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20代最後のゲイのエッセイ  作者: 赤井獺京


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インスタの親しい友達から親友を外した夜のこと。

さよなら親愛であった人。さよなら友であった人。

さよなら青春の思い出。


僕には好きだった人がいる。高校時代に出会った後輩で、それは熱烈な恋をしていた。だけど同性、叶うわけもなく恋焦がれて片思いを10年以上、恋人にはなれずとも親友でいたいと思っていた。


だけど向こうに女の匂いがすれば、それは耐えられないほど苦痛で枕を濡らす夜もあった。


それだけ恥ずかしいほどの恋をしていた。


それだけの好意があって、彼の転勤の時には関東にまでついてきた。

遠路はるばる引っ越しをして転職までした。


それだけ狂ったように愛していた人を、親しい友達から外した。電話番号も着信拒否にした。LINEはブロックしようか、今これを書きながら迷っている。


これは失恋をしたとかそういうことじゃない。

彼と話すのも、顔を合わせるのもすべてがストレスになっている。この原因はきっと僕にある。僕の一方的な好意が彼を甘やかしすぎた。


都会に出てきて、知り合いもいないし二人になれると浮ついていた僕は彼を最大限に甘やかせた。転職したばかりで仕事に慣れていないときにも、彼の家に夕飯を作って持って行ったり、作り置きをしたり、洗濯物を畳んでおいたり、尽くしていた。


尽くす自分に惚れていたのかもしれない。見返りなんかいらない。一緒にいられればそれだけで、その時は本気で思っていた。


だけど彼はだんだんと、僕のその行動を当たり前に思うようになってきた。感謝しろとまでは思わない自分でやっていることだ。だけど彼はいろいろとケチをつけるようになってきた。


その時点で喧嘩も増えては来ていた。けれど知らない土地に二人助け合っていかないと、と思っていた。


僕が一番頭に来たのは彼の家で料理をした時だ。その後にコンロが汚れてる、スポンジが汚れたと、文句を言ってきた。彼は自炊をしない。料理をしたんだから汚れるに決まってるだろ。


その時にスッと彼への好意は一気に引いていった。


運のいい事に彼への気持ちが薄くなった瞬間、僕には彼氏ができた。それで僕が彼氏ができたと彼に伝えると、今度は僕に対して焼きもちを焼いたような言動をするようになる。


『ボクの方が長く先輩といるんだから負けられない』

『ボクを見捨てるんですか』

そんなことを言い出すようになる。


まあ、わかる。

僕も君に対してその思いで隣にいたから。


僕の好意はもちろん彼氏に、その時にそんなことを言われても、あとの祭りで負け犬の遠吠えだ。


僕には届かない。


それでも情はある。一緒にいる関係はしばらく続いた。


転機だったのは彼が僕の家に来てトイレの壁に穴をあけて胸ぐらを掴んできた事件。


その原因なんて言わなくてもいいくらいにどうでもいい事で、トイレのトイレットペーパーが無かった。それで呼ばれてトイレットペーパーを手摺に掛けた。トイレを開けた時に手摺が下がってトイレットペーパーが落ちた。


それだけだ。


それだけで賃貸の壁に穴をあけて、僕の胸ぐらを掴んできた。


事実は小説よりやばい奴がいる。


そんなことをされても、僕は仲直りしようと……。いや、彼の性格を直させようとした。怒りやすい、感情的なところを、話し合おうとした。


だけど無駄だった。


本人は事の重大さに気づいていない。


親友の胸ぐらを、トイレットペーパーが落ちただけで掴みかかって怒鳴り散らして壁に穴をあけた。これで見捨てなかった僕の方がおかしいのかもしれない。


それからまた、僕は情が捨てられなくて最低限の関係は続いた。

僕は彼氏と同棲することになった。


僕が今度は神奈川から東京に引っ越すと言うと、会えなくなるじゃないですかと、ふざけたことを言ってくる。全部あしらって引っ越しをした。

彼が自転車を使っていないというから、引っ越したら使うかもしれないからあれだったら買い取るよ、と僕は言った。お金のない彼に情があった。


まあ来月か、そのくらいにと言って引っ越しをした。言ったものの物理的距離をとると、彼に会うことが億劫になってくる。僕は適当に自転車を取りに行く約束を引き延ばしていた。


その間に彼も急に、引っ越すと言いだした。東京の兄貴の家に引っ越すと、僕はいいんじゃないと言った。彼は貯金も無いのに正社員をやめていた。


そして今日電話が来た。


自転車を結局どうするのかと。

会いたくない。それに自転車は彼氏のつてから二台無料でもらう予定があった。


会いたくない相手に二時間かけて運転して二万円払って自転車を乗せて二時間かけて帰ってくる。


そんな労力を今、彼のためにしたいとは思わない。それをやったところで僕と彼の物語はとっくに終わっている。


僕は自転車はもらう予定ができたというと、今日見積もりが来て自転車は運ばないと言ってしまったと文句を言った。いらないなら早く言えと、まあ連絡をしたくなかったのが正直な意見だ。


それでいろいろ小言の電話を一時間、スマホは遠くに置いていた。ご飯待たせてるから後でいい?後はラインのメッセージでと僕は言った。


この電話を早く終わらせたかった。この電話が終わったら縁を切ろうとも考えていた。誰かと縁を切りたいだなんて思うことが来るとは思わなかった。


しかもそれは僕が人生をかけて愛した人。それは間違いない。


だけど愛し方を間違えた。


後で連絡と言って何もせずにいると彼からメッセージが届いた。


昔買って先輩の家に置いていた服、売っちゃったならその分のお金返してください。


服が邪魔だからと俺の家に置いていたのがあった。俺の大量の服の山に混ざっていた。今回の引っ越しを機に不要な服は売り払っていた。もう何も言わずに何年も家にあった。


しかも5千円分の服も無かったはずだ。


彼はフリーターになってものすごくお金も無くなっていた。正社員の時から貯金という物はできていなかった。だからお金がない。

人間お金が無くなると,こんなにも醜くなれるのか。悲しくなった。


僕はは見返りなんか求めない。それでも一緒に行った音楽フェスの5.6万を僕が払ったり、2万円くらいする古着を買ってあげたり、正直貢ぐようなこともあった。


それをひっくるめて、家の壁も壊しておいて、置いといた服の代金を返せと……。僕だったら言えない。

 

せめても最後くらい綺麗に去って行けば、いつかまたどこかで仲が直ることもあったかもしれない。


だけど最後に、お金を出してきてしまったらそれは難しくなる。


僕は彼のメッセージを非表示に、インスタもよく見られてるから親しい親友から外した。電話番号は着信拒否。

ここまでしたらラインをブロックしても変わらないかもしれない。


彼からくるアクションすべてがストレス、耐えられない。


LINEをブロックしても最悪はインスタのDMで送れるだろう。そこまですれば、彼も自分の行動の過ちに気が付いてくれるのか。


好きだった人の電話番号を着信拒否にするには指が重かった。楽しかった思い出もある。だけど今はもう何もない。無。


LINEをブロックしてすべてを忘れるか、しないか。


迷っているのは僕に情がまだ残っているから。


違う。


自分が悪者になりたくないだけかもしれない


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