地獄からの使い
3ヶ月も投稿期間をあけてしまい申し訳ありませんでした。
鈴たちのいない学校が終わった放課後。
先生に屋上に呼び出される。
だがこれは綾瀬の仕業だとすぐわかる。
「綾瀬......」
「遅いよー」
この光景をはたから見ればデートの待ち合わせと思うだろう。
しかしそんな考えをいきなりなくさせる言葉がすぐ綾瀬の口から出てくる。
「返事は決まった?」
「......」
決まっていない俺は無言の返答を返すしかなかった。
「決まってないかー。 でもすぐ決まるよ。」
「......こっち」
どこからか声が聞こえる。
「さあ来たよ。 君がすぐ返答する素材が」
俺はすぐ後ろを向いた。
そこには知らない男とその男に手を引かれている鈴の姿だった。
「ここなら誰にもばれない」
「でも......」
「いいから......全部俺に任せて」
俺と綾瀬が見えていないようだった。
「どう?」
綾瀬が背中から抱きついてきて、耳元でそう囁いた。
「これから鈴をどうするつもりだ」
「あなたの返答しだい......ってところね」
俺が綾瀬と話してる間も男と鈴との会話は続いていく。
「さあ力を抜いて」
「まだだめ」
「大丈夫大丈夫」
鈴の唇に男の唇が近づいていく。
「止めろ!」
耐え切れず俺はそう言う。
「なら返答は?」
あと5cmというところまで男の唇は近づいている。
「......わかった」
俺がそう言うと校内放送で男が呼び出され、男は急いでそっちに向かった。
「じゃあ約束通り他のひ......え?」
急に驚いた口調になった。
「何よこれ」
綾瀬の手首に巻きつく鎖が見えた。
その鎖を先を見る。
「な......」
何もない場所に裂け目ができ、そこから鎖が伸びていた。
「外れない......!?」
「無理だ」
声だ。
しかも自分達の頭上から聞こえた。
見ると少年が中に浮かんでいた。
「だ、誰!」
「僕かい? 僕は......そうだね、地獄からの使いとでも言っておこうかな」
「それが私になんの用よ!」
「用って言うか......逮捕。 みたいな物だよ。
君は生きている人間に危害を加えようとしている可能性があるからね。
対策ってことさ」
一通り話し終えると俺を見る。
「君の中にいるやつも連れて行きたいけど......
やったら姉さんに怒られるから見逃してあげるよ」
その言葉に嫉妬が含まれている。
なぜかそう思った。




