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生徒会と椎名

いや、サブタイトルの単語に関連性はないですよ?

特定のラノベとは関係ないですからね?

「おはよう」

「……おはようございます」

 校門で男にいきなりあいさつされた。

「君、篠原君の友達なんだろ? 珍しい人だね。近寄りがたい雰囲気なのに」

「……はぁ」

 俺が怪訝そうにしていたためか、笑いながら自己紹介を始める男。

「やぁ、自己紹介が遅れたね。僕は『榛原はいばら 華月はなつき』。一応これでも生徒会の人間なんだ。会長とかじゃないんで知らない人もいるけど。よろしくね」

 榛原先輩はどうやら獣人で、好青年と言った感じだ。

「よろしくお願いします」

 一応返したが……。

「それで、俺とキリアがどうかしましたか?」

「いや、最終確認みたいなものさ。じゃあ」

「では……」

 ……最終確認? どういうことだ?



「なぁ」

「あ?」

「お前榛原ってやつ知ってるか?」

 そう言った途端、

「お前あいつに何かされたのか?」

 と言いながらキリアが詰め寄ってくる。

「いや、そう言うわけじゃ……」

「……そうか」

「どうかしたのか?」

「……しばらく俺から離れるな。そしてあいつとは関わるな。ろくなことにならないぞ」

「お、おう……?」

 妙な言い回しに、少し引っかかりを覚えた。あの先輩、なにかあるのか?

「……ミソラ、おはよう」

「おう、おはよう」

 そんなことを考えていると、鳴神がやってきた。彼女は席に着くと早速寝てしまう。

「ほんとに……良く寝るなぁ……」

 他の獣人よりも飛びぬけて寝ているんじゃないだろうか。

「おっはよー! 今日も元気そうでなによりだー!」

 次いで、北崎も朝練から戻ってくる。

「よう。北崎も元気そうで何より」

「ありがと! キリアもおはよう!」

「ああ」

 先生がくるまでしばらくいつものように駄弁る。さっきのキリアのことなど、普通の出来事のように忘れてしまった……。



「……んで? キリアも図書室に来るのか?」

「当たり前だ。……まあ、ミソラは死んでも俺には何の影響もないが」

「おいコラ」

「…………」

 ちょっと言ってみたがあっさりスルーされ、何か考え込んでいるキリア。

(そろそろコイツを鍛えておくのも必要か……)

「ん?」

「いや、何でも」

 キリアが何か言ったような気がしたが、どうも気のせいらしい。

 そんな中、鍵を持ってきた鳴神がやってくる。

「……持ってきた」

「おう。悪いな。んじゃ開けるか」

 鍵を開け……、

「あれ?開いてる?」

 ようとするとそこで鍵がかかっていないことの気付く。

「どけっ!!」

「っと!?」

 突然キリアが言い、中へ入る。

「おいキリア!?」

 俺もそれに続く。が、中はひどい状況だった。

「っ! 荒らされてる!?」

「クソッ!」

 キリアが奥へと進んでいく。見回してみると、大量の本が棚から出され。積みあがっていたり、開きっぱなしで投げてあったりしている。なんつー有様だ。

「うわっ!」

「キリア!?」

 突然の声に慌ててキリアの元へと走る。たどり着くとそこには……。

「……誰?」

挿絵(By みてみん)

 恐らく、といか間違いようのない女の獣人。しかしその耳と尻尾、髪の毛は薄い(あか)に染まり、大きな目も紅い。まるで……

「……迷子?」

「ちがあう!!」

 そしてかなりの低身長。

 ……で、キリアは?

「なあ、ここに茶色い毛並の目つきの悪いにーちゃんが来なかったか?」

「目つきが悪くて悪かったな」

「うわっと!?」

 いつのまにやら後ろにキリアがいた。その後ろに鳴神もいる。

「……で、君誰?」

「紙、かせ」

「は? 紙? ……はい」

 それを受け取るとちっちゃな獣人はさらさらと何かを書いた。

「『椎名しいな 緋華李ひかり? すごい漢字だな」

「……んで? なんでお前はここにいるんだ?」

「だってここの生徒だもん」

「「なにぃ!?」

 俺とキリアで驚く。鳴神は普通だったが。

「ちなみに二年」

「同学年!?」

「二年三組にいる」

「隣のクラスだと!?」

「性別は女」

「言われるまでもない!」

「……君がやったの?」

 唐突に鳴神が口を開く。

「ああ、本のこと? そう、私が散らかした」

「なんでだよ」

「調べ物をしていたのだけれど、思ったように進まなくてね。読み漁ってたの」

「……なんか見た目小学生だけど喋り方大人みたいだな」

「確かに」

「大人だからねっ!」

「お、おう」

 勢いで押し切られる。改めて見てみれば、毛並が紅いおかげで確かに大人っぽくも見える。いや、妖艶か。

「……とにかく、片付けてくれ」

「仕方ない……。まあ、私の責任だしね。やるわ」

「ところでこんなになるまで調べものって、何を調べてたんだ?」

「んー……たいしたことでもない。私の個人的な興味だから。それにしても……」

 とかいいながら俺の顔を覗き込む椎名。

「な、なんだ?」

「ん! あんた気に入った! ちょうど私も友達がいなくてさびしかったし、私も仲間に入れてよ!」

「はぁ!?」

 なんかいきなり変なことを言い出した。

「何? もしかして人数制限とかあった?」

「いや、その仲間のくくりもどうかと思うぞ……」

「……私は構わない」

「いいのかい」

「……だってちっちゃいから」

「ちっちゃい言うな!」

 そんな椎名を無視して腕から抱きかかえる鳴神。

「……軽い」

「まあね! これでも体重には気を遣ってるから!」

 もうどうでもよくなったのか、抱えられながら自慢する椎名。

「……キリアは?」

 軽くあきれながらもなんとか持ちこたえてキリアに聞く。

「別に一人や二人増えようが俺はどうでもいい」

「そういうと思ったけどね……。北崎はどうする?」

「……ライカも絶対賛成すると思う」

「だろうな……」

 あいつは基本来るもの拒まずって感じだし。

「俺もいいかなー。というか、ここで反対してもなぁ」

「じゃあ、改めてよろしくね」

「おう」

「……ん」

「……ふん」

 こうして、新学期早々、新たな(個性的過ぎる)仲間が加わった。

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