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図書委員って……

 翌朝

 朝食を作り終えた俺はキリアという獣を起こすため、寝室へ向かった。

「おいキリア。おきろー……って本当に獣みたいに寝てやがる。獣人ってこんなに動物みたいなのか?」

「……うるさい」

 唐突に声が返ってくる。

「うお! お前おきてるなら言えよ!」

「結構前からおきてたな」

「だったらふとんから出ろ!」


「……あーめんどくせ」

「そういうなって。学校自体はそんなに悪くも無いだろ?」

「そうだけどよ……」

 取り敢えず食べた俺は部屋へと戻り、準備をする。

「早く食っちまえ。遅刻するぞ?」

「ああ」

 その内カチャカチャと食器を片付ける音がして、すぐにキリアが部屋へ戻ってきた。

「……よし、キリアも準備ができたら行くか」

「ああ」

 ゆっくりと準備をするキリア。まあ、別に急がなくても間に合うし。

 暇なので、とりあえず俺は本でも読むことにする。

「……おし。準備出来たぞ」


 教室につくとすでに鳴神達は席に着いていた。

「ってまた鳴神は寝てるのか。どんだけ寝たりないんだよ」

「まあまあ、セイラはお疲れなんだろうし、始業まではそっとしておこうよ」

「おう北崎。そういやお前部活の朝練は?」

 北崎は吹奏楽部に所属していて、現部長でもある。セイラは硬式テニスでエース級の実力者。まあ、獣人だから当たり前なのだが。

 俺とキリアは無所属。面倒なのと、キリアはともかく俺はあまり運動は得意な方じゃない。

「ああ。一昨日大会が終わったからね。束の間の休息ってやつでさー」

「はー。……どうだったんだ? 県大会には出れそうか?」

「……ふっ」

 何か急に影が射した。駄目だったんだな。

「その内演奏会とか行ってみたいな。どんなもんなのか」

「おーマジ? そりゃ嬉しいねぇ」

 暇が合えばみんなで聞きに行くのもいいかもしれない。合えばだが。

「おいミソラ。お前呼ばれてんぞ」

「ん? 誰がだ?」

「放送室が」

「先生って言えよ! ……ってああ。図書委員か。そういや今週は俺らが当番だったな」

 どうせ出番は放課後だし。気にするほどの事でもない。っと、先生来たな。鳴神起こすか。

「おい鳴神。もう起きろ。つーか学校で寝るならしっかり睡眠取れよ」

「……んー」

 目をこすりながら顔を上げる鳴神。ずっと寝ていたせいか、おでこが赤くなっている。

「お前なぁ……。ちゃんと睡眠取らないと病気になるぞ?」

「……大丈夫」

「何が」

「……馬鹿は風邪をひかない」

「お前今学園生徒のほとんどを敵に回したぞ」

 鳴神はテストじゃ百点以外取ったことが無い奴なのに。

「……ごめんなさい」

「いろいろな。はい、前を向け。そして忘れてないとは思うが今週は俺ら当番だからな」

「……分かってる」

 先生が入ってきたのを確認すると、北崎は号令をかける。いつもはお調子者って感じだが、こう言うところは責任感強いからな。だからこそみんなに慕われているのだろうが。


 授業も滞りなく進み、あっと言う間に放課後になった。北崎は授業終了と同時に部活へと飛んでいき、キリアは先に寮へ戻った。

「おい、鳴神。行くぞ」

「……ん」

 で、図書委員で当番の俺と鳴神は図書館へと向かっていた。

「……あ、鍵忘れてた。鳴神。ちっと職員室行ってくるな」

「……先に行って待ってる」

「おう」

 鳴神と一旦別れ、職員室に鍵を取りに行って戻る。図書館にはすでに二人ほど返却待ちの生徒がいた。

「すみません。通して下さい。開けますので」

 鍵を開け、カウンターへと向かう。返却を終えると図書館には誰も居なくなった。

「あれ、鳴神は……?」

 一瞬不思議に思ったが、トイレでも行っているのだろうと目星を付けて作業に移る。

「……ただいま」

「おう、……お帰り?」

 作業を始めて三分ほどで鳴神が戻ってきた。

「どこ行ってたんだ?」

「……特に。教室に忘れ物」

「ふぅん……。ま、いいか。鳴神。この本F-2に、んでこっちは……いっぱいあるから終わったら手伝ってくれ」

「……ん」

 渡した本を預かり、目的の本棚へと向かっていく。よし、俺はこの本をしまってくるか。

「えーっと……。A-1-13はっと……ここか。んで、C-3-6か……」

「……終わった」

 少しして、鳴神が帰ってくる。

「おう。んじゃ、残りはカウンターに置いてあるからそれ頼むわ。あんま一気に持ってくなよ」

「……分かってる」

 そう言うと、鳴神はカウンターへと向かっていった。

「……これで、終わりっと! うし、鳴神ー。終わったかー?」

 ……暫く待っても返事がない。

「あれ? おい鳴神?」

「……何?」

「うお! お前、何でそんなとこにいるんだよ!」

 鳴神は本棚の上から顔を出していた。

「落ちたら危ないぞ!」

「……大丈夫」

「何が!?」

「……本棚の上に座ってる」

「それを止めろっての! お前は猫か!」

「……それはそれで……」

「ああっ! 考えてみればお前獣人だもんな! 半分猫みたいなもんでもあるか! でも止めて!」

「……分かった」

「……ふぅ」

 なんか静かにすべき所で大声を出してしまった気がする。まあいいか。

「鳴神は終わったか?」

「……あと二冊」

「そっか……。手伝おうか?」

「……ん、大丈夫」

 なら俺はカウンターで休ませてもらおう。そう思い、カウンターの椅子に座って鳴神が戻ってくるのを待つ。

 コントみたいな会話の所為でのど乾いた。なんか買ってくるか。

「ついでにあいつにも買ってくか。鳴神。俺ちっと自販機行ってくるから」

「……私のも」

「おう。どうせいつものやつだろ?」

「……ん」

 図書館を出て近くに自販機がある。そこで紅茶とミルクティーを買って戻る。

 鳴神はカウンターに腰掛けていた。

「ほら。お前は紅茶だろ? そして紅茶メーカーでも正午の紅茶しか選ばないという……」

「……私なりのこだわり。紅茶宮殿はあまり好きじゃない味」

「そうか。俺にはどれも同じに思うが」

「……甘い、無駄に」

「あ、そこを責めるんだ。俺に罪はないぞ。悪いが」

 プルトップをあけると、ミルクの香りが湯気と一緒に立ち上ってくる。ちなみにこれも正午の紅茶製です。なんか他の選ぶと鳴神がうるさいから。他人のなのに。

「……どうせ放課後までして借りに来る奴なんかいないだろう。……暇だな」

「……返しに来る人はいる」

「まあ、確かに」

 返しに来る人も大体最初の方だけで当番の殆どを無駄に使うだけのような気もする。

「……でも……私は……」

 そんなことを考えていると、鳴神が小さな声で呟いた。

「ん? 何?」

「な……なんでもない」

「そうか。しかしまあ……ホントに暇だな」

「……うん」

 なんか図書館って存在意義有るのだろうか。みんな古ぼけた本より、ライトノベルを読むと思うんだが……。

「そういや鳴神、部活は?」

「……休み」

「ああ……。そういや水曜日はいつも休みだったな……」

 残りの時間をしゃべりながら過ごす。いつの間にか終了時刻が迫ってきていた。

「……そろそろ、時間」

「お、本当だな。お前は北崎と寮へ戻るだろ? 鍵は俺が返しておくぞ」

「……ありがとう」

 図書館の扉を閉め、鍵を掛ける。

「じゃあな。また明日」

「……また」

 鳴神と別れ、俺は鍵を返しに職員室へと向かった。

「……失礼、しました」

 ふぅ。疲れた……。早く戻らないとキイラは晩飯つくれないし……。


「……ただいま」

「おう、早く作ってくれ、腹減った」

「はいはい。待ってろって」

 靴を脱いで台所へ向かう。俺も少しお腹が空いてきていた。

「よし、じゃあ早く作ろう。……まずは……」

 ……。

「よし、出来たな。キイラ。食べるぞー」

「ああ」

 テーブルに並べて、さっさと食べる。俺もキイラも、食事中は基本的に黙って食べる。

「……。ふぅ、ご馳走様」

「ご馳走様。とっとと課題やって、寝たいな。明日は中央委員もあるし」

「おう、そういえばキイラはクラス副委員長だったな」

「ああ、ライカのおかげであまり忙しくは無いがな」

「ふぅん……」

 ああみえて北崎はしっかりしてるからな。きっとうまくまとめているのだろう。


「さて、じゃあ俺も課題やっちゃうか」



思ったんですが、ただの日常って結構話の展開が難しいですね。


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