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20代最後のゲイのエッセイ  作者: 湊 俊介


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初恋をこじらせたゲイの話③

僕はこの初恋をどうにか消化してしまいたくて小説を書いているのかもしれない。まだあの気持ちを上手く書き表せることができないからいろんな作品に当時の気持ちを散りばめている。


でも四回ほどすでにあの当時の話をつたない文章で書いた。だけどその内容はどれも美化されて綺麗に編集されている。僕は汚くて苦しくてつらい初恋と真に見つめ合ってあの話を完成させたいのだ。そうでなければ僕の10年に及ぶ初恋という名の拷問から解放されることはない。だけど「初恋をこじらせたゲイの話①②」で自分の感情を吐き出した後は不思議に宙に浮いたような感覚になって、何かに恋をして浮かんでいるみたいな感覚に陥った。


それはあの初恋の束縛が少しだけ体から抜け出したおかげかもしれない。それとも精神面の奥の奥底ではまだあの初恋に縋りついていて当時の恋している感覚を蘇らせたのかもしれない。とにかく僕はあの初恋を文章で消化して束縛からの解放をされることを望んでいる。この一年文章を書いて、去年よりは遥かに書くスキルは上がっているはずだ。そりゃあ、そもそも小説なんて書かない人間が一年続けたのだから幼稚園児レベルが小学生レベルに上がってくれなきゃ僕は困ってしまう。


 だけどまだ書けない。表現力的にもそうだけど精神的にまだ、当時の僕を直視できない。痛くて辛くて必死な僕を思い返すのが怖い。そりゃ今はパートナーができて同棲も始まる。当時の僕からしたら考えられない出来事だ。だけどまだ、当時の本物の僕を掘り返すには時間が必要だ。僕はそれを完成させるまで死ねない。


 完成させても死にたくないけど。


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