知らないところに行きたい。その場所には名前が無くて、その場所も僕を名付けない。
知らないところに行きたいな。
誰も自分を知らなくて、自分が誰かも分からない場所へ。
その場所には名前が無くて、その場所も僕を名付けない。
僕たちは常にどこかのだれかだった。
いつかの自分は、1年1組出席番号18番で図書委員だった。
いつかの僕は、野球部のキャプテンだった。
いつかの私は、元彼の彼女だった。
いつかの僕は宿題をちゃんと出して成績も十分な優等生だった。
いつかの僕たちは、どこかの誰かに所属していて、誰かにとっての何者かでしかなかった。
自分を名付けるのは自分じゃなくて常に他者やその場所。
どこに住んでいる、誰の息子、どこの学校に通っている。
そんなものでしか僕を見てくれなくて、本当の何者でもない僕を誰も知らない。
自分は自分と言う場所にいて、自分と言う名前でしかない。
どこの誰でもない。自分にとっての自分だ。
何を言っているか分からないかもしれない。
でもきっと、まだ君が「どこかの誰か」としてしか生きていないからだ。
だから、たまには独りで知らない場所に行ってみるといい。誰も知らない自分になって、自分を感じてみよう。
人の目なんか気にせずに、自分をする。
僕にももちろんどこかの誰かになりたい時期はあった。
誰かの彼氏になりたかった。
いい役職に就きたかった。
誰かの僕でいたかった。
憧れのあの人になりたかった。
ずっとどこかの誰かしらに憧れていた。
だけど疲れてしまった。どこかの誰かで何者かでいることが。
僕は僕で僕の物だ。
だから憧れるのをやめた。
僕は僕をやろうと決めた。
憧れることをやめて何者かになることを辞めてしまえば、人生はそんなに大変じゃないと思う。
辞めてしまえば、後は自分を楽しむだけ。
自分の欲求だけに耳を傾ける。
それが自分、僕になること。




