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20代最後のゲイのエッセイ  作者: 湊 俊介


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糸電話を耳に当てながら歩く少年に気づかされたこと。

人生の楽しみ方を改めて気づかされた。


夕方の駅前でバス停に向かうときに小学生の男の子が僕の前を歩いていた。空は夕暮れ時で暗くなり始めていて、その男の子はランドセルを背負って底に糸のついた紙コップを耳に当てながら歩いていた。


糸電話の先から、何が聞こえるんだろう。と僕は思った。


道路を走るタクシーの音か、お腹をすかせたカラスの鳴き声か、教室で話した友達の声か、担任の先生の笑い声か、お母さんのおかえりか。


糸は緩んでいて電話のもう片方は男の子の手の中に、何も聞こえないことは糸電話の原理を知っている大人なら分かる。聞こえない糸電話を耳に当てながら歩くなんて、そんな無駄な行為もしなくなった。


だけどその男の子は真剣に、表情は見えないけれど真面目に糸電話を耳に当てて歩いている。それは何かが聞こえているように見えた。糸電話の仕組みなんかが存在しなくて、世界のルールが変わったのかと思うくらいに、男の子は本気だった。


僕は「分からない」ということはなんて世界が面白く見えるんだろうかと気づかされた。分からないから好奇心がでてきて、とりあえずやってみる。それだけシンプルでいい。その方が楽しい。


分からないけれど、分かったような口を利いて言い訳をして結局やらない。大人になると周りにそんな人間が増えてくるし、僕の中にもそういう部分はあるはずだ。どうせやってもうまくいかない。時間の無駄。やるだけ無駄。


そんなんだからみんな、生きているのがつまらなくなるんだ。糸電話の向こうが聞こえるかどうかは関係ない。とりあえずやってみる。


僕は比較的やりたいと思ったことは、できることからすぐ始める方で結構楽しい生活を送ってはいると思う。


確かに昔はつまらないと思いながら生きていた時期もあるけれど、あの男の子みたいにとりあえずやってみる精神でいつからか生きてきて、そうしてからは案外楽しく生きている。


今年は読書を習慣づけてピアノも始めて小説を書き始めた。足らない文章能力だけど応募もして、やってみてから改善点を見つけ出していく。やる前から駄々をこねるように自分に言い訳していたら何も始まらない。


つまらない大人には聞こえないものがあの男の子には聞こえていたのかもしれない。


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