ゲーム
今回は今までより少し長いです。
「さて行こうか」
綾瀬が裂け目にズルズルと引きずられていく。
「抵抗しないで欲しいな......めんどくさい」
「どこに連れて行く気だ!」
「地獄に決まっているだろ? 君は馬鹿なのかい?」
何も言えなくなった。
「何も言えないのかい? こんな人間の中にあいつがいるなんてイライラするよ」
そう言うと目の前にいきなり現れ。
「君も地獄に送ってあげるよ」
間髪いれずに裂け目に放り投げられてしまった。
「ここは......」
真っ暗な空間。
不気味なほど静かなその空間に恐怖を抱く。
「あいつが認めた人間とは思えない程情けないな」
見下すように見ている少年。
「さて、てっとりばやく始めようか」
何を言っているのかわからなかった。
「お前みたいな人間でもわかるように説明してやるよ
今からお前にはゲームをしてもらう
ルールは完全に姉さんとわかっている状態で姉さんに触れるだけ
制限時間はイベントが終わるまでだな
説明は終わりだ」
何も言う時間を与えて貰えず意識が無くなった。
目が覚めると自分の部屋のベットだった。
「どうしてここに......?」
もしかしたら一般人に紛れ込んでるから探せという事なのか?
「おはようございます湊さん」
鈴が起こしに来た。
って事は今日は学校なのか?
「朝食できてますから早く食べてくださいね」
そう言って返事を待たずに部屋を出て行った。
いつもと何かが違う鈴に対して戸惑いつつも着替えた。
「もっと急がないと遅れちゃいますよ?」
冗談交じりにそう言う鈴は対して感動を抱いた。
これが普通なんだよ......今までのがおかしかったんだ。
そう改めて思い知らされる。
「おはよう湊!」
「おはよう」
先に来て席に座っていた流石から声をかけられる。
自分の席につくと丁度先生が来てホームルームが始まった。
終わるまでの間、どうやってあいつの姉を探せばいいのか考える。
「湊?」
姉を探せと言われても顔も知らないのにどうしろって言うんだ。
「おい、湊!」
「え、あ、何だ?」
「文化祭だよ。
先生の話聞いてなかったのか?」
「すまん、聞いてなかった」
「文化祭俺らは絵を飾るだけらしいから一人一枚描いてこいってさ」
何だそれ......適当すぎるだろ
「さて、次の授業もうすぐ始まるしそろそろ戻るわ」
そう言って流石は席に戻っていった。
入れ替わりに鈴が来た。
「湊さん、文化祭誰かと約束しましたか?」
「いや、してないが」
「なら私と一緒に色々回ってくれませんか?」
「ああ、わかったよ」
そう言うと鈴は嬉しそうに席に戻っていった。
「警戒しなくていい風呂は久しぶりだ」
あいつらは事あるごとに一緒に入ろうとしてくるからな。
でもおかしいのが鈴以外に誰も見ていない事だ。
普通に戻ってくれてるならいいけどな。
「起きて下さい」
鈴に起こされるが耳を疑う言葉を言われる。
「文化祭に遅刻なんて絶対駄目ですからね」
今何て言った?文化祭?
「鈴、今日が文化祭なんて冗談だよな?」
「何言ってるんですか?
今日は文化祭ですよ?」
そうやって戸惑わせて寝ようとしても無駄ですよと言って鈴は部屋を出て行く。
携帯で時計を見ると文化祭開催の日付になっていた。
「あいつのイベントが文化祭だとすると今日と明日で見つけないといけないことになるぞ」
情報を何一つ掴んでいないこの状況で探すのは難しいだろう。
「どうしたら......」
いくら考えても答えは見つからない。
だが俺に近い人間の可能性が高いだろう。
そうでなければ攻略不可能になる。
それに姉って事は女だな。
「わかってた事だけど無理だよな」
ホームルームが終わった瞬間各自散らばり探すなんてとてもじゃないが無理だ。
「湊さん、一緒に行きましょう!」
考え事中に鈴に腕を掴まれ無理やり連れ回される。
連れ回されながらクラスの女子を探そうとする。
見たことがなければその子が姉である可能性があるからだ。
「結局収穫なしか」
明日が最後の日だと言うのに何も進展がない。
その事で焦ってしまいさらに考えがまとまらなくなる。
「駄目だ、寝よ」
冷静にならなくてはいけないのにどうしても冷静になれず頭を抱える。
「......寝よ」
寝れば冷静になると信じてさっさと寝ることにした。
「今日はどこ行きたいですか?」
「どこでもいいよ」
起きてからも結局考えがまとまらず諦めていた。
「でしたら占いでもしましょう!」
そう言って連れてこられたのは部屋を暗くして必要最小限しかあかりがない教室だった。
雰囲気はあるなと考えていたら自分たちの番が来た。
しかし個人用らしく鈴と別れて教室の外で待ち合わせをした。
「悩みはなんですか」
「え?」
座った瞬間そう聞かれ、焦る。
何気ない言葉だったのだろうが俺の今の状況を知ってるかのように思えて戸惑った。
「いえ、とくには」
早く終わらせようとそういい席を立とうとすると占いをしてる生徒から止められ、少し待つように言われるとどこかに行ってしまった。
少し時間がたつとあの少年が入ってきた。
「どうだ?
わからないだろ」
イラっときた俺は無視した。
「諦めたお前に失望したからヒントをくれてやろう
姉はお前の近くにいるぞ
それに外見何ていくらでも変えられるからな
だが絶対の確証がない限り無効だからお前は絶対無理だろうがな」
そう言って笑ってどこかに行った。
俺の近くにいる?
真っ先に思い浮かんだのは鈴だった。
文化祭も終わりに近づく。
あいつの言葉が本当なら鈴でほぼ間違いないだろうけど確かめる術がない。
いや、一つだけあるができれば使いたくはない。
そんな事を考えつつ隣にいる鈴を見る。
「な、何ですか?」
俺がまっすぐ見ると顔を赤らめる。
直接聞いても違いますと言われたら駄目だ。
そろそろ文化祭も残り10分となります。
そうアナウンスが流れ、皆が簡単な片付けを始める。
「もうすぐ終わっちゃいますね」
「そうだな」
もう時間がなく、他に確かめる術を思いつかない俺は最後に聞いて見ることにした。
「俺はある男の姉を探してる
知らないか?」
「ある男の人がわからないからお答えできませんよ」
なら最後の手段を使うことにした。
「ごめんな」
「どうしました?」
いきなり謝られて鈴がこちらを見る。
「......催眠」
これだけは使いたくなかったが仕方ない。
「お前は地獄からの使いと名乗った男の姉か?」
「......そうです」
これで完全に姉だとわかった。
ゆっくり鈴に触れ、ゲームに勝った。
次話も出来次第投稿となります。




