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悪魔との契約

今回は短いです。はい。済みません……

「さて、と。今日はどうするかなぁ……」

 いつもの朝、相変わらず寝続けていたキリアをたたき起こし、窓のカーテンを開ける。

「学校行けよ」

「分かってるさ。そうじゃなくて、もっとこう……」

 手でよく分からない形を作り、何かしらを伝えようと試みる。

「なあ」

 唐突にキリアが呼びかけた。

「ん?」

「そろそろ黄金週間だな」

「普通にゴールデンウィークって言おうか。……で、それがどうかしたの?」

「……いや。お前なんか予定立ててやったらどうだ?」

「誰にだ」

 机に頬杖をつき、窓の外を眺めながらさらに続ける。

「……みんなに。いや、特に鳴神に」

「ぶはっ!」

「唾飛ばすな。きたねぇ」

 自分で爆弾を投下しておきながら他人事のように引いているキリアに突っ込む。

「何言い出してる! なんで鳴神が出る!」

「……当たったか。お前はカマかければすぐかかるな。気になってはいるが認められない……テメェはどこのツンデレだ」

「うるせぇよ! つか、男でツンデレはまずいだろ! いろいろと!」

「それが好きな奴もいるんじゃねぇか?」

「ごく少数な!」

 まずい。ペースを持ってかれている。

「そして何より……」

「?」

 そういいながらキリアは頬杖をついていない方の手で俺を指差す。

「顔が紅い」

「お前のお陰でな!」

 一旦息を整える。登校前からいい運動だ。悪い意味で。

「で? 実際気にはなってるだろ? 今更否定しても無駄だぞ」

「くっ……。あーもう分かったよ。その、ほんの少しな」

「……くくっ」

「人の秘密を吐かせて笑うな!」

 なにが面白いのか、必死に笑いをこらえている。

「あー悪い悪い……くふっ。……で、だ。お前に一つ教えておいてやるよ」

「な、何をだよ?」

 先ほどとは一転して真剣な顔つきに、思わずたじろぐ。

「近いうちに文化祭があるだろ?」

 そう、黄鶯学園は早い時期、つまりは六月に文化祭をやってしまう。と、言っても秋にも小、中学部の文化祭があるので学園全体で見れば年に二回あることになるが。

「偶然聞いたんだが、どうやら鳴神をかつて可愛がってくれた(・・・・・・・)奴が一人、この市内に住んでいるらしい」

「! ……それはつまり……」

「ああ。お前の予想通り来るだろうな。確定はしないが、恐らくもう一度……」

「……お前が手を貸してくれる、ってか?」

「ま、お前が望めばな」

 つまりはキリアも下手すれば喧嘩沙汰になることを予想しているのだろう。

「だが、俺はお前たちのキューピットみたいになるつもりもねぇ。つか、あんなキモいのなんかなりたくもねぇ」

「お前それ特定の宗教を敵に回すぞ」

「あ? 俺は恋のサタン様になってやるよ」

「もっと嫌だわ! それ信用できるか!?」

「落着いて考えてみろ。キューピットは願いだ。だが、サタン。悪魔は契約だぜ? 確実だろ」

 そういうものなんだろうか……。

 だが、みんなでいればその危険性も減るだろう。鳴神を一人にしなければあまり深刻な問題でもないだろう。

「さあ、契約の時間は終わりだ。学校に行くぞ」

 立ち上がったキリアはどこか楽しそうだった。


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