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黄金水(こうちゃ)のお礼に黄金水(おしっこ)噴出させてやるぜ!

 目の前ではリサが部屋を掃除していた。あの後、結局俺は、リサの持ってきたお湯を全部ぶっかけられる羽目になった。しかも、お湯が微妙に火傷するかしないかの絶妙なところだったせいで、皮膚の表面がヒリヒリする。

 俺はそれに顔をしかめつつ、部屋の中でも比較的被害の少なかった机も前で、椅子の背もたれに抱き着くようにしてリサの様子を見ていた。

 あの後、リサがすぐに道具を持ってきて掃除を始めたあたり、もしかしたら何もなくてもぶっかけるつもりだったんじゃないのか? しかも、罰として掃除が終わるまでここに居ろとか、半分は自分が汚したようなものとはいえ、どうも納得いかない。かと言って、逆らえばどうなるものか分かったもんじゃない。正直、暇だった。でも、、こうやってじっとしていると、こう、さっきの怒りが沸々と湧き上がってくる。

 俺は、こちらに背を向けて雑巾がけをしているリサの尻を見ながら考える。

 

あー、あの尻たまらん。パコパコしたい! 

 

 いや、そうじゃなくて。

 だいたい、あいつは、いつもいつも俺に反抗的で、おかしいだろ。こう、完全に服従しろ、とは言わないけど、もっと俺を敬ってくれてもいいんじゃないの? 一応、俺がご主人なわけだし。あれだな。ここら辺で、なんか、思い知らせておかないとだめだな。

 そりゃあ、リサの言うことにも少しは理があるけど、やっぱり、上下関係は、はっきりさせておいた方が良いと思うんだ。主人に向かって黄金水こうちゃぶっかけるようじゃ駄目だと思うんだ。

ふと、俺はそこである物の存在を思い出した。俺は、リサがまだ向こうを向いているのを確認すると、今座っている机の引き出しを、こっそりあさり始める。

 すると、目的の物はあっさりと見つかった。それは、ちっこいアンプルだ。茶色い色のビンの中に、液体が入っている。そのビン自体には、取扱い注意、と書かれた紙片が貼り付けられている。

 俺は、それを窓から差し込んでくる光にかざすようにして掲げると、心の中で叫んだ。

 チャラチャチャッチャチャ~。利尿剤~。リサ太くん、これはね、いつか君に飲ませてあげようと思って、内緒で怪しいお兄さんから買っておいた利尿剤だよ。これを飲むとあら不思議、あっという間にトイレに行きたくなるんだ。

 もちろん、行かせないけどね!

 嗚呼、買っておいてよかった。いや、まさか本当に使うことになるとは思わなかったけど、いいんじゃないかな? 使っちゃっても。今回は結構ひどいことされたわけだし。うん。いいデース。異議なーし。

 はい、脳内会議終了。満場一致で利尿剤の使用が決定されました。

 つーことで、黄金水こうちゃをぶっかけられたお礼に、黄金水おしっこ噴出させてやるぜ!

プランはこうだ、先ずはリサにこいつを飲ませる。すると、標的リサは一瞬のうちにトイレに行きたくなる。

 そこで俺は、すかさずリサスカートの中にもぐりこんで、両の足を手で押さえつける。普段だったら、スカートのぞこうとした瞬間に滅殺されるけど、今回はそうはいかない。これは強力だから、リサは股間を手で押さえて、必死に我慢するしかないはずだ。そうなれば、暴力はできないはず!

そして、俺の顔の上にはヴァルハラが。そう、遥か天空にはリサのパンツだ。手で股間を押さえてるから一部しか見えないかもしれないけど、その分股間に食い込んで、色んなものの形がはっきりわかるはずだ。もしかしたら、もうすでに少し濡れてるかもしれない。

 一方、リサの顔は羞恥心に染まり、尿意と合わさって真っ赤になるはずだ。

 そして、ついにその時はやって来るのだ。おしっこを我慢しきれなくなったリサは、ついに、ついに俺の顔に向かって、黄金水せいすいを解き放つのだ! リサの手や股間、太腿うぬらしながら俺の顔に向かってくる聖なる水。

 やるっきゃねぇ!

「おーい、リサ、ちょっとこっち来てくれないか?」

 俺は、何でもない風を装って、リサに声を掛ける。すると、声に釣られてリサがこちらを振り向く。くく。バカな奴め。これからその顔が恥辱に染まることになるとも知らずに。

「なんでございましょうか、ユート様?」

 リサが、雑巾がけの体勢のまま身体を捻るようにして顔をこちらに向ける。くっ! これはこれで萌える! じゃなくて、

「ちょっとこっちに来てくれるかな?」

「全く、なんですか? わたくしは今、誰かさんのせいでお掃除に忙しいのですが」

「俺のせいと!? 絶対に違うよね、それ」

 そんなことことを言いつつも、リサは立ち上がって、こちらへとやって来る。

 バカな奴。今すぐ地獄を見せてくれるわ!

「いや、朝は悪かったと思ってな。それで、ほら、掃除を頑張ってくれてるリサにこれをやろうと思ってな」

 そう言って、俺はリサに向かって利尿剤を差し出す。

「まぁ! ユート様、いつからそのように『反省』という物を習得されたのですか? ようやく下半身だけでなく、脳味噌でも物を考えてくださるようになったのですね」

「ん、ああ。そうなんだよ。いやぁ、今までリサにはいろいろ迷惑かけたからさ、そのお礼に栄養剤をやるよ」

 くっ。ここは我慢だ。強張るな。俺の笑顔!

「そうですか。では、ありがたくいただきます」

 リサは、俺の手からアンプルを取り上げた。俺は、心の中で盛大にガッツポーズを決めていた。

 当のリサは、アンプルの先端の部分を指で割ると、それをゆっくりと、でも着実に、『俺の』口へと運んで行った。

「んぶ!?」

 口の中に、何とも言えない薬っぽい味が拡がって行く。すぐに吐き出そうとするが、リサがさせてくれなかった。ビンを右手で持ったまま、左手で下あごを押さえて、口を開かせてくれないのだ。

 く、マズい。これを飲み込んではいけない。俺は、必死に薬剤を口の中に留めておこうとする。

「は~い、ユート様、しっかりとゴックンしましょうね~」

 だが、このメイド姿の悪魔は、ビンを俺の口から引き抜くと左手で顎を引いて、上を向かせる。

真っ直ぐにのばされ気道を、薬剤が重力に従って落ちていこうとする。俺は、必死にこれ得るが、気道が伸びているのに加えて、人間の口の中の物を飲み込もうとする反射的な行動のせいで、もう限界だった。

「あら~、ユート様、ちゃんとゴックンできて、えらいでちゅね~」

 リサが、まるで子どもでもあやすような口調で言ってくる。しかし、今の俺には、そんなことに構っている余裕はなかった。

 変化はすぐに表れた。薬剤を飲み下して数秒後、いきなり何かが血流に乗って体中を駆け巡っている感覚が現れた。かと思うと、あっという間に、下腹部、つまりは膀胱の辺りが膨らむような感覚が襲ってきた。

 マズい、これではすぐに限界を迎える。

「ユート様? どちらに行かれるのですか?」

 慌てて席を立った俺に対して、奴が、満面の笑みで話しかけてくる。

「どこって、トイレに決まってるだろ!?」

 今は、リサに構っている暇はない。早くトイレに行かなければ、この場でお肉のホースから黄色いお水をぶちまけることになる。

「行かせると思っていらっしゃるんですか?」

 ですよねー。分かっていました。でも、今回ばかりは、譲れない。男には、決して引けない戦いというものがあるんだ。

「押し通る!」

 俺は、そう叫ぶと、入り口と俺との間に立っているリサへと、挑みかかって行った。

「えい~」

「はう!」

 ムリだったよ。やっぱり、人間が悪魔に挑むのは無茶だったよ。俺は、ビッチョビチョの絨毯の上を転がりながら、後悔にむせび泣いていた。

「全く、情けないですね。ちょっと膀胱の辺りを衝いただけなのに」

 いや、ちょっとじゃなかったよね? お腹の肉がおもっクソ凹むぐらいの勢いでついたよね? ちびってないといいな……

 情けないことに、俺は床の上で股間を押さえて這い蹲っていた。間違いなく、今動いたら漏れる。このまま、少し待機して、尿意の波が去った後に動かなければ。

「ユート様? 何をなさっているのですか? 将来のためにごみ虫になる練習ですか?」

 うん、分かってましたとも。リサが、放っておいてくれる訳がないってことくらい。つか、将来のためにごみ虫になる練習ってなんだよ! と、突っ込んでやりたかったが、もはや声も出なかった。このままじゃあ、本気でヤバい。

「ユート様、人が話しかけているのに無視するのは良くありません、よ?」

「~~~~~~」

 あ、ちょっと出た。

 もはやここまで来ると、諦めの極地だった。リサは、あろうことか、俺の大事なゾウさんを、踏みつけやがったのだ。しかも、踵で、踏みにじるように。痛みとか尿意とか快感とかで、声にならない悲鳴を上げる一方で、下の方は、ダムが決壊しかけていた。

「っち。全く。女の子に踏まれて漏らすなんて、ユート様はとんだ変態でいらっしゃいますね」

 しかし、当のリサは、俺をまるでゴミでも見るような目で見下し、一向に足を退ける気配がない。それどころか、力を強くしてくる始末だ。

 それを見て、俺は、とても興奮……じゃなくて、恐怖していた。

「何をうれしそうな顔をしていらっしゃるのですか? もしかして、踏まれて興奮している、などということはないですよ、ね?」

 そう言うと、リサは、まるで踏みつぶそうとするかのように、足に力を籠めてくる。もう、無理だった。駄目だ。無理無理無理!

「大体、計画が甘いのではないですか? わたくしのスカートの下に潜り込む、という時点で、破綻していると思いますが?」

「おま……どうしてそれを……」

 俺は必死になって声を絞り出す。なぜだ!? なぜ完璧なはずの計画が漏れた?

「いえ、先ほどユート様自らが声に出しておっしゃっていたではありませんか。『チャラチャチャッチャチャ~……』と」

 まさかの失態だった。クソ! 興奮し過ぎて声に出していたなんて!

「そんなどうしようもないご主人様には、教育的指導で御座います。えい!」

あ! だめ! だめなの!! それ以上強く踏まれたら、そんな風に踏み躙られたら、出ちゃう! 何かが出ちゃうの! だめだめ、らめぇ! らめなのぉーーーーーーーーーー! あ……

 

この後、色んな意味で泣きながら掃除した。

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