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文化祭一週間前 朝

今年もまたよろしくお願いします……。

「……なるほど」

「……?」

「つまり、アレだろ?」

「……何」

 何か重大な答えでも待つかのように緊張した面持ちの鳴神。

「つまりお前はそれほどまでにテニスに夢中であると」

「……は?」

 拍子抜けでもしたのか、変なトーンで驚く鳴神。

「……あ、あれ? 違った?」

「…………」

「頼むからその蔑んだような目で見ないでくれ……」

「……違う」

「あ、違うの?」

「ような、じゃなくてそのまま」

 そっちの違うか。

「……ごめん。ミソラに期待した私がバカだった……」

「それバカにしてるよね?」

「……学年トップの頭脳をもってしても無理だって……」

「相当難問なんだな。その問題」

 そう言うと鳴神はこちらを一瞥してため息をついた。

「最近鳴神俺のことバカにするよね? いじめ?」

「……なんでもない。……人来た」

「うぉ。まじか」

 それ以降は特に鳴神とも何も無く時間が過ぎていった。

 『人を夢中にさせるような魔法』。鳴神は結局何が言いたかったのかは分からなかったが。



『文化祭!!』

「…………」

 良く晴れた朝の教室。入って早々、俺は黒板にデカデカと踊る文字に目を奪われていた。

「おっすミソラ! 今日もいい天気だよー!」

「おっすじゃねぇよ。なんだよこの黒板。つか、文化祭一週間も先なんだが? どんだけ先走ってんだよ」

「その出し物を今日のHRで決めるの」

「あーなるほどなー。だったら六時間目の休み時間に書けよ。朝要らねぇよ」

「違うって! まず朝にこれを見るでしょ? で、生徒達は『あーそういやもう文化祭かー。今年は何やるかなー』っていうのを狙ったんだよ!」

「ほぅ。中々考えたな。確かに早めに考えておけばスムーズにいくもんだからな」

 やはり頭がいいだけあっていろいろ考えていたらしい。

「そして同時に授業への集中力も奪うという画期的な……」

「消せぇっ!」

「ちぇー分かったよー。消してくるよー」

 しぶしぶ黒板へ向かう北崎。なんてこと考えてやがるんだ……。

 そんな朝っぱらからバカみたいなコントに付き合わされた俺は疲れ果てて自分の席へと向かう。

「……」

 珍しく起きていた鳴神と目が合う。

「……おう」

「……バカ」

 のっけから罵倒された。

「あのさ、俺なんかした?」

「……いや……」

「だったら普通に接してくれるとありがたいんだけど」

「それは嫌」

「即答かよっ! 普段ワンテンポ遅れて返事するやつが即答すると傷つくんだけど!」

「うるせぇぞミソラ。朝っぱらから。……あ、いつもか」

 そこへ今頃席についたキリアがつっかかる。

「思ったよ! その台詞少し前にも聞いたからな!」

「……緋華李」

「いきなり名前だけ言われてもな。椎名がどうかしたのか?」

「……昨日変だった」

「ん? それどういう意味?」

 何かあったのだろうか。というか鳴神の言う変っていうのがいまいち分からん……。

「何かされたの?」

「お、北崎。消したか?」

「当たり前でしょ。流石に先生にはばれたくないし」

「ふーん。……あ? さっきの『何かされたの?』って何?」

「んー? 昨日ひかりんが変だったって話じゃないの?」

「いやそうだけど。なんでさっきの言葉につながる」

「いや、熱でひかりんふらついてたから。大丈夫だったのかなーって」

「ん? まあ、いいか。てか、椎名熱出したんかい。じゃ今日はあいつ休みか」

 あいつは余り病気しそうなキャラじゃないと思っていたんだが……。珍しいこともあったな。

 そうだねー。と言って自分の席に着く北崎。

「で? その椎名がどうかしたのか?」

「確かに。セイラ。なんでそんなこと……あ、ごめん。ひかりんが熱だしたこと言ったの?」

「……情報の共有。それだけ」

「「……」」

 なんとも鳴神らしい理由だった。

「おぉっと。先生来るね。はいみんな! 席ついて本読むか終わってない課題やろっかー!」

「課題はやらせるなよ!」

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