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20代最後のゲイのエッセイ  作者: 赤井獺京


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嫌いだった人間が死んだと、聞いたときに何を思うか。僕は何も思わなかった。

 いじめっ子で嫌いだった先輩が自殺した話。


人の死について触れるので、苦手な方は読むのをお辞めください。

人によっては不謹慎な内容が書かれているかもしれません。



もう五年くらい前だろうか。〇〇〇〇って覚えてる? と母さんから聞かれて僕は覚えてるよ、と言った。


中学時代の一つ上の部活の先輩で、部長とつるんで後輩をいじってくるタイプの嫌な先輩だった。乳首をつねってきたり、普通に悪口を言ってきたり、とりあえず僕は嫌いだった。当時は太っていて、デブとかキモチワリーとか言われていた。


自殺したんだって、と母さんは言った。隣の家の田中君結婚したんだって、とそんな話をするくらいに軽く言ってきた。僕は急なことに、へえ、としか言えなかった。正直、中学以来つながりも無かったし興味が無かった。知り合いが自殺したのに冷たいと思われるかもしれない。だけどテレビのニュースで知らない芸能人が自殺したくらいに、興味が無かった。

嫌いだったから死んでくれてよかった、そんな感想も抱かない。


母さんも職場の友達伝いに聞いたみたいで、悲しい顔は一つもしていない。


だけど僕は先輩の死に興味はないものの、その先輩の実家を見たくなってしまった。単なる好奇心だ。同年代で自殺した人の家はどんな雰囲気なのかとても気になった。


車を走らせて記憶を頼りに先輩の家を探した。中学時代に一度だけ行ったことがあった。

細い住宅街の道をゆっくり走らせて先輩の家を見つけた。


家はカーテンも何も全部が閉まっていて、車はあるのに誰もいないみたいだった。自殺だから静かに葬儀を上げると母さんは言っていた。普通の、何も変わらない家なのにそこだけ重いオーラが漂っているのは先輩が自殺したというのを知っているからだろう。


知らなければごく普通の家だった。


自殺を見つけたのは先輩の会社の友人で、仕事に来なくて先輩のアパートを見にいって見つけたらしい。首吊りだった、と言うのは母さんから聞いたのか僕の想像なのかは分からない。


だけどいじめっ子だった僕の嫌いな先輩は、僕の知らないところで死んでいた。


死んでしまえば嫌いな人間に対しても同情というものが出てくるのが人間ってものだろうか。 


いじめをする人間は、自分が弱いから、それがバレないように自分より弱いものをいじめていた。だけどそれは社会では通用しなくて、弱い部分が露見した。


世のいじめっ子は死を選んでしまう程に弱い人間なのかもしれない。


だからもしも、いじめられていたり、嫌な人間が周りにいる人にこれだけは言いたい。


環境が変われば、そいつが死んだことすらどうでもよくなった。


それが僕の実体験だ。


当時を思い出せば顔も見たくないくらいに、もちろん嫌いだった。正直死んでしまえと思う時もあった。


だけど環境が変われば、そいつが死のうが本当にどうでもいい事になった。


人の命の重さは、ある人間の視点から見れば平等じゃない。


僕は綺麗ごとが嫌いで、これが僕の持論だ。


自分の子供と、知らない殺人犯。どっちの命を助けるか聞かれて悩む親はいないだろう。悩む親は死んでしまえばいい。


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