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20代最後のゲイのエッセイ  作者: 湊 俊介


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ゲイの賃貸探しの旅②

1週間後の火曜日に不動産屋のある駅で待ち合わせをした。会うのはしばらくぶりだったけれど、連絡はこまめにしていたし体調がよくなってからはビデオ通話もしていたからそこまで久しぶりな気はしなかった。家から電車を乗り継いで2時間、流石に遠いなと昔の通勤を思い出した。


 僕も飲食店の店長をしていた去年までは、東海道線で片道2時間の通勤をしていた。この通勤を毎日していたのかと去年の自分を思うと拍手で称えたくなる。しかも東海道線の押し競饅頭の満員電車を......。もう2度としない。

僕が見ていたお店が閉店になって次のお店が更に遠くなるのがきっかけで退職をした。楽しかったし、見ていたお店が無くなることでちょうどいい気もしたから円滑に退職したと思う。近くに行く交渉もできたみたいだけど、そこまで会社にしがみつきたくないプライドがあった。無理ならやめるし、ただ去るだけ。それが僕の働き方だった。


 僕より少し遅れてやってきたパートナーは、フラフラな状態だった。外に出ていなかったし病み上がりで、体力がものすごく落ちていた。食欲はないけれどお腹が空いたというので近くの飲食店を探しにでた。だけど駅前に見えたのはラーメン屋さんだけで、時間もないのでそこへ入った。僕は支那そばを、パートナーは豚骨ラーメンを頼んだ。食欲ないのに豚骨かよ、と僕はツッコんだ。

そして案の定僕が完食する頃に、パートナーの器の中にはほぼ最初と同じ状態のラーメンがあった。

『食べられる?』と聞かれて、僕は朝からラーメンを2杯食べた。お腹いっぱいだよと言いながらも意外にも、余裕で食べられた。満腹な僕と、体調が不完全な彼とで不動産屋に向かった。


不動産屋で担当してくれたのは気さくな、肉好きのいい男性だった。彼はまず名刺を渡してきて、僕のパートナーに同じ名前ですねと最初に触れた。漢字も一緒で……。とパートナーが返して場の雰囲気は和やかになった気がした。


しばらく談笑をして申し込みをした物件についての説明をしてくれた。そのうちの一軒はすでに契約が決まっていて、他の物件はルームシェアだと審査が厳しいと話してくれた。話しながらも念のため確認すると言ってその場で担当者に電話をかけてくれたけれど、他の物件も入居者が決まりそうだったり、そもそも審査まで行けなかったりと、目星をつけた物件はすべてだめになってしまった。


さてどうしようかと、思ったところで担当のその人はずばり聞いてきた。

「お二人の関係なんですけど、どういったご関係でしょうか?最近だといわゆるLGBTの方たちも二人組でお部屋探しする方が増えていて、むしろルームシェアよりもそっちの関係の方がお部屋見つかりやすいんですよ。最近はLGBTフレンドリーと書いてある物件も増えていますし、うちの不動産屋もそうなので……。お二人はお友達がカップルかどちらかなと……」


担当の人はそう聞いてきて、まさかここでカミングアウトするかどうか悩むとは思わなかった。僕はパートナーの顔も見ずに答えた。

「後者です。いわゆる……カップル」


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