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連日選挙の話題ばかりが取り上げられていた。
〜「国民の皆さん、自由民衆党へNOを突きつける時です!! 今こそ立ち上がりましょう!!我々〜」〜
〜「いつまでも利権や金から離れられない自由民衆党はもはや国害以外の何ものでもありません!!
皆さん、国民の皆さん、選挙で、国民の声を届けようではありませんか!!!
我々〜」〜
どの党も、こぞって与党へのネガティブキャンペーン祭りである。
2039年に発覚した河城元厚生相の企業献金問題。宮原議員のパワハラ問題。そして先月は若富幹事長の問題発言。
こうも立て続けに問題ばかり起こしていては怒り心頭になるのもわかる。
無関係の議員まで巻き添いを喰らっているのだ。造反者が出るのも納得がいく。
造反者30名は浅倉前幹事長率いる派閥の裏切りであった。
彼らは現在冷飯食い中なので腹にくるものがあったのだろうか。
「浅倉新党結成か。民政党。いろんなところがあるんだな最近は。」
かく言う俺も選挙には出るんだけれど。
毎日朝駅前に立って演説をしているが、誰一人として応援してくれる声はない。
罵詈雑言を浴びせられるだけだ。
「むっしあついな。」
ベタつくシャツを摘んで仰ぐ。
「自由民衆党? 私が終わらせてやりますよ。あんなもの。本当ゴミですよね〜。早く消えて無くなればいいのに。」
人だかりの中から聞き馴染みのある声が聞こえてくる。
毒舌キャラで人気を得るも、その毒舌で芸能界を追われることになった女優の声とそっくりだった。
「あのジジババ共、いつ死ぬんでしょうね。本当自分らは金金金で贅沢三昧しておいて、国民からは税でむしりとる。」
「そうだ!!!」
「私政治とか本当興味なかったんですけど、最近の司総理にはムカつきすぎて、やばいんだよね。
みんなも司嫌いだよね?
司嫌いな人〜?」
「はーい!!!」
「あの無能総理を今すぐにでも問い詰めてやる。そんな気持ちすぎてさ。みんなの力が必要なんだよ。
だから、司嫌いな人だけ私に入れてよ。司ク総理が好きな人は、」
ぼけーっと話を聞いていたとき、元女優、高峰琴音と目が合う。
目が合うと、ビシッと指差し
「義隆に投票してね〜!」
毒舌女優、通称たかねねが宣言した。