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守る戦い

「おい! そっちはいたか!?」

「いないわ! 帰っちゃったとかじゃないの!?」

「あいつはそんなことをする奴じゃねぇ!セイラは!?」

「……発見出来ない。捜索網を広げるべき」

「クソッ! 絶対あの野郎だな……!」

「あの野郎って?」

「決まってんだろ! 榛原の事だ!」

 言うや、走り出すキリア。

「ちょっと! どこ行くの!?」

「あいつを探す! お前らはライカに連絡しろ!」

「あんた一人で行く気!?」

 それを無視して走っていく。キリアはあっと言う間に見えなくなった。

「……行っちゃった。セイラ、どうするの?」

「……決まっている」

 何か強い意志を持った声。

「……まずはライカと合流する」

 そう言ってセイラは歩き出す。

「でも、ライカは今演奏中じゃ……」

「大丈夫。すでにライカが出る曲は終了した。先生さえ説得すれば問題ない」

「そう……。じゃあ急ぎましょ」



「……はっ……くっ……! どこ……いやがる……!」

 流石に息が上がり、一度立ち止まる。

 推測すれば人気のない場所……廃工場が妥当か。市内に廃工場は2つ。……クソッ、時間がねぇ。

「……榛原、華月……! 殺してやる……!」

 そう心に決め、廃工場に向かって走り出した。



「……ぐっ」

 何だ……? 手が動かない……。

「おや、お目覚めかい? もう少し寝ていても良かったものを……」

「榛原……」

「おや、だめじゃないか。仮にも僕は先輩だよ? しかもこの状況で……。まあ、僕は気が長いタイプなんでね。運が良かったんじゃないかな?」

「何の目的で……こんな事を」

「聞きたいかい? まあ、簡単に言うと因縁かなぁ……」

「はぁ?」

「僕とキリア君はねぇ、結構張り合ってたんだ。だけどまあ、最近全然相手してくれなくてね……」

「それでこんな事をか」

「まあそんなとこかな」

「……フッ。くく、あははは!」

 俺が笑い出すと榛原は怪訝そうな顔をした。

「どうした? 頭でも狂ったか?」

「いや、あんた達がそこまで……ぷっ……バカだったとは……あはははは!」

「……死にたいのかい?」

 とうとうキレる寸前まで来たらしい。榛原が目を細める。

「無知なお前に教えといてやるよ。あいつはな――」




「あいつは誰かを守る戦いの方が数倍強いんだよ!」




バァンッ!


「何だ!?」

 榛原が驚く、普段のコイツなら簡単に分かるはずだが……動揺してるな。

「見ろよ。お前が探していた相手様のご登場だ」

「ミソラ。離れるなと言っていただろうが。そうすりゃこんな面倒な……」

「でも、この人達はキリアにやられないと納得しないマゾだよ。いつかはこうなっていたさ」

 捕まっているのにも関わらず普通に会話する俺をみてしばらく唖然としていた榛原だが、我に帰ると話し出した。

「やあ、キリア君。遅かったんじゃないかな?」

「まあ、ミソラなら上手く時間を稼いでくれると思ったからな。俺が動くまでも無くなったぜ」

「どういう……っ!?」

 突然榛原が目を押さえる。

「ぐぁっ! 何だ!?」

 更に手にも何かが当たる。まあ、俺達からすれば簡単に分かるが。

「ははっ。いい気味だ」

「貴様ぁっ! 一体何を……!」

「教えてやろうか? エアガンだ」

「まさかっ! キリア隊かっ!」

「正解」

 瞬間、次々となだれ込んでくるキリア隊。全員エアガン所持だ。

「キリアさん。珍しいッスね。あまり戦いは好まないタイプなのに」

 キリア隊の一人が言う。

「避けられない面倒事は動くべきだろ」

「まそれもそうッスね。んじゃ、後は俺らに任せて下さい」

「ああ」

「くっ。おいお前たち! こいつらをどうにかしなさい!」

 榛原の命令に、奥の方に控えていたらしい不良共がやってくる。

「……おら。怪我ないか?」

「ああ。助かった」

「これにこりたら少しは俺の命令に従うことだな」

「待て待て。俺は鳴神や北崎に害が及ばないようにしているだけだぞ?」

「だったら身体を鍛えろ」

「おい!」

 俺たちのそんなやりとりを邪魔する奴が一人。

「何を余裕かましているんです!? 君たちはこの僕が! 完膚なきまでに! 捻り潰してやりますよ!!」

「……なんであいつ敬語なんだ?」

「あー……。あいつの戦闘スタイルだな」

 完全に冷めている俺たちに、とうとう榛原は動き出す。

「軽口を叩いていられるのも今のうちですよ!」

 榛原がすばやく間合いを詰める。

「んじゃ、任せたよ」

「ふん。勝手にくたばるなよ」

「そらっ!」

 榛原の攻撃をかわすと、キリアは戦闘モードに入る。



「んじゃ、こっから本番だぜ?」




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