プロローグ【マッスル☆ピュアハート☆大尉爆誕!!】
本作はオリジナルBL小説です。
各キャラクターにアイドル戦士としてのイメージソング(テーマソング)があります。
キャラ別テーマソング集(YouTubeプレイリスト)
▶ https://www.youtube.com/playlist?list=PLIRZmwj7xvdBYDf_y0OLjkgnAjkINZ_0W
※本作および関連楽曲は、AIツールを創作補助として使用し、構想・設定・表現の調整は作者が行っています。
軍事拠点にはおそろしく不似合いな、真っ赤な照明が輝くライブステージ。
そのど真ん中で、俺は――なぜか歌っていた。
「アイアン!マッスル!ブレイズ!!」
決めポーズをぶちかまし、拳を天に突き上げると同時に「ドォォォォン!!」と鳴り響く爆発演出。
前に整列している兵士たちが割れんばかりの歓声を上げた。
「うおおおお!!大尉ぃぃぃ!!」
「マッスル☆ピュアハート☆大尉最高!!」
「ファンサ、ファンサください!!」
「推しが尊い!!!」
……推し?
尊いってなんだ。
いや、ちょっと待て。おかしいよな?俺は軍人だぞ?なんでファンサなんかしてんだ?
混乱しながらも、顔に貼りつけた笑みを無理やりキープしていると――俺の頭に、数日前の記憶が蘇る。
※※※
「……アイドル、だと?」
軍本部司令室。
目の前の男――俺の幼なじみであり、参謀のアーヴィン・クロムウェル中尉。
そいつが、妙に爽やかな笑顔で言い放った。
「レオン、君がこの部隊のアイドル第一号だ」
「何言ってんだお前。新部隊を設立するって話だろ?アイドルってなんだよ!?」
「だから、アイドル戦士部隊を作るんだよ」
「はあ!?お前ふざけんな······」
「――ふざけてるのは上官」
遮られた俺の叫び。穏やかなのに、なぜかやたら冷たく響く声。
「軍の士気が低迷している。なんとか士気を上げろって、国から命令されたんだってさ。でも、もう上にもそんな気力はない……だから、僕に丸投げ」
にこやかに見えて、目は明らかに笑っていない。
ああ、これ、逆らっちゃいけねえやつだ。
「僕に任せるって言うから、予算もばっちりぶん取ってきたよ」
……どうやってぶん取ったのかは、聞く気にならなかった。
「これからは、君はこの部隊の隊長、僕はプロデューサー兼参謀」
「プロデューサー?」
「そう。ほら、君の設定も考えてあるんだ」
アーヴィンは端末を操作し、俺に画面を突き付けてくる。
《レオンハルク=ヴァレンティア ステージネーム:マッスル☆ピュアハート☆大尉》
「……やめろォォ!!!」
「かっこいいでしょ?」
「一周回って狂気だよ!!!」
俺が机を叩けば、アーヴィンは相変わらず微笑んだまま。
「大丈夫。君はもともと人気者だから、絶対に盛り上がるよ」
「……」
そう言う時のアーヴィンの笑顔は優しい。でも少しだけ黒い。
昔からそうだ。俺の弱みも強みも、全部知ってる目だ。
「……俺がなんで選ばれたか、説明しろ」
「君以外に誰がいるの?近接戦闘部隊のエースで、身体を張って皆を守る隊長。士気を上げる象徴として、これ以上の人材はいないよ。僕が保証する」
俺が黙っていると、アーヴィンの緑の瞳が、妙に真剣な光を帯びる。
「終わりの見えない戦争で、兵士たちは疲弊している。立ち上がるには、理屈じゃない「偶像」が必要なんだよ」
「······」
俺は恨めしい気持ちを抱えたまま、アーヴィンの整った顔を見た。
「……で?お前もやるんだろうな?アイドルってんなら、お前のほうがよっぽど適任だろ」
「もちろん僕も参加するよ、ほら」
《アーヴィン·クロムウェル ステージネーム:スナイプアイズ☆プリンス·エメラルド中尉》
「おい、お前ふざけんな!普通にかっこいいじゃねぇか!!!!」
「王子枠も必要かなって」
「自分で言うな!!!」
アーヴィンは笑った。
……やっぱりどこか黒い笑みで。
「レオン、僕は君にしか頼めないんだ……ね?」
なぜだろう。この一言に、毎回俺は逆らえない。
※※※
そして今に至る。
俺は決めポーズのまま、背中に汗が流れるのを感じていた。
「大尉!目線!目線ください!!」
「こっち向いてェ!!」
「なんでこんな熱狂してんだよ……!」
兵士の一人が、涙目で叫んだ。
「筋肉が……希望なんです!!」
(知らねえよ!!)
心の中で叫びながらも、アーヴィンの計画は成功してしまっている。なんでだよ。
そんな中、通信が入る。
『レオン、ナイスパフォーマンス。士気、過去最高値』
穏やかで冷静な声。アーヴィンだ。
「褒めるな!恥ずいんだよ!!」
『ほら、照れてないで。次は決め台詞だ』
「決め台詞……?」
『”守るぜ、みんなの命と国境線☆”』
「あああああ!!言わせんな!!」
でも言わないと終われない。
兵士たちが期待に満ちたキラキラした目で俺を見ている。
……逃げられねぇ。
「――守るぜ、みんなの命と国境線☆」
やった…言っちまった……
俺は死にたい……。
しかし。
「キャーーーー!!!」
「大尉サイコーー!!!」
「守って!!命!!国境線!!両方!!」
……なんで……こうなった。
ショーが終わった後、控え室。
「お疲れ様、レオン。素晴らしいデビューだったね」
アーヴィンが水を差し出してくれる。
これは褒められているのか?よくわからないが、悪い気はしない。
「……なんか知らんが、ありがとな」
「ふふ。君らしいね」
「なんだよ」
「べつに。単純だなって」
「!?はぁあ!!!?」
「冗談だよ。次は僕も一緒にステージに立つ。仲間の目星もついてるしね」
アーヴィンはいつも通りの笑顔で、俺の肩を軽く叩いた。
こうして――
軍隊アイドル戦士部隊・アーミー☆レンジャーズは幕を開けた。
俺の、地獄の日々が始まる。
でも――
悪くない、か?
こちらはpixivでも連載しております。次回より、時系列で物語が始まります。




