出し物決め
いやもうホント遅れて申し訳ないです……
無事に出せました!
「……と、言うワケで、だ。早速出し物を決めていくよ! いい? 今から紙渡すからそこに希望書いて渡してー。無記入の奴は後で私が面白いことやってあげるから覚えとけよー」
……面白いことってなんだよ。つか考えてねぇ……。
「……んー……」
「なんだお前、まだ書いてねぇのか」
「……キリアは書けたのかよ?」
「当たり前だろ?」
そう言ってキリアは紙をひらひら振る。
「見せてみ? えー……っと……『休憩所』消えろ」
キリアの紙破って投げ捨てる。きれいにゴミ箱へすいこまれた。
「あ、テメ!」
「うるせぇよ! お前の欲望丸出しじゃねぇか! つか、最早出し物ですらねぇ!」
「なら適当にお茶でも出しとけよ」
「接客商売で適当とかいっちゃったよコイツ!」
「で? ならお前はなにかあるのかよ」
「ぐっ……」
たしかに文句ばかり言っていたが自分は考えていない。
「ふっふっふ。ミソラよ。素晴らしい案があるではないか」
「な、なんだよ急に」
振り向けばまあ、そこには北崎がいて。
「『喫茶店』という素晴らしいものが!」
何かを指差して宣言する北崎。
あっれー……。すっごいメジャー? なのがきたな……。
「お前奇抜なものにするんじゃなかったのかよ」
「ふっ。甘いぜミソラ。そりゃ『~喫茶』とかはあるだろうけど純な喫茶店はここだとある意味珍しい!」
「あー……。そういうこと……」
すっごいどうでもいいや。
「まあ、でもいいか。考えなくて済むし」
「……よし。一人道連れが出来たぜ」
「道連れ言うなよ」
「………よーし皆書いたかー? んじゃ前に、というか私のトコに提出しなさーい」
ぞろぞろとクラスメイト達が提出していく。因みに俺、キリア、鳴神も北崎と同じ意見にしてある。皆面倒だったんだな。
「これで全員だね! じゃ集計するよー。キリア、カモン」
北崎が手招きする。キリアは仕方なさそうに立ち上がって、集計用紙を読み上げていった。
で、結果。
・喫茶店 42票(クラス全員)
「どういうことだァァァ!!」
「うるさいぞミソラ。叫ぶなら海でやれ」
「いやおかしいだろ! なんで満場一致で喫茶店一択!? どんだけ心の通じ合ったクラスなんだよ!」
「おーすばらしいじゃんそういうクラス。俺達は固い絆で結ばれてるんだぜ!」
「そういう問題じゃねぇだろ!」
「……ミソラ。ライカの根回し」
後ろから声が掛かる。最近なんか刺々しい鳴神だ。
「あ、それもそうか……」
「はっはーミソラ。今更気付いたか!」
「お前が言うなって」
「ま、とにかく……疑いようもなく喫茶店が一位ということで」
「まあ一択だからな」
「みんな協力して取り組むように。以上!」
「全く。北崎はどんだけ喫茶店をやりたいんだよ……」
「ま、あの票の数がそのままやる気に繋がってるんだろ」
確かにそうかもしれない。
「文化祭とか、どうでもいい様な気がするんだけどなぁ……」
「あいつにとっては違うんだろ。そういうの好きそうだし」
「あーそうかも」
確かに北崎はお祭り騒ぎとか好きそうだ。そう考えると北崎の態度も納得がいく。
「……でよ」
「ん?」
「……夕飯、どうするんだ?」
「ああ……そういえば……」
「買ってくか」
「そうだなってお前当番だろうが」
「馬鹿。俺が作れるわけねぇだろうが」
「だと思ったよ。行くか」
材料を揃えて、寮に戻る。
「で、何作るんだ?」
「いや、今日は適当でいいかなと。名も無き料理的な」
「廚二病」
「どこが!? 別に特殊な効果はねえぇぞ!?」
俺を無視して作り始める。
「おい待て! どうせお前じゃ何も作れないだろ!」
「……包丁あれば十分だろ」
「鉄分しか摂れねぇよ!」
早々と包丁を構えて何かしらしようとするキリアを止める。
「もう俺やるからいいって!」
キリアから包丁を奪い、材料を取り出す。
「いいか? お前は、ぜっっっったいに、手を出すな」
「そこまで拒絶するか……?」
「いやだって何やるか分かんないしね」
「まあいいだろ。寝てるわ」
そう言ってキリアはキッチンを出て行った。
「……おら。出来たぞ」
寝るとか言っていながら結局テレビを見ていたキリアに食器運びを手伝わせる。
「……ちっとまずいかもな」
「何が?」
「輸入品あるだろ? それが少し値上がりする可能性があるらしい」
「マジか。仕送りだって高いわけでもないのにな……」
俺とキリアを合わせてもあまり高額にはならないのが現実だ。まあ、そんなにお金は使わないんだけど。
「まあそんなに上がる訳でもないしな。危惧する必要はないだろ」
「そうか……ならいいんだけど」
「それよりも問題なのは文化祭だろ」
「そうだな……。鳴神のこともあるしな……」
「いやいやそっちじゃなく」
「え?」
なにか他にあっただろうか。
「喫茶店だと寝れねぇんだよな……」