教ものは好きだけども、俺が好きなのは凌辱ものじゃなくて、半和姦なの! 嫌がってはいるけど実は女の子のほうも、堕ちていくのが満更じゃない! みたいなのが良いの!
「ママ、りょうしゅさまきもちわるい!」
「エマはあんな風になっちゃだめよ?」
「うん! わかった!」
いや、お前ら気持ち悪いとか言いながら、結構な時間馬車に並走してたよね? 実はこういうの好きだろ!
さておき。
上がそんな感じだったから、市民の奴隷に対する扱いもかなりひどかった。本気で家畜とかそんなものを扱うような感じで、そのせいで俺がガキの頃の街中は、雰囲気や治安もかなり悪かった。奴隷が発する厭世観や、奴隷に対する犯罪が蔓延してたせいだろう。
その三、これが一番大事な理由だが、そうしないとリサと結婚できないだろうが!(場合によってはアヤメとも! 一夫一妻制? 法律? 変えればいいんだよ!)この国では奴隷は物と同じだ。ものと結婚することはできない。そういうことだ。だから、俺は法律を作ったのだ。俺のハーレムを築くために!
「あれ、りょうしゅさまがまじめなのかふまじめなのかわからないかおしてる? きっと、はーれむをつくるけいかくをたてているんだね」
「いい? エマ? 男があの顔になったら、迷わず股間を蹴りあげるのよ? そうして、自分のしたことを後悔させてやりなさい? ママだってパパにはいっつもそうしてるんだから?」
「うん、わかった!」
パパさん逃げてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!
それは、良いとして。
なんで俺が奴隷の刻印を見つけてこんなことをグダグダ考えているかというと、法律がきちんと守られているみたいで安心したからだ。
いくら俺が法律を変えたところで、それがきちんと守らなければ意味がない。それに、俺みたいな若造がいきなり法律を変えたところで、全ての人が従う訳ではない。中には従わない人たちだって居る。
ま、若造に今までの生活を突然ぶっ壊さたんだ。当然だよな? でも、俺だって引き下がるわけにはいかなかった。だから、ちょっと人に言えないような手段も使った。
おかげで、反対勢力はほとんどが駆逐された。でも、未だによくない噂を耳にすることがある。だから、奴隷が他の人と同じように俺を見て笑っているのを見つけたとき、少し、ホッとした。
「ユート様? 真面目なことをお考えのところ誠に申し訳御座いませんが、御自分の置かれている状況をお忘れではありませんか?」
俺が、珍しく真面目なこと考えていると、今の今まで忘れていたが、リサの声が俺のことを軽く鞭で打つ。
「ああ、そうで御座いました。わたくしは今、リサ様の調教でMブタと化していたのでした」
と、リサの口調を真似して言ってみる。そうだった。忘れてたよ! この状況! ありがとう! 奴隷の人! おかげで我を取り戻すことができたよ。大丈夫。気をしっかり持つんだ、俺!どうせこの状況はすぐに終わる。ブドウ畑まで行けば、開放されるはずだ! 私、鞭なんかに屈しない!
「どうやら、お仕置きが足りないようで御座いますね」
リサが、鞭を振り上げて、それを俺の背中に向かって振り下ろす。ほぼ会館と化した痛みが、俺の身を襲う。
バシッ!
「あ……」
バシッ!
「ああ……」
バシッ!
ちょ、アヤメ、マジで助けて! 本気ですがる目をアヤメに向けるが、無駄だった。もはや、アヤメはただひたすらに馬を操るマシーンと化していた。
ダメだ。これは、本格的に駄目だ。あれか、そんなにブドウの収穫がいやだったのか! 今日のリサは、俺に対して厳しすぎるだろう! いつも以上に理由のない暴力って感じですよ! それとも何か? アヤメの尻を触ろうとしたことがそんなに重罪だったのか!
バシッ!
「ああ!」
もう、むり……
バシッ!
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
バシッ!
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
アクセス数を見てみたんですが、おしっこの話を投稿した次の日だけ多い。なぜ?
あれですか、皆さん、おしっこ好きなんですか?
へへ、こいつ無理矢理ち○こ咥えさせられてイラマされてるのに、うれションしてやがるぜ!
みたいな?
それとも、
俺にお前のおしっこ飲ませてくれ!
みたいな?
今回真面目成分多めなのでここに不真面目置いてきます。
(追記)誤字や分かりにくい部分があったので修正。